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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
46/132

【46】くじら座ミラの戦い

「こちら第38連合艦隊、旗艦[ジョージア]。くじら座方面第5防衛隊[ルイテン]応答せよ」

「こちら[ルイテン]、[ジョージア]どうぞ」

「こちら[ジョージア]。現在、貴艦隊支援のため、うお座方面からくじら座ミラ方面へ航行中。距離等の詳細を確認の上、ワープ航法にて急行の予定。貴艦隊に緊急事態発生の際は、司令部へ連絡するとともに他の援軍を要請し、本艦隊の到着まで全力を尽くすことを望む。以上」

「こちら[ルイテン]了解。現在、不明艦隊の索敵及び詳細を調査中。判明しだい、再連絡をおこなう。以上」


「よし、[ルイテン]の無事は確認した。

航海長、正確な航路計算の上、ワープ航行の準備をせよ」

「アイ、アイ、サー」

戦艦[ジョージア]の艦長、ケサン少将は、航海長に命じた。


「艦長、現在の我が艦隊位置うお座アルファ星系からくじら座アルファ星ミラまで310光年です」

「よし。それに基づいてワープ航行だ」

「アイ、アイ、サー」


* * *


「放出偵察衛星136機のうち、44機が行方不明です。全て60度の角内です」

くじら座方面軍第5防衛隊、旗艦[ルイテン]では、索敵及び防衛のために放出設置した偵察衛星が行方不明になっている事案を調査中に、不明艦隊の接近を探知した。


「艦長、不明艦隊は距離85,000、方位198で、行方不明となった衛星があった60度内から、本艦隊に接近中です」

「以前に遭遇したものと同じだと思うか?」

[ルイテン]の艦長、エルテ大佐は、航海長に尋ねた。


「軌跡から推測すると、同じかと思われます」

航海長は答えた。


「では、我が艦隊を断続的に追尾しているのか、挑発行為なのか」

「そこまでは分かりかねますが、一気に攻撃してくる意思は無さそうですね」

艦長の問いに、航海長は推論を唱えた。


「不明艦隊、数6、方位変わらず、距離70,000」

レーダー担当士官が報告。


「距離を詰めてきているか」

「今回は、そうですね」

エルテ艦長は、不明艦隊の出方と自艦隊の動きを計っていた。


「情報によると、各地域で出没している不明艦隊は、ミサイルを使用しないらしいな」

「はい、そのようです」

艦長と航海長の検討は続く。


「よし、両舷減速800」

「両舷減速800。ようそろー」

[ルイテン]を中心に、艦隊は速度を落とした。


レーダー担当士官は、レーダー画面を凝視している。

航海長は、コントロールパネルの数値に集中する。


「………」

艦長は、沈黙している。


エンジンの出力に連動して変化していた音と振動が安定した。

「速力800」

航海長が報告した。


「………」

艦長は、沈黙を続けた。


声をあげたのは、レーダー担当士官だった。

「距離60,000!速力変わらず!」

「よし!後方への集中攻撃準備!」

士官の報告に、艦長はすぐに命令を下した。


ウィーーー

ウィーーー

戦術長が、戦闘警報を鳴らした。


「全艦に達する!後方不明艦隊へ集中攻撃準備開始!」

戦艦[ルイテン][メンカル]、巡洋艦[ディフダ][カファル][バテン]の5艦は、艦後部の砲搭を全て後ろへ向け、ミサイル発射管、魚雷発射管に装填完了した。


「距離40,000」

「航海長、艦を安定させろ」

艦長は命じた。


「両舷減速500」

「機関、ようそろー」

「不明艦隊、速力変わらず、距離35,000」

レーダー担当が報告。


「………」

艦長は沈黙したまま、右手で全てを制し、

目で、レーダー担当士官を見ている。


士官は、レーダー画面と艦長を、交互に見る。

「距離30,000!」


艦長は、2秒、間を空けた。

「ミサイル!魚雷! てーっ!」


ドーーーッ

ドーーーッ

ズーーーン

ズーーーン

ミサイルと魚雷が発射される振動が、ブリッジに響いた。


他の4艦も、後方へ向けて、ミサイルと魚雷を発射したいる。


「不明艦隊、距離28,000、撃ってきません!」

レーダー担当が報告した。


「やはりな」

艦長は呟いた。


「両舷停止!艦、回頭!おも舵90度!」

艦長が命じた。


「両舷停止!艦、回頭!おも舵90度!、よーそろー」

[ルイテン]は前方にスラスター噴射しながら停止するとともに、前部左舷スラスターを噴射させ、右へ艦首を回した。


「ミサイル、目標まで15,000!」

第5防衛隊5艦は、1列に並んだ。

不明艦隊に対して、右舷を全てさらす態勢で。


「不明艦隊、距離20,000!

ミサイル、目標まで10,000!」


ピカッ

ピカッ

右舷遠方で光が放たれた。


「不明艦隊、ミサイルにレーザー射撃」

ビカーーーッ!

大きな爆発の光が起きた。

「ミサイル、命中!」


「不明艦隊、距離15,000!」

ビカーーーッ!

「ミサイル、命中!」


防衛隊のミサイルが当たっている。

「距離!10,000!」

レーダー担当士官が言うのと同時に、

エルテ艦長は大声で命じた。

「全砲門開け! てーーーっ!」


1列に並んだ艦隊の全ての砲門から、不明艦隊に向けてレーザー砲が発射された。

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