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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
58/132

【58】救難救助活動 一時中止

「どうだ?みんな少しは落ち着いたか?」

隊長機内で、テルネ大佐は、各連隊長に聞いた。


「いや、もう少し時間をおいた方がいいかもしれません。なにぶん、ショックがデカすぎて」

B連隊の隊長が答えた。


「事前調査のヒマが無くてな、隊員たちには申し訳なかった」

テルネ大佐は、とりあえず、連隊長たちに謝罪した。


「司令の責任じゃありませんよ」

「しかし、何故、あんな状態に?」

連隊長たちには、民間船が遭難したというだけで、それ以上の詳細は知らされていなかった。


「スペース・ギャラクシー・エアラインズのビッグ・ベア、知ってるだろ?

乗員、乗客合わせて10,000人乗りの旅客船だ」

大佐が言うと、

「あ、ウチの親、それでスバル観光に行きましたよ」

H連隊長が言った。


「そうか。今回のは、カシオペア座のシェダルだ。

あそこも人気の観光地らしい。

で、その[SGA773便]がまだワープ航行に入る前の通常航行中に、ここで、ワープ空間から出てきた直後の船と衝突したらしい。一方は時速50,000キロ、方やワープ直後、当然、粉々だろう」


「…………」

「…………」

大佐が説明しても、連隊長たちは何も言わなかった。


「しかし、悲劇はそれで終わらなかった。

衝突した2隻は文字通り粉々だったのか、レーダーに船として認識されなかった。ガスかチリの雲のように写ったらしい。

[773便]は臨時便で、その3時間後に本便の[303便]がシェダルを出発していた。

そして、2隻の残骸でいっぱいの雲を障害物と認識できなかった[303便]が、ここに突っ込んだ」


「…………」

「…………」

「最初にぶつかった[773便]の相手は?」

R連隊長が尋ねた。


「レーダーでは、種別表示されなかった。

なので、相手が何だったのか、現時点では不明だ。

いずれ回収調査部隊が来れば分かるだろう。だから、

不明船1隻と、ビッグ・ベア2隻が、ここにある」

大佐は答えた。


「では、少なくとも20,000人以上………」

K連隊長が途中まで言って絶句した。


「そういう計算になる」

大佐は苦しそうに言った。

「で、現状を見てしまった我々は、この現場をどう処理すべきか、諸君の意見を聞きたい」


* * *


「[はまかぜ]より[しらかぜ]へ」

「こちら[しらかぜ]、[はまかぜ]どうぞ」

俺は、アツシの呼び掛けに答えた。


「今晩は、ご馳走さまです」

アツシが笑いながら言った。


「ナジラ戦術長のおかげで、本艦は無傷だ」

俺は、言ってやった。


「ほぉーー。アンテナ1本でも折れていませんか?」

うるせー奴だ。


「こうやって喋ってるんだから、大丈夫だろ!」

アツシ、メシは諦めろ。


「そうですか、残念。

戦術長に、お見事とお伝えください。以上」

アツシは通信を切った。


「戦術長、[はまかぜ]から祝電だ」

俺は、ナジラ曹長に言った。


「航海長、取り舵0.4度、ダウントリム0.7度」

サクラがコールする。

「あ、左0.4、ダウン0.7、アイ」


パスッ

パシュッ

艦は進行方向を微調整した。


ビカッ!

右舷で破壊光が一閃した。

みんな、良い訓練となっているようだ。


* * *


戦艦[カリフォルニア]の艦長室で、艦長のカジン少将と回収調査官のタトル大尉が話し合っていた。

「大尉、えらい事になったぞ」

少将が制帽を脱いで、ソファーに座って言った。


「今回の調査は、だいぶ………」

大尉が話し始めるのを、少将は手で遮った。


「今回の事ではない」

「はい?」

大尉には、少将の意図が分からなかった。


「ここは、君の部下に任せて、別件に当たってもらいたい」

「別件?」

大尉は聞いた。


「前代未聞の、不可思議かつ最大の事故だ」

少将は、苦悶の表情になった。


「カシオペアの方で、

不明船1隻と民間船2隻の衝突事故が起きた」

「えぇっ?!」

民間船2隻がランデブー航行している所へ、不明船が悪さをしたのか?


「えー、今回事案はカシオペア座、シェダル星系、惑星シェダル・アルファ付近。

えー、ここから220光年弱ほどだろうか」

少将が分かっている範囲の詳細を語り始めた。


「えー、当事船は、種別不明船が1隻、スーパー・ギャラクシー・エアラインズの旅客船が2隻」


大尉は黙って記憶した。

「まず、[SGA773便]と不明船が衝突。その後、その現場で[SGA303便]が衝突。

衝突速度は、不明船がワープ空間から通常宇宙への移行直後、[SGA773便]が50,000、その後の[SGA303便]も50,000。

人的被害は、不明船が不明、[SGA]の2便とも、それぞれ10,000人。

まー、合わせて20,000人以上ということだ。

それから、と、火星の第1救難救助隊1個大隊が出動したが、手が付けられず、現在待機中。

で、事故の生存者は無いもよう。と。

あ、それと、救助隊員、174名死亡。と。

こんなところかな」

少将は、説明を締めた。

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