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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
76/132

【76】見えてきた、見えなかった星

「司令より全艦へ達する。本艦隊は、これよりトロッコ・フライ航法によって航行する。前方航路及び周囲警戒を厳となせ。以上」

俺は、全艦に通達した。


「よし、トロッコ・フライ、スタート」

俺は、[もがみ]のブリッジ内に命じた。


「トロッコ、スタート、アイ」

「トロッコ・フライ、スタート」

「スタート、アイアイサー」

あちこちで復唱が重なる。


「イオンエンジン出力60%、原子炉出力45%」

「出力、上げー」

「出力上げ、アイ」

「レーダー反応、なし」

「イオンエンジン出力80%、原子炉出力60%」

マテラ機関長が言った。


「ノラン航海長、飛ばしてくれ」

俺は、命じた。


「全員、耐衝撃防御」

「素粒子放出、トロッコ・フライ、ゴー!」

航海長が宣言した。


キュィーーーーーン!

体がシートに押し付けられる。


「んーーー!いつもいいねー」

この感じがいいんだー。


ミサイル巡洋艦[もがみ]に続いて6艦の駆逐艦が亜光速へ向かって加速して行った。


残念ながら[さわかぜ]だけは、今もまだ貨物列車なみのスピードで太陽系へ向かっていたのだが。


* * *


「目標まで100,000。

レーダー、ノーマルモードに切り替えます」

「レーダー、ノーマルモード、アイ」


「速力、50,000へ減速」

「50,000へ減速、アイ」


戦艦[いせ]を真ん中にして1列に並んだ第9機動艦隊は、銀河系外から飛来した戦艦[やましろ]の後方100,000キロまで接近した。


レーダーはこの範囲で最も正確で有効に機能するので、通常はこのノーマルモードで画面に表示される多くの情報を基に戦闘をおこなう。


気を付けなければいけないのは、レーダーは自艦を中心に表示される。自艦から半径100,000キロの範囲であるということだ。


「艦長よりCIC、戦闘準備いいか?」

「CIC、戦闘準備よし」

スカヤ艦長は、念を押して確認した。


「全艦、展開せよ」

艦長は続けて命令した。


「全艦、展開、アイ」

1列縦隊だった艦たちが、上下左右に展開した。

1列に並んでいたら、前が邪魔で撃てないからだ。


「目標、速力20,000、距離95,000。

本艦も速力20,000で、同速追尾中」

「よろしい。

艦長よりCIC、長距離ミサイル、発射準備」


「長距離ミサイル発射準備、アイ」

[いせ]は射程100,000の長距離ミサイルを搭載している。


「航海長、100,000まで接近せよ」

「微速前進、100,000まで接近、アイ」


「艦長!目標、加速!」

レーダー担当士官が言った。


「なに?!こちらに気付いたのか?」

スカヤ艦長は、身を乗り出した。


「目標、速力30,000、さらに加速中」

航海長が報告する。


「CIC!ミサイル発射だ!撃ち落とせ!」

「ミサイル発射、アイアイサー!」


ズズッ、ズズッ

ズズッ、ズズズッ

発射管からミサイルが発射される振動が伝わる。


「撃て!撃て!逃げられてしまう!」

艦長は命令した。


ズズッ、ズズッ

ズズッ、ズズッ

[いせ]は立て続けにミサイルを発射した。


展開した[さつま]や[たじま]も発射し始めた。

何発もの高速長距離ミサイルが前方の宇宙空間へ飛び去った。


* * *


「何故、電磁場ハイウェイがカーブしてるんだ?」

[ジョージア]のケサン艦長は、レーダー担当HDに尋ねた。


「このような航路を航行してきたためでしょう」

「それは、分かっておる。その理由だよ」

「ただ今、分析中です」

HDは答えを出しかねているようだ。


「アルデバランから来たのではないのか?」

ケサン艦長は言った。


アルデバランへ一直線だと思っていたが、これでは左方向へズレていってしまう。


「艦長、理由が分かりました」

航海長HDが言った。


「何故なんだ?どこへ行くんだ?」

「理由は、銀河系が回転しているからです」

「回転?」

艦長はHDに聞いた。


「銀河系は、上の極側から見て、右回りに回転しています。ですので、直線的に航行した軌跡が時間とともに左方向への曲線になっていきます。銀河系内でも太陽系付近は、時速800,000キロで回転する渦の中にあると言えます。この事と電磁波の変位量を考慮し計算すると、この電磁場ハイウェイの起点は、今年発見された、PS72パルサー星系という結果が得られました」

と、航海長HDは結論付けた。


* * *


「こちら第6機動艦隊[ながと]、[いせ]応答せよ。繰り返す。こちら第6機動艦隊[ながと]、

[いせ]応答せよ」


「[いせ]からの応答は無いのか?」

戦艦[ながと]のウスダ艦長は、通信担当士官に聞いた。


「どうも、あの[やましろ]に電波が阻まれているようです」

「[やましろ]との距離は?」

艦長は、ハタリ航海長に聞いた。


「目標、距離40,000、加速してさらに接近中」

「よし、戦闘準備だ」

ウスダ艦長は、戦闘を覚悟した。

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