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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
56/132

【56】ちょうどいい所に、小惑星帯

「第38連合艦隊、旗艦[ジョージア]より司令部へ」

「こちら司令部、[ジョージア]どうぞ」


「本艦隊は現在、くじら座ミラ星系惑星ミラ・アルファ星圏にて、第5防衛隊を捜索中。しかしながら、残骸及び破片は浮遊しているものの、艦隊としての形態は認められず。また、痕跡として大量の電磁波の残留及び軌跡を検知。この結果から、艦隊は電磁波による牽引拉致事案と推測される。よって、本艦[ジョージア]のみ追跡行動を開始し、残存艦艇により現宙域の救助及び回収作業に当たることについて、許可願いたい。以上」

「司令部より[ジョージア]へ。申請について検討するので、しばし待たれよ」

[ジョージア]のケサン艦長は、通信を切った。


しかし、切ると同時に

「[ジョージア]艦長、ケサンより全艦に達する。

本艦はこれより残留電磁波の痕跡について、第5防衛隊の手掛かりと判断し、これを追跡し当該艦隊発見をなすこととする。ついては、本艦以外の[ワシントン][オクラホマ][アーカンソー]は現宙域に滞留し、救助及び残骸破片回収に尽力されたい。以上」


ケサン艦長は、司令部の許可を待たずに、戦艦[ルイテン]を旗艦とする、くじら座方面軍第5防衛隊5艦の捜索を[ジョージア]単艦で実施することを決定した。


「ブリッジより機関へ。エンジン始動、微速後進」

「エンジン始動、微速後進、アイアイサー」

[ジョージア]はエンジンをかけ、ゆっくり後退してその場を離れた。


* * *


「[しらかぜ]より全艦へ。異常はないか?」

「[はまかぜ]異状なし」

「[いそかぜ]大丈夫です」

「[さわかぜ]異状なし」

「[きぬかぜ]順調です」

「[あきかぜ]異状なし」

「[つきかぜ]オッケーです」

「ったく、カズは……」

新米艦長に示しがつかない。と、俺は思った。


「各艦、異常を認知したら速やかに報告するように」

はぁーーー

俺は、ため息をついた。


「現在、方位000、速力42,000、編隊間隔200,000」

「よろしい。50,000まで増速」

「こちら[きぬかぜ]、[しらかぜ]どうぞ」

ん?どうした?


「[きぬかぜ]どうぞ」

「申し訳ありません、右舷に小物体が接触しました」

[きぬかぜ]のシモダ艦長から連絡が入った。


「人的被害は無いか?」

「人的被害及び航行への影響は無いと思われます」

シモダ艦長は、報告した。


「艦体はどうだ?」

「気密に影響しない傷と、塗装はがれです」

まあ、いいか。


「じゃ、ウチ帰ったら、ペンキ塗りしてくだい」

「了解です。申し訳ありません」

俺は、通信を切った。


「司令、要注意です」

サクラが言った。


「[きぬかぜ]も無理ありません。浮遊物が増えそうです」

「ほんとに?」

「小規模な小惑星帯です」

「減速か?迂回か?」

サクラに聞いた。


「個別に避けられなくもないでしょう」

「速力50,000で?」

俺は、不安になって言った。


「いい訓練になると思いますがねー」

サクラ、いい度胸してんじゃん。


「速力50,000でいいか?って聞いてんだよ」

サクラは、こっちを見て言った。

「私なら、100,000で避けられます」

「あはははは」

俺は、思わず笑ってしまった。


「サクラ、号笛を」

ピィー!フィー!

サクラが全艦へ、号笛を鳴らした。

「[しらかぜ]より、全艦へ達する。

本艦隊は、これより小惑星帯に突入する可能性がある。これについて、以下の通り命令する。

航路前方に注意し、小惑星の回避及び破壊によって、

艦体を守ること。

また、これをよい機会とするため、

速力を100,000とし、艦を傷付けた艦長は、

自艦以外の全員に夕食を1回奢ること。以上」

俺は、返答を待たずに通信を切った。


「航海長、速力100,000。副長、測距長席へ」

俺は、指示した。


「そ、速力100,000、アイ」

ハロヤ航海長が復唱した。


「サクラ、測距担当します」

サクラが、レーダー席に着いた。

「ベリーウェル」


グォーーーグゥィーーーン!

ドォーーーーーーーーーン!

エンジンの音と振動が大きくなった。


「現在、速力60,000」

航海長が報告。


「航海長、おも舵2度、アップトリム0.3度」

サクラが航海長に指示した。

「右2.0、上0.3、アイ」


グィーーーーーーーーーン!

エンジンの高まりが続く。


パシュッ

パスッ

スラスターが噴射され、艦の進行方向が微調整される。

「現在速力70,000」


ピカッ

左舷で破壊光が光った。

「撃ったら減点の方がよかったかな?」

俺は、サクラに言った。


「どうですかね?ナジラ戦術長」

「え?」

戦術長のナジラ曹長は、突然振られてビビった。


「前に少し大きな小惑星が」

サクラが言った。


「あははは、戦術長、他人事かい?」

俺は、ナジラ戦術長をからかった。


戦術長は、必死で画面を見て何か操作している。

「う、撃っていいですか?」

「ははは、任せるよ」

俺は、答えた。

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