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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
53/132

【53】第1遊撃機動艦隊 行動開始

銀河連邦運輸局の管制係に、スーパー・ギャラクシー・エアラインズからの運行計画データが届いた。

管制官は、濃縮エナジードリンクをチョビチョビ飲みながら、データを見てみた。


「カシオペア座α星シェダル星系、惑星シェダル・ベータかー。行ってみてーなー」

「あ、カシオペアのシェダルな!いい所らしいぞー!」

隣の管制官が、自分は行ってもいないのに、自慢気に言った。


「…………」

しかし、話し掛けられた管制官は、運行データを見たまま、何も答えなかった。

管制官は自分のコンソールで、このデータに連動した運輸局側のデータを表示させた。


「2隻……か?」

管制官は時間を戻したり進めたり、角度を変えたり、

色々な方法でこのレーダー画面を見直した。

「主任、ちょっと7番コンソールへ」

管制官は、主任管制官を呼び出した。


「どうした?」

主任は尋ねた。


「先ほど、スーパー・ギャラクシー・エアラインズから連絡があって、捜索依頼だったんですよ」

「なんだって?」

主任は驚いたようだ。


「ウチのレーダーでは、どうなってるんだ?」

「ロストしてます」

主任の問いに、管制官は答えた。


「ロストしたのに、なんで警報が出なかったんだ?」

「それが、分からない所です」

主任と管制官は、対応を考えた。


「いつの話だ?」

「えー、ざっと4時間くらい前でしょうか」

「そのレーダー画像を、さらに分析しろ」

主任は、管制官に命じた。


* * *


「[しらかぜ]より、艦隊全艦へ達する。

エンジン始動、アイドル・キープ」

ガニメデ軌道上で間隔200メートルを保持したまま、第1遊撃機動艦隊の7艦は、ほぼ同じにイオンエンジンに点火した。


「カズは、大丈夫か?」

俺は、サクラに聞いた。


「今のところ」

「よし、現地点より仰角90度で、先と同じ捜索編隊航行をおこなう。全艦へ通達してくれ」

俺は、全艦への通達をサクラに命じた。


「艦長、全艦より、準備完了の連絡あり」

「よし、行こうか」

[しらかぜ]以下7艦の駆逐艦は、イオンエンジンを噴射し動き出した。


「アップ・トリム、090」

ハロヤ航海長がコールする。

パシュッ

パシュッ


[しらかぜ]の艦首下部のスラスターが弱噴射され、前方が少し上を向いた。

ブリッジの前方の窓から見えるたくさんの星が、ゆっくり舳先の下へ隠れていく。


「この、デカい船を操る感じ、いいよねー」

俺は、しみじみ言ってしまった。


「トリムアップ、完了。両舷半速」

[しらかぜ]は、ガニメデ軌道に対し直立した体勢になり、エンジンを50%噴射した。


そして[しらかぜ]が上方向へ動き出し、2秒後、3秒後、6艦は次々とエンジンを噴射し、航行を開始した。


* * *


運輸局の管制官と主任管制官は、同じレーダー画像を注視していた。

「これが[SGA773便]です」

管制官は画面の光点と便名表示を指差した。


そして、画面をスロー表示にした。

1つの光点と便名表示が出たままである。

と、その直後、光点のすぐ左にくっつくように、もう1つの光点が現れ、ほぼ同時に光点は2つとも消えた。


「ワープか」

主任が言った。


「ワープ航行中の船が、[773便]に衝突したんです」

管制官は、そう推測した。


「じゃ、なぜ警報が鳴らなかったんだ?」

「船であることを示す光点は消えましたが、大量の残留物が、船として認識されてしまったのではないでしょうか」


ビーーッ!

ビーーッ!

ビーーッ!

警報が鳴った。

「消失警告!消失警告!」


管制対象が無かった何人かの管制官が、レーダー画面と運行計画を見比べながら、色々と操作を始めた。

「おい!そのエリアじゃないか?!」

一人の管制官が、主任管制官に言った。


「なんだって?」

主任は、レーダー画面をリアルタイムモードに変えた。


さっき2つの光点が消えた場所に、赤く大きな✕印が点滅し、その横に[SGA303]と、これも赤い文字で表示されていた。

「どうなってる?!」


主任は大声で聞いた。

「スーパー・ギャラクシー・エアの[303便]が、

消えたんです!」


* * *


「司令、運輸局から連絡です」

宇宙軍火星本部救難隊に一報が入ったのは、[SGA303便]がロストしてから5分後だった。


「救難隊司令、テルネ大佐だ」

「ぎ、銀河連邦運輸局管制係主任のトランです。じ、実は、み、民間旅客宇宙船が少なくとも2隻、そ、そ、遭難しました」

「少なくとも、と言うと?」

「も、もう1隻いた可能性もあります」

「2隻とも故障で停船して、救助が必要なのか?」

大佐は聞いた。


「い、いえ、そ、そうではなくて………」

「どうした、接触して動けないのか?」

「い、いえ………」

「ハッキリせんか!」

大佐はイラついてきた。


「あ、あくまで、す、推測ですが、

し、し、衝突による、だ、大事故かもしれません……」

主任の声は震えていた。

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