【37】第17連合艦隊 全滅
「君らは、戦闘訓練とか、どうした?」
アツシが、ヤマナカ、シモダ、タグチ3艦長に聞いた。
「実は、出航が前倒しになって、まだ戦闘訓練は実施していないのです」
[あきかぜ]艦長、ヤマナカ少尉が答えた。
「そりゃ、問題だな。出航命令がいつ出るか分からない待機状態だけど、この冥王星でやってみっか?」
アツシが提案した。
「戦闘訓練の設備はあるのですか?」
[さわかぜ]艦長、タグチ少尉が質問した。
「いや、設備は無いが、岩を飛ばして標的にするくらいなら、できるだろ?」
「なるほど」
アツシの説明に、みんな納得したようだ。
「て、ことで、どうだろう?」
新しい艦長と話し合った結果を、アツシは、俺に提案してきた。
「いいね!アツシに任せるよ。司令部には、俺から連絡しとくよ」
俺は、アツシに戦闘訓練の実施を許可した。
2時間後、[あきかぜ][きぬかぜ][さわかぜ]の3艦は、アンカーを引き上げ、冥王星上空100メートルに上昇した。
[はまかぜ]から小型哨戒艇を飛ばし、冥王星地表面のちょっとした丘を微弱レーザーでちょいと吹っ飛ばす。
その破片のうち直径3メートル以上の物に限定して、標的とする。それを戦闘訓練として実施することにした。
なおかつ、直径1メートル以上の破片に接触したらその都度減点という課題を設けて、操艦訓練も同時におこなうこととした。
哨戒艇は喜んで丘を吹っ飛ばして回り、新米艦長が指揮する3隻の駆逐艦は、それぞれに散って、訓練を開始した。
* * *
「不明艦隊、増速!1,000、距離12,000。引き離されます!」
戦艦[むつ]のフタラ航海長が報告した。
「引き離されないよう、こちらも増速しろ!」
艦長のエレノ少将は、怒りとともに命令した。
「ブリッジより機関へ、増速、1,200!」
「機関、了解!」
旗艦[むつ]を先頭に、第4機動艦隊は不明艦隊の追尾速度を上げた。
「こちら旗艦[むつ]。艦隊最後尾のフリゲート艦FG-03は、通過宙域に浮遊する不明艦隊艦船の残骸及び破片を回収せよ」
「FG-03、了解しました」
前方の不明艦隊を攻撃しながら通過していく戦艦や巡洋艦、駆逐艦が通過した後、フリゲート艦FG-03は最後尾で停止し、舟艇を出して宇宙空間に漂う残骸や破片等を回収した。
「これは、宇宙軍の船の破片だ」
「こっちには…、…、
…人間の腕じゃないかな?…、…、」
舟艇に積み込みながら、回収作業員たちは言った。
* * *
「こちら第15連合艦隊、旗艦[カリフォルニア]より
第17連合艦隊[ニュージャージー]応答せよ。
[アラバマ][ケンタッキー][コロラド]応答せよ」
ふたご座ポルックス方面からこいぬ座プロキオン星系へ救援のため急行してきた第15連合艦隊は、大被害を受けてほぼ漂流中であろう第17連合艦隊を必死で捜索していた。
「レーダーのサーチレンジを広げろ」
戦艦[カリフォルニア]の艦長のカジン少将は、レーダー担当士官のジヤク大尉に言った。
「ワイドレンジレーダーに感あり。方位027、上下プラス1.3度、距離55万。大小の艦影あり」
「ナンバー17かもしれん。接近せよ」
「目標へ接近、アイ」
艦長の指示にシリネ航海長が答えた。
「ブリッジより機関へ、出力80%へ」
「機関、出力80%、アイ」
「距離50万、目標艦影に動きなし」
「航行不能なのか?」
艦長が聞いた。
「その可能性が高いと思われます」
副長のサミデ大佐が答えた。
「生存者がいればいいがな」
艦長はつぶやいた。
「駆逐艦、フリゲート艦、小型哨戒艇、輸送船は、舟艇を積載し、残骸及び破片等の回収準備を開始せよ」
副長が命じた。
「目標、方位変わらず、距離10,000」
戦艦[カリフォルニア]は、目標に近付きつつあった。
「艦長よりCIC、念のため主砲レーザー発射準備」
「CIC、アイ」
浮遊している艦艇の中に、どんな敵が潜んでいるかも分からない。
「目標、7,000。一番手前は、巡洋艦[テイラー]かと思われます。艦首が大破しています。モニターアップします」
前方の様子を写すモニターがアップになった。
「やはり被害は、レーザーによるものだけか?」
「ミサイルによる爆発破砕というより、レーザーによる破断形状が主なようです」
副長のサミデ大佐が言った。
「敵は、ミサイルを持っていないのか?」
レーダー担当ジヤク大尉が言った。
「当然、それも考えられる」
艦長は腕組みをして、思案した。
「ミサイル自体を所有していないのか、ミサイルを使用することができないのか、それとも意図してミサイルを使用しないでいるのか」
「距離2,000。一番手前は、やはり重巡洋艦[テイラー]で、その300先が戦艦[コロラド]です」
重巡[テイラー]は艦首3分の1が失われ、戦艦[コロラド]はブリッジを中心に、真っ二つになっていた。




