【95】HD 対 HD
「クロダ少佐、必要であれば、HDを提供しよう」
[ジョージア]のケサン少将が申し出た。
「[ジョージア]には人間は乗っていない。全てHDだ。私が入れ換えてきた。このまま第15連合艦隊や第17の仇を討とうとしても、このままでは精神論だけでの戦いだ。だから、ブリッジ要員だけ残して、あとは君に提供し、有意義に使ってほしい。言いたい事は分かるな?」
「少将……」
俺は、何も言えなかった。
「全部で2,000はある。自分は[ジョージア]に残る。
後は頼んだぞ、少佐」
少将は俺と敬礼を交換すると、ブリッジから出て行った。
そしてその後、俺は艦長室でサクラと協議した。
「サクラ、俺たちは第20番惑星を調査しなければならない。何者が支配しているのか。それは人間なのか。そして、あのHDはなんのためにいるのか」
「…………」
サクラは答えない。
「サクラ。協力してくれないか」
「…………」
「艦長!HDのコントロールセンターが分かりました」
通信担当のタレク少尉が報告してきた。
「………した」
サクラが小声で何か言った。
「え?なんだって?」
俺は、聞き直した。
「分かりました」
サクラは言った。
「ヒラセ副長、この星の調査の件は、副長が指揮を執ってくれないか」
俺はブリッジへ戻り、副長を指名した。
「はい。分かりましたが、何故です?」
副長は、軽く聞いてきた。
「人間の生存者の確認が第一だから、本来はサクラにやらせてもいいんだけれど、ウロついている敵のHDに対してウチのHDがどう反応するか分からないので、色々と判明するまでは人間が指揮した方が良いかなと」
俺は、説明した。
「はっ。分かりました。ついては、[ジョージア]のHDを使って捜索班の編成などをおこなってよろしいでしょうか?」
「もちろん。うまく使ってくれ」
「了解しました」
まあ、副長なら、このくらいはうまくやってくれるだろう。
1時間後
「よし、では10体で1小隊の編成とする!
そして、10小隊で1中隊、10中隊で1大隊だ!」
副長がHDの組織を編成した。
「まずは、小隊ごとに移動し、このハンガーを一つずつ制圧する!かかれ!」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
ウチのHDが行動を開始した。
バシュッ!バシュッ!
バシュッ!バシュッ!
敵のHDを見つけ次第、撃ちまくっている。
パシュ!パシュ!パシュ!
敵も防戦してくる。
バババババ、バシュッ!バシュッ!
うちのHDの銃の方が性能がいいらしい。
バーンッ!
バシュッ!バシュッ!
チュィーン!ピキーーン!
ハンガー内で、レーザーと銃弾が飛び交い、[もがみ]の艦体にも当たる。
バシュッ!
バシュッ!
………………。
「11番ハンガー、制圧」
「了解、12番へ移動せよ」
バシュッ!バシュッ!
ピキィーーン
パシュ!パシュ!
バーーーン!
バシュッ!
交戦は12番ハンガーへ移った。
シュイーーン
副長は[もがみ]の艦底の出入口から外を覗いてみた。
遠くで銃撃戦の音がしているが、このハンガーの中ではないらしい。
そして、そこらじゅうに砕けたコンクリートやらガラスやら、HDも転がっていて、砂ぼこりみたいのがモウモウと充満している。
フィーーン
レーザー銃の充填音がして、HDがこちらに銃を向けている。
「おい、おい、おい、[もがみ]の副長だ!!」
HDは銃を降ろして、
「失礼しました」
と言って、去って行った。
「こちらリーダー、攻撃範囲を広げろ」
副長はウチのHD部隊に命令した。
「艦長だ。副長、人間の痕跡は無いのか?」
俺は、副長に聞いた。
「あ、艦長。人間の痕跡はありませんね。全然」
「HDの攻撃範囲を広げたようだが、人間の痕跡も探してくれ」
「了解しましたー!」
人間の痕跡が無いというのは………
まぁ、結論を出すには、まだ早いか。
バシュッ!バシュッ!
バシュッ!バシュッ!
チュィーン!
パシュ!パシュ!パシュ!
バーーーン!
バシュッ!
ドドーーン!
「12番ハンガー、制圧」
バァーーーーーーーン!!
ドドーーーーーン!!
「13番ハンガー、制圧」
ウチのHDから、次々と連絡が入る。
「10番ハン………、ザザッ……」
バシュッ!
……………、バタッ!
ガシャン!
「リーダーへ、こち………、ザザッ………」
ん?どうしたんだ?
「こちらリーダー、HD部隊、応答せよ!」
「…………ザザッ、シャーーーー、…………ザザッ」
どうなってるんだ?
副長には、何が何だか分からなかった。
シュィーー
俺がブリッジへ入ると、通信のタレク少尉がパニクっていた。
「あーーー!!!!艦長!!大変です!!」
「どうした?そんなに慌てて」
「大変です!!!早く離陸しないと!!!」
少尉は、完全に、パニクっている。
「おい、おい、ちょっと落ち着け」
「落ち着いてらんないですよ!!
夜明けですよ!!!」




