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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
30/132

【30】プロキオン星系の戦い

「艦長!ケンタッキー被弾!第3砲塔使用不能!」

ウィーーーーーン!

ウィーーーーーン!


艦内に警報が鳴り響く。

ドガーーーンッ!

大きな衝撃。

「本艦右舷中央に被弾!隔壁閉鎖!」


ガーーーンッ!

ドドドドッ!

「艦尾被弾!機関室火災発生!」


ウィーーーーーン!

警報が鳴り続く。


「原子炉、出力低下75%!」

戦艦[ニュージャージー]のブリッジは壮絶を極めていた。


「敵はどこだ?!どこから撃ってくる?!」

スラト艦長は混乱していた。


「レーダーが破壊されて、索敵不能です!」

「目視では、分からんのか?」

「遠方からのレーザー攻撃で、位置は分かりません」

「レーザーが発射された付近を狙って撃て!」

「やっていますが、当たっていません」

「ミサイルはどうした?!」

「全て、迎撃されています!」

「なんということだ」


ウィーーーーーン!

ウィーーーーーン!

警報が続く。


ドーーーーーーンッ!

ドガがガガカーンッ!

集中砲火を浴びているのは明らかだ。


「アラバマ、大破!航行不能です!」


第17連合艦隊は、宇宙軍の中でも最大級の艦隊だ。

旗艦の戦艦[ニュージャージー]を中心に、

戦艦6、空母3、イージス巡洋艦5、ミサイル巡洋艦5、重巡洋艦8、フリゲート艦10、駆逐艦15、さらに潜宙艦5隻までも加わった大艦隊だった。


それが、池に浮かべられた船のプラモデルが、上から降ってくる小石に破壊されていくようであった。


艦どうしが衝突している状況も見える。

駆逐艦が大爆発を起こして、完全に飛び散った。


「全艦退避!この戦闘宙域から離脱せよ!」

スラト司令は、全艦に命じた。

動ける艦は徐々に、散開しはじめた。


「魚雷艇、哨戒艇、掃海艇は、救助活動せよ」

完全に統制を失った艦隊は散り散りになり、

逃げ惑う大型艦の間を縫いながら、

小型艦艇が救助活動をおこなった。


しかし、その間も、レーザー砲の雨が降ってくる。

敵の攻撃はレーザー砲のみで艦隊を破壊している。

ミサイルなどでの攻撃が無いので、

敵の兵器の痕跡が残らない。


「全艦、撤退せよ!この戦闘を放棄せよ!」

第17連合艦隊は、この戦いから撤退した。


宇宙軍本部への第1報では、

大型戦艦[ニュージャージー] 大破。航行不能。

大型戦艦[アラバマ] 大破。航行不能。

戦艦[ケンタッキー] 中破。艦長死亡。

戦艦[コロラド] 大破。航行不能。艦長死亡。

その他艦船の詳細は不明。

以上が報告された。


* * *


「艦長、こいぬ座プロキオン星系で、大規模戦闘があったようです」

[しらかぜ]のブリッジで、サクラが報告した。


「プロキオン?」

「艦長も、もう少し宇宙について勉強するといいですね。こいぬ座のプロキオンは、おおいぬ座のシリウスと、オリオン座のベテルギウスとともに、冬の大三角形として有名ですよ」


「あ!冬の大三角ね!それなら知ってる!」

「冬の大三角という名前だけ知っているという意味ですよね?」

「あ、はい、おっしゃる通りです」


「しかし、一体、何が起こったのでしょう?」

サクラは、ネットワークで探りをいれているようだ。


「交戦したのは、第17連合艦隊のようです」

「連合艦隊となれば、デカいんだろ?」

「戦艦6隻、空母2隻を中心とした、大型艦艇だけでも50隻から成る大艦隊です」

「で、どうなったんだ?」

「全艦が戦線離脱、撤退しました」

「被害は?」

「艦隊全体の被害率は、93%です」

「敵の見当はついてるのか?」

「ここ海王星軌道でも要検証な事態が起きましたが、

状況としては、酷似しています。

つまり、敵の痕跡が不明です」

「どうも、おかしいな。未知の新しい敵か?」

「現時点では、何ともいえません」

「分かった。進展があったら、教えてくれ」

「了解しました」


「航海長、進路を冥王星へとれ」

「進路、冥王星。了解しました」

ハロヤ航海長は復唱した。

「方位725、両舷半速前進、速力500」

微妙な機械音と振動が[しらかぜ]のブリッジに伝わった。


* * *


ピュー!フィー!

[はまかぜ][いそかぜ][つきかぜ]3艦の艦内に号笛が

響いた。


「[はまかぜ]より各艦に達する。

これより本艦隊は、おおいぬ座方面軍第3駆逐艦隊集結地点の冥王星へ向かう。目標までの距離は、59億キロメートル、所要時間は約6時間である。航行中は前方航路の異常確認と周辺宙域の警戒を厳となせ。3艦、無事に目標へ到達することを望む。以上」


「機関、アイドルから出力50%へ」

「エンジン出力50%、了解!」

各艦長は航海長へ命令し、

3隻の駆逐艦は、2基のメイン艦尾エンジンノズルからイオン化ガスを噴射し、編隊航行態勢で前進を始めた。


目標の冥王星までの距離は59億キロ。トロッコ・フライ航法で、約6時間の道のりである。

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