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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
74/132

【74】第9機動艦隊[いせ] と 第6機動艦隊[ながと]

08:40

「サクラ、点呼完了してくれ」


「司令より全艦に達する。あと10分で点呼完了報告するように。なお、点呼時不在者は、所定の手続きをおこなうこと。以上」

サクラが全艦に通達した。


「よし、出航準備」

「出航準備、アイ!」

俺の命令に、ヒラセ副長が答える。


「出航準備!」

「出航準備!」

がぜん、ブリッジが賑やかになる。


「機関、エンジンアイドルスタート」

「エンジンアイドルスタート、アイ!」


ヒュー、ヒューーーン、キュィィーーーーーーーン!

エンジン音と振動が、ブリッジに伝わってくる。


08:50

「司令、点呼完了です」


「よろしい」

サクラの報告に、俺は答えた。


「各部署、報告!」

副長が言った。


「測距、準備完了」

「戦術、準備完了」

「機関、準備完了」

「司令、ブリッジ、準備完了です」

副長が報告した。


「よろしい。じゃ、行きますか」


09:00

「出航!」

俺は、命じた。


「出航!」

「出航!よーそろー」

「出航、アイ!」

「微速前進!」


ウィーウィーーーウィーーーーーウィーーーーーーン

「微速前進、エンジン出力20%」


体が艦長席に押される。

俺は、この出航の感覚が大好きだ。


* * *


「目標までの距離は?」

戦艦[いせ]のスカヤ艦長は、航海長に聞いた。


「750,000です」

「よし、レーダーレンジ、ミドルまで接近しよう」

艦長は、航海長に指示した。


「了解。500,000まで接近します」

「ミドルレンジになれば、数も分かるな?」

「はい。船の数が分かります」

「よし。戦術長、戦闘準備」

艦長は、戦術長に命じた。


「戦術準備、アイ。CIC入ります」

戦術長は、CICへ入った。


「司令より全艦へ、1列縦隊!」

「1列縦隊、アイ」

第9機動艦隊は、駆逐艦を先頭に、重巡、戦艦の順番で

中央に[いせ]を置く1列に並んだ。前方からのレーダーに写りにくくするためだ。


「目標、距離650,000」

「よろしい」

「こちらCIC、戦闘準備完了」

「よろしい」

第9機動艦隊は戦闘準備を整え、目標との距離を詰めていった。


「そうだ、航海長、このまま直進したとしたら、どこへ行くか計算してくれ」

「了解しました」

艦長は、不明艦隊の行先が気になった。


「距離500,000です。ミドルレンジへ切り替えます」

「よろしい」


「艦長、目標地点が分かりました」

「どこへ向かっているんだ?」

「このままですと、太陽系の天王星です」

「天王星?」

スカヤ艦長は、不思議に思った。


「船の数は?」

「戦艦クラス1隻です」

「また不明船1隻で、捕獲しに来たのか」

艦長は悩んだ。


しかし、まずは、相手の正体を確かめる事が第一義だ。

「か!艦長!大変です!ワイドレンジレーダーに感!」

ニトヤ測距長が大声で報告した。


「どうした?」

艦長は落ち着いている。


「距離950,000に艦隊がワープアウトしてきました」

測距長が報告する。


「なんだと?」

「方位016、不明艦隊の反対側450,000の位置です」

「今度は、一体なんなんだ?!」

艦長も不意の出来事で、少し驚いた。


「こちら第6機動艦隊[ながと]、第9機動艦隊[いせ]応答せよ」

「ああ?![ながと]だと?!」

「こちら[いせ]、[ながと]どうぞ」

通信担当士官が答えた。


「スカヤ艦長、お久しぶり、[ながと]艦長、ウスダ少将です。てんびん座方面を航行中、貴艦隊の応援要請を受信いたしましたので、要請にお応えするとともにスカヤ艦長のご尊顔を拝したく、参上つかまつりました」


「いやいや、ウスダ艦長、ご丁寧なご口上、誠に恐れ入ります。現在、本艦隊の前方500,000を航行中の不明船を追尾中であり、まずは正体を確かめんとしているところですので、ご協力をお願いいたします」


「[ながと]かしこまってございます」


[いせ]と[ながと]両艦のブリッジにいる士官たちは、何十世紀も昔のヤクザ映画の中にいるような錯覚に陥っていた。


ここにいる人たちは、着物姿で仁義を切るヤクザなど知る由も無いだろうが、バージョンの新しい人間のデータベースには入っているのかもしれない。


なにせ、2体のHDが腰を落として足を開き、右手を前に伸ばして「お控ぇーなすって」の格好をして語り合っているのが、それを物語っていた。


* * *


戦艦[ジョージア]は相変わらず静かに航行していた。


満天の星ぼしが、またたくことなく輝く暗黒の宇宙空間。

文字にすると、矛盾しているような印象を受ける。

そこに目に見えない一本の道が続いている。


[ジョージア]は、電磁波検知器でその見えない道をトレースして進んでいた。


「艦長、よろしいでしょうか?」

突然、航海長席のHDが話を始めた。


「どうした?」

「微妙に電磁波が変化しています」

HDが言った。


「もう少し詳しく」

「長い距離間で比較して分かったのですが、進むにつれて、わずかですが電磁波が強くなっています」

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