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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
85/132

【85】第1撃は、海兵隊に任せよ

「しかし、まずは第20番惑星から調べましょう。第19番惑星第3衛星より、こちらの方が環境としては過酷でしょう。ですので、この環境に対応するためには相当の技術が必要でしょう。当該文明の概要を把握するには、20番惑星を調査することで、おおよその見当は付くでしょう」

サクラが提案した。


「よし、分かった。

で、もし仮に、相手がレーダーとかを持ってるとしたら、我々はすでに探知されているのか?」

俺は、素朴な疑問をぶつけてみた。


「我々と同じ技術レベルを持っていると仮定した場合、探知されているでしょうね」

そうだよなー。


「シモダ艦長は、司令部にうまいこと説明できてるかなー?」

俺は、心配になってきた。


「司令が指名したのですから」

「そんなの、分かってるよ」

俺は、おもむろにムッとした。


「どうしますか?

危険を覚悟で、舟艇で接近しますか?」

サクラが聞いてきた。


「こっそり、行ってみるか」

俺も行ってみたい。


「では、警備班と科学班、工務班を召集します」

「オッケー、そうしてくれ」


ということで、

総勢20名の「敵地捜索隊」が急遽編成され、舟艇発着所に集まった。もちろん、俺とサクラも行く。


「副長、後は頼む」

「お気をつけて」

俺は、副長に敬礼を返し、舟艇に乗り込んだ。


舟艇は、格納エリアで人員を乗せた後、スライドキャリアで減圧エリアに移動しここだけ密閉隔離される。空気が抜かれ、艦外と同等の環境に調整された後、発着口のドアが開き、舟艇はエンジンに点火する。


ガコン

シューッ

ガチャッ

色々な音が聞こえ、発着口のドアが開いた。


「行こうか」

俺は、パイロットのHDに言った。


キュィーーーン!

舟艇のエンジンが起動した。


「こちら、アルファ・ワン、発艦します」

HDが[もがみ]に連絡した。


ゴゴーーーッ!

舟艇は、[もがみ]の艦底の発着口から発進した。

言うまでもないが、乗っている人間は俺だけ。他の19名はHDだ。


「距離はどのくらいだ?」

「8,000万キロです」

「おいー、遠いな」

「そんなでもないですよ」

そぉーかぁー?と俺は、思った。


「イオン・ブースター、点火」

と、HDが言うと、

ドォーーーーン!

と体がシートに押し付けられ、凄まじいGが掛かった。


第20番惑星が大きくなってくる様子が早くなった。

こちら側の夜の部分に、点々と光が見えるようになってきた。惑星は、俺が地球から見たことのある月くらいの大きさになってきた。要するに新月ってやつだ。


ドォーーッ…………

噴射が止まった。しかし、惰性でもかなりの速度だ。


惑星は徐々に大きくなってくる。光の点々も多くなってきた。よく見ると、場所によって光の大きさや明るさや色が違う。さらに大きくなってくると、見たことのある情景のように思えてきた。


あー、思い出した。

舟艇が第20番惑星にさらに近付くと、

宇宙から見た地球の夜側で、大陸の都市の明かりがハッキリと見える映像を、テレビで観たことがある。

あの映像と同じだ。


「距離は?」

「2,000万キロです」

「よし、このまま、もう少し」

「了解」

俺は、パイロットとやり取りを続けた。


「様々な種類の電波が傍受できます」

サクラが言った。


「通信か?」

「はい。通信です。あとは、放送とか」

「知的生命体の文明に間違いないな」

「間違いないですね」

サクラが言った。


* * *


「第1遊撃機動艦隊[きぬかぜ]艦長、シモダ大尉、宇宙軍総司令官室までお越しください」


火星基地の食堂で食事していたシモダ艦長は、途中で食事を切り上げて、モモと一緒に総司令官室へ向かった。


「[きぬかぜ]艦長、シモダ大尉、入ります」

「入れ」


シモダ大尉とモモが入ると、総司令官室には、宇宙軍総司令官イアナ提督、副司令官イオニ中将、太陽系方面軍総司令官エスナ中将、火星基地司令官イタフ提督、そして海兵隊総司令官エンデ提督がいた。


こんなお偉い人たちを見るのは初めてで、シモダ艦長はビビりまくっていた。


「まあ、掛けたまえ」

イアナ提督が、シモダ艦長にソファーを勧めた。


「方針概要が固まった」

イオニ中将が言った。


「異次元中継ネットワークの敷設工務は、即時開始とする」

「ありがとうございます」

中将の説明に、艦長は感謝した。


「ハンガー船を用意し、通信用潜宙艦5艦を積載し、PS72星系へ送る」

「あ、ありがとうございます!」


「それと、今後のために、海兵隊1個師団を送る準備を開始する。それに先立って、1個中隊200名と海兵隊所属魚雷艇4艦をハンガー船に積載する」

「か、海兵隊ですか………」

シモダ艦長は、少しうろたえた。


「艦隊の乗組員が敵の本拠地に乗り込むより、専門部隊の海兵隊に任せたほうがよかろう」

海兵隊総司令官エンデ提督が言った。


「何者か知らんが、我が銀河帝国に敵対することは許せん」

イアナ提督が立ち上がって言った。

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