表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
54/132

【54】第17連合艦隊の生存者、確認

「全艦、出力80%」

第1遊撃機動艦隊7艦は、出力を上げ続けた。


「艦長」

サクラが呼んだ。


「なんだい?」

「司令、とお呼びした方がよろしいでしょうか?」

「どうなんだろね?」

「お立場は司令官ですので、やはり司令でしょうね?」

「サクラの呼びやすい方でいいよ」

「分かりました。司令」


ゴーーーーーー

わずかな音と、微かな振動が、ブリッジに伝わる。


「司令、ここのところ、各地で色々な事が起きているようです」

「そうなの?」

「しかも、また民間旅客宇宙船が巻き込まれているようです」

「そうか。だが、まずは[SRL5150便]をなんとかしなきゃ」

「そうですね」

「頼むよ、サクラ」

「かしこまりました。司令」


* * *


「注目!」

火星基地の一角にある宇宙救難隊のハンガーに1,000名の隊員が整列し、その前にテルネ大佐が立っていた。


「久しぶりに、我々の出番がやってきた。

今回は228光年先のカシオペア座である。

そこで、民間船が遭難したため、我々が救助に向かう。

我々にできない救助作業は無い!

1人でも多く助けてこい!」


大佐の訓示が終わると、

「ゴー!レスキュー!」

隊員全員が声を合わせた。


ギューーン

ドァーーーン

ドーーッ

隣のハンガーで、救助艇50隻がエンジンを始動させはじめた。


「ゴー!レスキュー!」

隊員たちは、大声で言い合い、

肩を叩き合い、胸を叩き合い、

腕を組み合い、お互いに気合いを入れている。


「ゴー!レスキュー!」

隊員たちは、駐機ハンガーへなだれ込んだ。


「乗ったら!閉めて!座れ!」

キィーーーーーーン!

キュィーーーーーン!

ドァーーーーーーー!

エンジンの出力が上がる。


「乗ったら!閉めて!座れ!」

バン!ガシャッ!

バン!バン!ガシャッ!

救助艇のドアが閉まり始める。


ギィィィーーーーーーーーーン!

キュィィィーーーーーーーーン!

エンジン音以外は何も聞こえない。


全ての救助艇のドアが閉まった。

パイロットが指で合図する。


ハンガー内の空気が排出され減圧した。

激しい振動だけで、音は何もしなくなった。


半球状のハンガーの天井が割れ、満天の星空が見えた。

ドームが半分くらい開くと、

側面に[GR-01-001]と書かれた黄色い機体の救助艇が上昇し、それに続いて番号順にドームの上空へ飛び去った。


* * *


こいぬ座プロキオン星系での第17連合艦隊の捜索はまだ続いていたが、戦艦[カリフォルニア]を旗艦とする第15連合艦隊は、未だ生存者を発見できずにいた。


「あれは、[ニュージャージー]だな」

[カリフォルニア]の舟艇のパイロットが艦名を確認した。


「ナンバー17は、全滅か」

回収作業員が言った。


「おい、そんなふうに言うな」

「…………」

いくら生存者を探しても、遺体やHDばかりでは、

そんな言葉も吐きたくなる。


「右舷に回ってブリッジに着けてくれ」

調査官は指示した。


プシュ

プシュー

スラスターで微調整しながら、舟艇は[ニュージャージー]のブリッジに接近した。


「あの上の穴から入ろう」

調査官以下3名の作業員が舟艇から[ニュージャージー]に乗り移った。


「服を引っ掛けて破くなよ」

ヘルメットのライトで照らしながら、真っ暗な通路を進むと、隔壁ドアのところでHDが5、6体ウロウロしている。作業員がHDの1体からデータを吸い出し、もう一人の作業員がリモコンで他のHDの動きを止めてやった。


「HDのデータでは、ブリッジの気密は保たれているかもしれません」

「そうか。手動ハンドルはどこだ?」

調査官は手動で回すハンドルを探した。


「あ、いきなり開けない方がいいんじゃないですか?」

作業員の一人が言った。

「もし、生存者がいたら、一瞬で死にますよ?」


「そうだな、俺としたことが、申し訳ない」

調査官は謝って、ブリッジの窓の外から中を確認することにした。


「HDのデータによると、艦長、副長、航海長、他数名の人間が中にいることになっています」

作業員が言った。


「よし、外へ回って見てみよう」

3人は入った破損箇所からまた外に出て、ブリッジの正面に回った。


「中を照らしてくれ」

ヘルメットのライトだけでは照度が足りないので、強力なライトで中を照らさせた。


艦をコントロールするコンソールの間の床に人間の足が見える。グラビティ・コントロール・シューズのおかげで、浮遊している人間は無い。


「あ!」

作業員が声をあげた。


「どうした」

調査官が寄ってきた。


「いや、何か動いたようで」

「あの動き回ってるHDを止めろ」

調査官に指示されて、作業員はリモコンでHDを止めた。


「あ、やっぱり、あそこに腕が」

「通信繋げられるか?」

調査官は言った。


「救助隊だ。聞こえるか?」

「はい、通信担当のモラロ大尉です。スラト艦長も生きてます」

「生存者がいて、よかった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ