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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
65/132

【65】敵の正体に近付いているのだろうか?

第4機動艦隊は、火星から約12億キロの宇宙空間に現れた。


旗艦である戦艦[むつ]をはじめ、戦艦[ひたち][のと][ひだ][みかわ]、その他、ミサイル巡洋艦、重巡洋艦、駆逐艦、潜宙艦まで揃う大艦隊が帰還してきたのである。


「副長、単なる赤い星が、やけに懐かしく感じるな」

艦長のエレノ少将は、副長のシダク大佐に言った。


「今回は不明艦隊との追いかけっこで、いつもとは違う航海でしたからね」

副長は、しみじみと言った。


「逃がしたのが悔やまれる!」

艦長は、拳を握った。


「しかし、第1遊撃機動艦隊が不明船を1隻捕獲したようですよ」

副長は先ほど受信した情報を、艦長に伝えた。


「第1遊撃って、子供の艦隊じゃないか!」

艦長は、握った拳を振り上げて怒鳴った。


「あれは、なんだ?」

エレノ艦長は、すれ違う艦を眺めて副長に聞いた。


「あー、ミサイル巡洋艦[もがみ]です」

「単艦で、どこへ行くんだ?」

「第1遊撃機動艦隊の旗艦になるため、回送航行です」

副長が説明した。


「な?なんだと?子供にミサイル巡洋艦だと?!」

艦長は、今度はガックリと肩を落とした。

「我が銀河帝国宇宙軍も、もうおしまいだ」


* * *


戦艦[ジョージア]は単艦で、第5防衛隊の痕跡を追っていた。


「航海長、速力を上げても追跡は可能か?」

艦長のケサン少将は、航海長に聞いた。


「現在、速力100,000です。今の電磁場の状態でしたら、とりあえず200,000まで出してみては?」

「そうか。では、速力アップだ」

「了解しました」

「ブリッジより機関へ、出力150%」

「機関より、出力150%、アイ」


戦艦[ジョージア]は、電磁場の変化した痕跡に沿って、旗艦を[ルイテン]とする第5防衛隊の追跡速度を上げた。


第5防衛隊は、何者かのトラクター・ビームに曳かれて移動している。これは確実だ。しかし、先ほどの第1遊撃機動艦隊の報告通信によると、トラクター・ビームの影響は人間に対してはかなり大きく、生存者がいる可能性は極めて低いだろう。しかし、ここまで我が宇宙軍に被害をもたらした不明艦隊である。必ず正体を暴き、戦友たちの仇を取らなければ、ケサン少将の気は治まらないのであった。


* * *


カシオペア座シェダル星系、惑星シェダル・アルファ付近には、まだ様々な固体や液体や気体が入り交じって広範囲に散乱していた。


この事故に関しては、戦艦[カリフォルニア]の艦長室で、艦長と回収調査責任者が協議し、処理計画の概要は定まった。


それに基づき、今まさに、スペース・ギャラクシー・エアラインズから徴用した、定員10,000人のビッグ・ベア2隻が到着し、救難救助部隊1個師団10,000名の追加隊員を乗せてきた。そして、このビッグ・ベアが隊員たちの生活空間となり、非番や時間外の際は、休養や余暇に利用したり、隊員個々の医療問題についても対応することになっていた。


* * *


「さて問題は、誰が、なぜ、どこへ[SRL5150便]を[ながら]に曳かせていたのか、ということだ」

俺は、[しらかぜ]に戻ってきたサクラに聞いた。


「[ながら]が無人だったということは、遠隔操作されていたということだろ?」

「おそらく、そうでしょう」

俺の問いに、サクラが答えた。


「どうやって、遠隔操作するんだい?」

「方法は、いくらでもたくさんあります」

そうか、サクラには簡単なことなんだ。


「一体、誰が………」

「過去に行方不明になった船を持っていた者です」

俺の質問にサクラが答える。一つひとつ。


「なぜ………」

「[5150便]の何かを使いたかったのでしょう」

「どこへ………」

「その者の基地でしょう」

「なるほど………」

サクラは答えてくれたが、

漠然としていて、具体的には分からない。


「そう言えば、戦艦[ジョージア]が単艦で何かを追っているらしいじゃないか」

「はい。電磁場変位の痕跡を追っています」


「んー。電磁場を使って、つまり、トラクター・ビームで曳かれた船を追跡するのは、これまでの俺たちと同じじゃないのか?」

「はい。そうです。いずれ[ジョージア]は、トラクター・ビームに曳かれた第5防衛隊の艦を発見するでしょう」


「これは、何者かによる、単なる拿捕事件なのか?」

「まだ、目的が明らかではありません」

「そうか、なるほど」

俺は、腕を組んで考えた。


ピーーー

「司令、[もがみ]から入電です」

「つなげ」


「[もがみ]艦長代理のヒラセ大尉です」

「[しらかぜ]艦長のクロダ大尉です」

「現在、本艦は貴艦位置に向けて航行中ですが、よろしいですか?」

「はい。結構です。貴官は[もがみ]引渡し後、我が艦隊所属になるのですか?」

「そのような辞令になっております」

ヒラセ大尉は答えた。


「分かりました。では、お待ちしております。以上」

俺は、通信を切った。

「なあ、サクラ。[ながら]をここでこうしていても、どうしようもないよな?」

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