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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
38/132

【38】不明艦隊の痕跡

「[はまかぜ]より、[あきかぜ][きぬかぜ][さわかぜ]へ。そろそろ訓練終了でいいだろう」

[はまかぜ]イシダ艦長は、戦闘訓練中の3艦に伝えた。


「了解」3艦は答えた。

「戦闘能力も操艦能力も上がったか?」

「各艦とも、操艦については、もっと練習を積んだ方がよいと思います」

[あきかぜ]のヤマナカ艦長が答えた。


「また、じきに機会があるだろう。実戦かもしれないが」

アツシは言った。

練習を終えた3駆逐艦は、再びトンボー地域での着陸待機態勢に入った。


* * *


第15連合艦隊の各艦は、小型舟艇を出して、第17連合艦隊の残骸回収、調査を開始した。

真っ二つに折れた戦艦[コロラド]のブリッジ周囲には、多くのHDとともに、一目で人間と分かる物体も数多く浮遊していた。


「Oh! my god ひどすぎる」

舟艇の回収作業員たちは、悲痛な思いで大量の遺体回収をおこなった。また、大量のHDも。中には宇宙空間で手足をバタつかせて浮遊しているHDもあり、異様な光景だった。


残骸はあまりにも多く、舟艇はあっという間に満杯になり、何度も母艦と往復しなくてはならなかった。

「海王星軌道で攻撃された輸送船団の残骸についてのデータは見たか?」

「解析済みの分は、すでに司令部のデータベースに載ってたな」

回収作業員たちは、残骸や破片を見ながら言った。


「ここも同じだな」

「レーザーによる破断痕ばかりだな」

「ミサイルは使われてない」

「何故だろうな?」

「持ってないんじゃないか?」


* * *


「目標、距離10,000!射程に入りました!」

戦艦[むつ]のレーダー担当ニニロ大尉が報告。

「入ったら撃つんだよ!撃って、撃って、撃ちまくれ!」

艦長のエレノ少将はわめき散らした。


シュィーーーーーン!

シュィーーーーーン!

シュパ、パ、パ、パッ!

[むつ]の主砲と速射砲が発射を開始した。

音と振動がブリッジに響く。


後続の艦も、射程に入ったものから射撃を再開した。

シュィーーーーーン!

シュパーーッ!

後続の戦艦[のと]が発射したレーザー砲やミサイルが

[むつ]の右舷をかすめて前方へ飛んで行く。


ピカッ!

ビカッ!!

ピカッ!

前方でレーザーが不明艦隊に命中している。

ミサイルもあとわずかで命中するだろう。


その時、前方の宇宙空間で、眩い光が煌めき、

不明艦隊は、レーザーから消えた。

「逃げられました!」

ニニロ大尉が言った。


「バッカもーん!!なにやってる!!」

エレノ艦長は激昂した。


そんなこと言われても…。

レーダー担当のニニロ大尉は、

心の中で、そう思った。


「しかし艦長、先ほどの戦闘と今回の戦闘ともに、相手に損害を与えたと思われる交戦をおこなったのは、我が艦隊が初めてですよ」

怒り鎮まらないエレノ艦長に、副長のシダク大佐は言った。


「不明艦隊が消える時のあの光や、レーダー上の航跡残像から、航行方法はプラズマEMドライブと思われますので、やはり宇宙軍由来の艦隊と思われます。今回の接触でここまで分かったのは、我々の功績でしょう」

副長は、語った。


「そうか!そうだな!我々の功績だ!

早速、今回のデータを司令部に送れ!」


「了解しました」

エレノ艦長の機嫌は直った。


「測距、ロスト地点までどのくらいだ?」

副長は、レーダー担当ニニロ大尉に聞いた。


「あと3,000です」

「よし、後続のフリゲート艦群に、ロスト地点の残骸回収を指示せよ」


「アイアイサー」

「[むつ]よりフリゲート艦群FG-01、02へ。方位00、距離3000で、浮遊残留品を回収せよ」

ニニロ大尉は、後方の回収作業隊に指示した。

「こちらFG-01、アイ」


「ロストポイントまで、あと1,000」

「むつ」のフタラ航海長が報告。

「あそこらのが、そうかな?」

ブリッジの窓から前方を注視していか副長のシダク大佐が、何かを見つけて言った。


「キラキラしてますね。HDの破片でしょうか?」

暗視双眼鏡を見ながら、フタラ少佐が言った。


「後方より、フリゲート艦FG-01と02が回収に向かいます」

レーダー担当のニニロ大尉が報告した。

するとほどなく、[むつ]の艦橋左舷を、2隻のフリゲート艦が追い越して行き、前方のロストポイントで舟艇を降ろし始めた。


2隻のフリゲート艦は、3隻ずつ舟艇を降ろし、計6隻で回収作業をしている。

ここにある浮遊残骸及び破片は、全てがワープ逃亡する前に機動艦隊が発射したレーザーによって破壊された不明艦隊のものだ。きっとさらなる詳細なデータが得られるだろう。


その後、[むつ]の左舷をもう1隻のフリゲート艦FG-03が通過し、計9隻の舟艇がくまなく回収作業をおこなった。

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