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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
86/132

【86】敵は、銀河系外の人間なのか?

「距離は?」

「500万キロです」

俺の問いに、パイロットHDは答えた。


「サクラ、何か聞こえるか?」

「それが…………」

サクラが、珍しく口ごもっている。


「どうした?」

「様々な通信チャンネルと、放送はもとより、工業、医療、科学探査、多様な電波が使用されています」

「うん。それで?」


「……………」

「何が言いたい。

と、言うか、何故、その内容が分かるんだ?」

サクラは、俺の方を見た。


「そうなんです。言葉が、私たちと同じなのです」

「なんだと?!!」

俺は、思わず大声を出してしまった。


「あの惑星にいるのは、人間なのか?」

「そもそも可能性が0ではありませんでしたが、現実を目の当たりにすると、非常に驚異です」

「そりゃ、ビックリだよー」

俺は、驚いた。銀河系外に人間がいるのか。


「何か、考察できるか?」

「まあ、色々な要素を考慮すれば、色々ありますが」

「ちょっと、シミュレーションを考えてみてくれ」

「分かりました」


「陸地と海があるのか?」

俺は、何か調べている他のHDに聞いた。

「はい。陸地と海があります」

HDは答えた。


「大気と海の成分は?」

「司令、着いてみないと分からないこともありますよ」

「あ、そうか」

俺は、サクラにたしなめられた。


* * *


「大尉、出航は明日でいいかな?1日くらい準備にかかるし、君も少し休むといいだろう」

総司令官は、シモダ艦長を労った。


「はっ!かしこまりました。

あと、司令、お願いがあるのですが」

「なんだね?」

「潜宙艦で、まずはここまでの決定事項をクロダ司令に伝えたいのですが」

「なるほど。そうか。よかろう。艦隊司令部で潜宙艦を1艦手配してやろう」

「ありがとうございます!」

シモダ艦長は立ち上がり、感謝の敬礼をした。


約束通り、提督は1時間後に潜宙艦を用意してくれた。

「ここでのやり取りや、今後の計画、様々なデータをこのHDに記録しておいた」

「ありがとうございます」

シモダ艦長は、提督に礼を言った。


「自動的にPS72星系まで行き、[もがみ]に着くようにしてある」

「何から何まで……」

「こいつは先に行かせておくので、君はまだ休むといい」

「はい。かしこまりました」

シモダ艦長は、敬礼した。


* * *


火星基地は、広大な平野部に建設されている。

そしてそれらは全て通路などで連結されていて、もちろん内部は宇宙服無しで移動できる。

火星は地表面が全く平らなわけではなく、丘や山などの起伏もある。

戦艦くらいまでの大きさの艦艇はドーム型ハンガーに格納して点検修理などをおこなうが、それ以上の大型艦艇は平野部の基地から少し離れた丘や山を堀り抜いた格納庫を使用していた。


今、山の下部を堀り抜いた大型艦艇用ハンガーZA-05の中では戦艦が4艦も中に収めることができるドック船の準備が進められていた。


今回はこの中に、潜宙艦3艦、魚雷艇3艦を通信用艦艇として搭載する。そしてそれとは別の任務を帯びた、特務護衛艦2艦、海兵隊魚雷艇10艇、兵員輸送機10機が積み込まれた。


シモダ艦長はその様子を見て、通信手段の確保の要請に来たのに、もうすでに戦闘準備を開始したのだなと実感した。


また、火星基地の宇宙軍ハンガーから外れた所に救難救助隊基地があった。


以前、カシオペア座シェダル星系で起きたスーパー・ギャラクシー・エアラインズのビッグ・ベア救助の際、テルネ大佐率いる1個大隊が出動したのも、この救難救助隊だった。


そして、その救難救助隊に隣接して、海兵隊基地が繋がっていた。今回の主役は、この海兵隊である。


救助隊のハンガーには黄色く塗られて、GALAXY RESCUE FORCE と描かれたマークが着いた機体が並んでいたが、ここ海兵隊のハンガーには、機体形状こそ同じだが、グレー塗装で GALAXY MARINE のマーク、そして何より目を引くのが機関砲やミサイルなどの重武装が装着されていることだった。


「全員、武器・装備を点検しろ!」

基地のいたる所がザワついていた。


ガシャッ、ガチャガチャ、ジャキン!

隊員各自で自分専用の武器を点検している。


「隣の黄色いスズメたちは、現場の惨状に腰を抜かしたらしいからな!てめーらは、敵をぶっ殺しに行くんだからな!そんなぶざまな格好を晒すんじゃねーぞ!」

軍隊らしい勇ましい喝が、あちこちで飛び交っている。


[きぬかぜ]に乗ってきたHDが、何食わぬ様子であちこちを見て回る。PS72星系に派遣される艦艇や部隊の情報を、一応資料として収集しているのだった。


シモダ艦長はリモートでそのHDが見てる場面の映像を見ていたが、これはこれで文句を言うわけにもいかず、過剰な対応かもしれないと思いつつも、いざという時には是非、活躍してもらいたいという期待も大きくなっていくのも事実であった。

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