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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
57/132

【57】第1救難救助隊 現着

戦艦[カリフォルニア]の艦底にある発着口の中へ舟艇は帰還した。


シューーゥゥン

舟艇のエンジンが止まり、5人の人間が降りてきた。

回収調査官と回収作業員の2人で通信士官のモラロ大尉の体を支え、スラト艦長はストレッチャーに乗せられ降り、[カリフォルニア]の艦長、カジン少将が2人を出迎えた。


「ご苦労さまでした」

カジン少将は2人に声を掛け、挙手敬礼で敬意を表した。


モラロ大尉は軽くお辞儀をする程度しかできなく、スラト艦長はうなずいたように見えただけだった。

ちなみに、スラト艦長は、カジン艦長より上の、中将である。


「さて大尉、これからが大変だな」

カジン艦長が声を掛けたのが、回収調査官のタトル大尉である。彼は、膨大な回収された残骸や破片から、今回の出来事についての答えを導き出さなければならない。


「概ねは分かりましたよ」

「ほう、さすが専門家だな」

「すべて直角上方向からのレーザー攻撃のみです」

タトル大尉は答えた。


* * *


シュバッ!

シュバッ!

シュバッ!シュバッ!

シュー、シュバッ!


黄色い機体の救助艇が、トンネルから出た直後に急ブレーキで止まるクルマのように、真っ暗な宇宙空間に、次から次へと現れた。


「イーーーーヤッホー!」

「なんだ?もう着いたのか?」

「228光年なんて、チョロいな」

救助隊員たちは、久々の任務で、はしゃいでいた。


「てめーら、外は空気が無いんだぞ!

しっかり装備を着けろ!」

小隊長がカツを入れる。


「りょうかーい、軍曹どのー」

「せんせーい、オシッコ行っていいですかー?」

「あははははは!」

「てめーら、海兵隊へ行けよ!」

艇内は爆笑に包まれている。


「さーて、1人でも多く救助するんだぞ!」

「アイアイサー!」

「ドアを開けるぞ!」

「アイアイサー!」

救助艇のドアが開き、隊員たちが外へ飛び出した。


宇宙空間は薄い霧に包まれた、ゴミだらけの森のようだった。

「どうなってんだ?」

「全然、見えねーぞ」

隊員たちの回りに霧がまとわりつき、何かがバサバサとぶつかってくる。


パッ

パパッ

パッ、パパッ

救助艇が探照灯を全点灯させた。


50隻の救助艇の前後左右が昼のように明るくなった。

しかし、その色は、朝焼けか夕焼けのようだった。

漂う霧は赤く、

そこらじゅうにあるのはゴミではなかった。


「ウワァーー!!」

「オェーー」

「ギャーーーーッ」

「ウグッッッ」

「吐くなー!!!」

「ヘルメットの中で吐くなー!」

隊員たちにまとわりつくのは、人間の体の一部だった。


「ウッ……」

「オェッ……」

「全員!船に戻れ!!」

「全員、退避!!」

ヘルメットの中で嘔吐し、窒息した隊員たちが宇宙空間に浮遊し始めた。


「浮いてる奴を回収して、船で蘇生させろ!」

小隊長や大隊長が、叫びながら隊員たちを引っ張って

救助艇に押し込んでいる。


赤い霧は、小さな玉となった人間の血だった。

しかし、隊員や救助艇が真っ赤に染まるわけではない。

小さな赤い玉は付着せず、形を変えながら無重力空間を飛んで跳ねまわるだけだった。


「何もかもがメチャクチャだ!」

「オェーー」

「全滅だ!跡形もねぇー」

「こんなの、やってらんねーぞ!」

救助艇の減圧・酸素調整室まで吐くのを我慢して、空気が満たされた部屋でやっとヘルメットを外せた隊員たちは、ここでようやく救助隊員になったことを後悔した。


窓の外に見えるのは、人間の体の一部ばかりだった。

全てが一部で、人間の形をして浮いてくるのは、窒息死した救助隊員だけだった。


* * *


「現在、速力80,000」

ハロヤ航海長がコールする。


「戦術長~」

ハロヤ航海長が、ナジラ戦術長に促す。


「戦術長~」

俺も、促した。


「目標、距離12,000、さらに接近」

サクラが、コールする。


「1番砲搭、しゅ、しゅ、手動射撃!」

ナジラ戦術長が、言った。


「え?」

「あー?!」

「なに?」

俺をはじめ、みんな驚いた。


「現在、速力90,000!」

航海長が言った。


「距離、10,000」

サクラが言う。


「ターゲット・スコープ、オープン!」

兵装コンソールの照準器が作動した。


「曹長、射程内ですよ?」

サクラが促した。


「1番、てーっ!」

ナジラ戦術長はコールして、射撃ボタンを押した。


シュイーーーーーン!

艦首1番砲搭の右の1番砲身からレーザー砲が発射された。


「2番、てーっ!」

シュィーーーーーン!

真ん中の2番砲身から発射。


「3番、てーっ!」

シュィーーーーーン!

一番左の3番砲身からも。


レーザー砲は、

1発目は小惑星の右端に命中し、一部が吹き飛んだ。

2発目ははずし、

3発目がど真ん中に命中し、

小惑星は、粉々になった。


[しらかぜ]は、大量の砂つぶの中を速力100,000で突切った。

「どこも壊れてなきゃいいけど」

俺は、ぼやいた。

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