雨は好きだけど、雨をダシにするのは嫌い。
生憎の曇天だとか、雨天だとか、天候に恵まれないとか言われると、まあやる気が削がれるのも仕方ないなと天気のせいに出来て良いと思う。まあそういう時に限って最初から乗り気ではないから、まあ特にそうだなと思う事は無かった。でもその後に言われる、負けずに頑張りましょうとか盛り上がっていきましょうとか言われるのは嫌いだ。無理に盛り上げても疲れるだけだし、なにより面倒だ。だから、目の前の暑苦しいこの人は嫌いだ。
「もっと盛り上げていけよ、お前等!!」
ああ、本当に嫌だ。
本日の天気は雨。小雨が一日続くでしょう。風は南東に向かって弱めに吹く見込みとなっております。横殴りの雨にはなりませんが、外出の際は体を冷やさないよう暖かい格好をしましょう。
そんないかにもなお天気情報のコーナーで気象予報士が話す。この時期はいつもこんな事を言う。もう少しひねりのある、というかユーモアな感じで言えば聞く人も印象に残りやすいのではと思う。だがそんな事を毎日やっていたらネタもすぐ尽きるから誰もやらないのだろう。
こんな感じで別に誰かに言うでもなく一人でニュースやらに頭の中で愚痴るのが日課に近いものになっている。我ながら醜く、どうしようもなく思う。そう思うならば何故改善しようとしないのか。全く持ってそう思う。だがそんな事は無理だ。それは最近得たこの言葉が裏付ける。
『だって人間だから』
ああ、なんて便利な言葉なのだろうか。この一言で大抵の事に言い訳が出来る。なんて素晴らしき言葉。この言葉を考え出した人間には、賞賛の言葉を拳に乗せてお見舞いしたいものだ。もちろん一度のみならず何度でも。それほど素晴らしき言葉だ。ああ、全く持って下らない言葉だ。
「お前いつも天気コーナー観る時、変に険しい顔するよな」
「え、そんな顔してる?」
「してるしてる」
「ウソだ~」
「だろ、母さん」
「そう?いつも通りの不機嫌そうな顔でしょ」
「ちょっと」
空め、変な所は鋭いんだから。これもバイトの影響か?さっさと浪人せずに就職しろよ。ちゃんと頼られてんだからさ。
「今日もバイト?」
「うん。あと今日はなんか多いらしいんだよね。だから今日も遅くなるかも」
「はいよ。いつも通り冷蔵庫に入れとくからね」
「うん、ありがと」
「透は?今日も出かけるんでしょ」
「ああ、うん。多分夕飯には間に合うと思うから」
「そう」
「それはそうと、空は時間良いの?」
「あ、やべ」
いつものんびりして、時間を間違えてよくすっぽかす。ホント良い性格してるよ。
「いってきます」
空は慌てて荷物を持って家を出た。
「傘忘れてた」
と、一度閉めた玄関のドアを開けて、また閉めて。ホント慌ただしい。
まあ僕もそろそろ出とこうかな。




