【98】海上基地に攻撃を開始せよ
「[もがみ]所属舟艇から、[ドク・ワン]、修理資材を取りに来た。右舷9番ドアを開けてくれ」
「こちら[ドク・ワン]、何も聞いてないぞ?」
「別に、物を借りに来るくらい、いいだろ」
「あー、分かったよ。右舷9番だな。床面から2メートルをキープして入ってくれ」
「了解、ありがとよ」
舟艇が[ドク・ワン]の右舷側へ回ると、最後部の9番ハンガーの外壁がスライドして開き始めていた。
この9番は、海兵隊が使ってたハンガーだ。出て行ってしまったので、空いていることは分かっている。
ドアが開ききると、舟艇は中に入った。
ズズーーーーーッ
ガシューン!
シューーーーーッ!!
ドアが閉じられ、密閉され、空気が注入された。
黄色い回転警告灯が消え、グリーンのランプが点いた。
「よし、降りるぞ」
舟艇から、バラバラと人が降りた。
海兵隊用の重装備魚雷艇が6艇、局地攻撃機が10機ある。特務護衛艦が1艦残っているが、これを盗むのはやめておこう。
「魚雷艇を5艇、攻撃機を5機、いただくぞ」
俺は、みんなに指示した。
「あれ?艦長、船長の所に行かなくていいんですか?」
「船長は、買い物に行ってるらしい」
俺は、笑いをこらえて答えた。
キュィーーーーーーン!
キュィーーーーーーン!
ヒュォーーーーーーン!
ギュィィーーーーーン!!
お目当ての機体のエンジンが起動した。
プシューーーーーーッ!!
ハンガーの空気が抜かれた。
宇宙服を着た誰かが、ドアを開けるスイッチを押しに行った。
ウィーーー!ウィーーー!
黄色い回転警告灯が回り出し、警報が鳴った。
ドアがスライドして開き始めた。
「緊急回線で達する!緊急回線で達する!
9番ハンガーの作業員は、直ちに中止せよ!繰り返す。
9番ハンガーの作業員は、直ちに中止せよ!」
ハンガーのドアが開くと、
魚雷艇5艇と、攻撃機5機が、[ドク・ワン]から飛び出した。
操縦室の船長は叫んだ。
「泥棒だ!宇宙船ドロボーだ!!」
* * *
「[もがみ]からルパンへ」
「こちらルパン、[もがみ]どうぞ」
「ナラル中尉です。海に50キロ四方の島があるのですが、そこからかなり強力な電波が出ています」
「そこは夜明けまでどのくらいだ?」
「少し前に夜になったので、40時間は大丈夫でしょう」
「分かった。戦闘班を召集しておいてくれ」
「了解しました」
盗賊たちが艦隊に戻ると、魚雷艇2艦と攻撃機2機は、[もがみ]へ、その他は[しらかぜ]や[はまかぜ]など、艦内の格納庫に余裕のある艦に落ち着いた。
シュィーー
俺が[もがみ]のブリッジに戻ると、早速ナラル中尉と航海長のノラン中尉が、説明しようと待っていた。
「今現在、我々はここで、この島がそうです」
レーダー画面上で、航海長が現在位置からその島まで指を滑らせて示した。
「ここからの距離は?」
「750キロほどです」
ナラル中尉が答えた。
「特別な電波だとする根拠があるのか?」
「やり取りの雰囲気です」
なんと、サクラが答えた。
「雰囲気?」
「言語はまだ不明ですが、発信言語は強く、返信言語は弱い印象です。つまり、命令と従順の関係性が読み取れます」
「なるほど。調べる価値はあるか」
俺は、行くことにした。
[もがみ]の発着所で調査部隊は集合した。
魚雷艇は定員15名。艇長、パイロットらに人間5名をあてて、あとの10名は護衛用HDだ。
攻撃機は定員4名。正副パイロットに人間をあてて、レーダーと戦闘担当にHDを使う。
今回の島の調査には4名の人間と20体のHDでおこなうことにした。
夜明けまで39時間。これは、ちゃんと覚えておかないと命に関わる。
魚雷艇と攻撃機は、[もがみ]から発進した。
「方位000、距離118,000」
惑星は、もう目の前なので、近付いて行く感覚も無い。
真っ黒い壁に突っ込んでいくようなものだ。
今は大半が海のようなので、明かりはあまり無い。
「ゆっくり降下しろ。プラズマが出るぞ」
「伸縮アンテナは、なるべく格納せよ」
「攻撃機は、先に降りて索敵せよ」
今回は、みんな慎重だ。
「艦長も、わざわざ来なくても」
1号艇の艇長が言った。
「色々と経験したいんだよ」
俺は、そう言っておいた。
まあ、ウソではないし、楽しいし。
「高度50,000メートル。周囲、異常なし」
「こちら、アタック1、高度30,000メートル」
攻撃機が先に降下して行っている。
ピカッ!ピカッ!
シュィーン!シュィーン!
その時、下からレーザーが発射された。
「レーザー攻撃です!」
レーザーは、わずかに攻撃機を外れた。
「アタック・チーム、攻撃開始!」
2機の攻撃機は急降下を開始し、ミサイルと爆撃システムをオンにした。
シュィーン!
シュィーン!
攻撃機は急旋回でレーザーをかわした。
「発射地点確認!攻撃を開始する!」
パパパパパパシュー!
パパパパパパシュー!
攻撃機は確認した発射地点に、レーザー機銃を撃った。




