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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
55/132

【55】宇宙軍救助隊1個大隊 出動

第1遊撃機動艦隊は、順調に航行を続けた。

「方位000、速力1,000、編隊間隔5,000」

[しらかぜ]のハロヤ航海長が報告した。


「よろしい」

俺は、承認後、

「サクラ、提案は?」

今後の行動について、サクラに尋ねた。


「物体捜索が目的ですので、高速広範囲がよろしいかと」

「具体的には?」

「速力50,000、編隊間隔200,000、隊形2:3:2型」

「なるほど。よし、それを全艦通達」

俺は、サクラの案を認め、艦隊に連絡するよう命じた。


「方位000、出力200%、速力50,000まで増速」

ハロヤ航海長がコールした。


グーウーーウィーーーウォーーーーーン

わずかな音と微かな振動が変化して響いてくる。

シートに背中が押し付けられる。


「速力5,000」

右舷にいた[はまかぜ]と左舷にいた[きぬかぜ]が、徐々に距離をとって離れて行く。


その他の艦も上に下に離れて行き、上から2、3、2の隊形になった上で、それぞれの間隔を広げて行った。


「速力10,000」

航海長が報告。加速が続いている。


「司令、スーパーワイドレンジレーダーが火星からの艦隊発進を探知しました」

レーダー担当HDが報告した。


「艦隊?」

俺は聞いた。


「レーダーでは不詳ですが、通信情報を精査しますと、カシオペア座の民間船遭難に対応し、救助隊1個大隊が出動したようです」

レーダー担当HDは答えた。


「そうか、カシオペアかー」

「カシオペアがどうかしましたか?」

サクラが尋ねてきた。


「いや、そんな列車があったなー、と」

「列車?」

「あ、サクラは、列車って知らない?」

「データベースには記録があります」

サクラの記憶装置には入っているらしい。


* * *


黄色い機体の側面に[GR-01-001]の識別番号とともに、機体後部に目を移すと、人間の手が相手の手を掴んでいるイラストがマーク化されて描かれていた。そして、そのマークを「GALAXY RESCUE FORCE, GO! GO! RESCUE!」という文字がぐるりと囲んで書いてあった。

救難救助に命を懸ける部隊だという意気込みが、これを見ただけで、一目瞭然のマークだった。


「これよりワープ航行に入る!各自耐衝撃姿勢をとり、

ママを思い出して、…………おとなしく座ってろ」

各救助艇のチーフが隊員に命令した。


「こちらアルファ・リーダー、方位024、上下プラス1.2度、距離3,000。ワープポイント確認!」

テルネ大佐搭乗の[01-001]号機から全機へ伝えられた。


「全機!方位024!エンジンブースト200%!」

救助艇の群れは、エンジンを全開噴射した。


「距離1,000!」

50隻の救助艇が連なると、黄色い弓矢が飛んで行くように見える。


目前にワープポイントが迫ってくる。

「突入!!」

「イーーーーーーーーーヤッホー!」

黄色い弓矢は、

あっという間に宇宙の穴に消えた。


* * *


「大尉も艦長も、呼吸はできているのですか?」

調査官は、戦艦「ニュージャージー」のブリッジにいる通信担当のモラロ大尉に聞いた。


「自分は大丈夫ですが、艦長は危険な状態です」

「ブリッジに酸素はありますか?」

調査官は尋ねた。


「ありますが、万一を考えて、艦長にも宇宙服を着せました」

「よし、いい判断です」

「早く助けてください……」

生存者は、さぞ辛いだろう。


「さて、窓を割るか?」

調査官は作業員と打ち合わせた。


「大きいブリッジですから、残存酸素も多いでしょう。ですから、窓を破壊するとすごい勢いで吸い出されて、死傷の危険があります」

「そうだな。隔壁ドアを手動で少しずつ開けるか?」

調査官が提案した。


「隔壁ドアが一番頑丈ですから、酸素流出で壊れる可能性も少ないですしね」

「よし、

大尉、今の会話、聞こえていましたか?」

「はい」

「じゃ、壊れていない座席で体を固定してください」


大尉は、まず艦長を艦長席に座らせて、ベルトで固定した。そして、隔壁ドアから離れた席に座り、ベルトで自分の体を固定し、「オッケーだ」と連絡してきた。


調査官と作業員の3名は、もう一度艦内に入り、ブリッジへの通路へ向かった。

隔壁ドアの前の通路には、HDが門番のように立っていた。


「あれが手動ハンドルです」

作業員が言った。


「よし」

調査官はハンドルを掴んで、反時計回りにゆっくり回した。少しずつ回しているうちに、ドアが上に動いているのが分かる。ゆっくりとさらに回すと、ドアと床の隙間から、水蒸気のような煙や、チリやホコリのようなものが吐き出されてきた。


調査官はハンドルを止めたり回したり調整しながらブリッジの空気を抜き、ある程度やったところで作業員がビニール片のような物で流出が終わったことを確認し、ドアを全開した。


「あー、ありがとうございます!」

モラロ大尉が駆け寄ってきて、調査官に抱き着いた。

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