【61】行方不明巡洋艦 280年ぶりの発見
戦艦[カリフォルニア]の艦長、カジン少将と回収調査官のタトル大尉の協議の結果、カシオペア座シェダル・アルファ付近の大事故について、スペース・ギャラクシー・エアからビッグ・ベア2隻を徴用して、救助隊員の生活空間とし、救難救助隊1個師団10,000名を追加派遣することとなった。
処理方法としては、やむを得ず大型回収装置を導入して、機体残骸と遺体を分別する。
遺体は自動洗浄してから密封し、DNAによって個人を特定して、それぞれの家へ送ることとなった。
この事故が収束するには、数年かかるだろう。
* * *
戦艦[むつ]を旗艦とする第4機動艦隊は、不明艦隊をロストして以降、おとめ座スピカ星系から遠ざかりつつあった。
しかし今回、第4機動艦隊の回収調査班は、不明艦隊の様々な痕跡を回収することができた。
6975年に行方不明となった、軽巡洋艦[すみだ]と、
6980年に行方不明となった、戦艦[ひゅうが]の2艦の残骸である。
これらの残骸を持ち帰ることと、交戦によって多少なりの損傷を受けた戦艦[ひたち]と[のと]の修理のため、今後は一旦、火星基地へ帰還することとなった。
現宙域から火星までは、約260光年。通常のワープ航行での帰還である。
「航海長、直近のジャンプ・アップ・ポイントの検測を」
艦長のエレノ少将が航海長に命じた。
「直近の時空の歪み地点は、方位087、上下マイナス7度、距離336,200です」
「よし、ではそこから火星へ帰ろう」
エレノ艦長は、航海長に言うと、ブリッジから艦長室へ入った。
* * *
「目標、方位019、上下プラス3度、距離50,000、速力60,000。
対して自艦、速力50,000、距離開きます」
[しらかぜ]のサクラが報告した。
「航海長!だらしねーぞ!」
俺は、カツを入れた。
左を見ると、[いそかぜ]が艦半分ほど先行している。
そしてその奥から[あきかぜ]がさらに加速して飛び出してきた。
ちくしょー、ヤマナカか!
「ハロヤ航海長!もっとアクセルを踏め!」
航海長は、レバースイッチを上げた。
「隣の艦の前に、バナナの皮でも撒けばいかがです?」
サクラが航海長をからかった。
「目標速力70,000、本艦速力65,000。負けてます」
サクラがコールするたびに、航海長はチラチラと俺を見る。少し、自信喪失しているのか。
「目標加速75,000、本艦速力68,000」
サクラがコールすると、また航海長は俺を見た。
俺は、口の形で、教えてやった。
すると航海長は言った。
「ブリッジより機関へ、イオンエンジン・ブースト噴射、出力150%」
「イオン・ブースト!150%、アイ」
ドォォォーーーーーーッ
「んー!シートに押し付けられるぜ」
俺は、この感覚が大好きだ。
「目標速力80,000、自艦速力75,000、距離50,000」
サクラがコール。
「軍曹!ぶっ飛ばせよ!」
航海長はレバーを押した。
ドゴォォォーーーーーン
「イーーーーーーーヤッフォー!!」
「速力85,000、距離35,000」
「曹長!ミサイル発射だ!」
「ミサイル、アイ!距離35,000! 発射!」
バシューーーッ!
[しらかぜ]の艦首からミサイルが発射された。
見ると、左の[いそかぜ]もミサイルを発射した。
「速力95,000、距離20,000、1番接近!」
サクラがコール。
「よーし!行け!いけ!」
「速力100,000、距離10,000、1番ハズレました!」
「あぁ?!」
なんでハズすんだよ?!
「レーザー、手動射撃!」
ナジラ戦術長が引き金を引いた。
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
1番砲搭から3発のレーザー砲が発射された。
ビカッ!
ビカーンッ!
ビカーッ!
「レーザー命中!、目標減速!」
サクラが確認した。
「ちくしょー!」
戦術長が再び引き金を引いた。
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
2番砲搭から3発のレーザー砲が発射された。
ビカッ!
ビカーンッ!
ビカーッ!
「レーザー命中!、目標さらに減速!」
サクラが確認した。
「艦、減速、50%」
ハロヤ航海長がコール。
[しらかぜ]は、減速を始めた。
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
シュィーーーーーン!
[いそかぜ]がレーザーを発射した。
ビカッ!
ビカーンッ!
ビカーッ!
3発とも命中した。
「距離2,000」
船影や残骸、爆煙などが目視できるようになった。
ピカッ
ピカピカッ!
船内で誘爆が起きているようだ。
宇宙軍の巡洋艦クラスの大きさだ。
「サクラ、あいつを撮影して、データベースと照合」
「もう、やってます」
さすが。
「司令、出ました。6977年に行方不明になった、
重巡洋艦[ながら]です」




