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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
28/132

【28】サクラの宇宙図鑑解説

「船体の破片と、護衛艦の速射砲の砲身、輸送積載物の破片、HDの一部を回収しました。現在、本艦第5物資搬入減圧室で放射能及び宇宙線量を測定中です」

[しらかぜ]のブリッジで、サクラが報告した。


「攻撃被弾で破壊されたのか?」

「ほぼ間違いないでしょう」

何者かからの攻撃を受けて輸送船団が全滅したと、

サクラは推測した。


「宇宙軍の物以外の痕跡は?」

「今のところ、発見されていません」

「交戦の痕跡は?」

「もちろん、直衛艦隊は応戦しています」

「では、宇宙軍同士の戦闘だと?」

「その可能性が非常に高いと思われます」

サクラは、仲間である我ら宇宙軍が輸送船団を襲ったと言っている。

だとしたら、目的は何か。

物資の強奪か。

または、反乱か。


「また、まだ完全な計算結果を得ていませんが、浮遊物の総質量と元々の輸送船団の総質量が合致します」

「と、言うと?」

サクラに、先の説明をうながした。


「直衛艦隊が応戦したはずですが、敵の艦艇等の痕跡が含まれていません」

「敵には、1発も命中しなかったというのか?」


「いえ、総質量が変わっていないということは、物資の強奪ではなく、船団の破壊が目的だったと思われます」

「なるほど。調査、ご苦労。データは火星本部へ送っておいてくれ」

「了解しました」


とりあえずこの事件の初動調査は終わった。

おそらく今ごろ、回収部隊が編成され、これらの大量のの浮遊残骸は、海王星の衛星トリトンの基地に運ばれ、詳細な調査がおこなわれるだろう。


* * *


カズは[つきかぜ]のブリッジに戻った。

ピィー!フィー!

「艦長はブリッジ」

スミレが号笛を鳴らして、艦長の所在を告げた。


「さてスミレ、遅れをとったな。行くか!」

「了解しました。ちなみに私、専任曹長の任命を受けました。よろしくお願いいたします」

「おー!おめでとう。たとえ人間でも、部下には厳しく命令してくれよ」

「了解しました」


スミレは向きを変えて、

「ビルザ航海長、出航準備せよ」

「出航準備、了解」

航行システムコンソールにいたビルザ航海長が、

スミレに復唱した。


「ブリッジより機関へ。

イオンエンジン、アイドルから出力30%へ」

「こちら機関。了解」

「[つきかぜ]より地上管制へ。これよりアンカー解除する」

「こちら地上管制。アンカー解除了解。地上員退避します」


63番ハンガーで空中に固定されていた[つきかぜ]は、全てのアンカーから解き放たれ、晴れて自由の身となった。

「[つきかぜ]より防空管制へ。これより出航する」

「火星基地防空管制より[つきかぜ]へ。出航を許可する。グッドラック」


「下方スラスター噴射。垂直上昇100メートル」

スミレは、全ての指示を流れるようにおこなう。

[つきかぜ]は63番ハンガー上空100メートルで静止した。


* * *


「これから、どうするか」

俺は、サクラに問い掛けた。

「そうですねー。特段の命令もありませんから、この太陽系内で我が第3駆逐艦隊の集結を待つのがよろしいかと」


「どこで待つのがいいかな?」

「土星の雲の中を漂うか、タイタンのメタンの海にプカプカ浮かんで待つとか」

サクラは答えた。

「面白いこと言うねー」


俺は、ブリッジのモニタースクリーンで星の図鑑を見ながら言った。

「太陽系に一番近い恒星は、プロキシマ・ケンタウリか」

「はい。ケンタウルス座の赤色矮星で、地球から、4.2光年の距離です」


「赤色矮星ってのは、太陽の未来の姿なのかい?」

「いいえ。例えれば、太陽の赤ちゃんです」

「赤ちゃん?」

「はい。太陽になりきれていないというか」

「へーーー。太陽の赤ちゃんか」

「太陽より小さいため、内部の核融合反応がゆるやかで、今後、太陽よりもはるかに長い時間、輝き続けます」


「ほおーーー。あの近くに、惑星もあるんだよな?」

「プロキシマ・ケンタウリ・ベータ惑星があります。

プロキシマ・ケンタウリのハビタブル・ゾーン内にあり、水の存在が確認されています」

「宇宙ってのは、すごいよなー」

俺は、宇宙が大好きだ。


「太陽も大きくなってるんだろ?」

「膨張と収縮を繰り返す傾向のようです」

「で、爆発するの?」

「太陽程度の質量では、超新星爆発には至らず、赤色巨星となった後、白色矮星となり、冷めていきます」


「デカい恒星は、爆発するの?」

「そうです。そして大爆発後の残骸やガスが大きな重力で集まり、中性子星やブラックホールになります」


「あの、真ん中に串が刺さったみたいのが、中性子星?」

「そうです。高速で回転し、秒単位で規則正しくX線や、ガンマ線を放出しているので、パルサーと呼ばれます。世界で最初のパルサーは、1960年代に発見され、CP1919と名付けられ、地球から2,300光年離れています。ちなみに一番最近発見されたパルサーは、PS72系パルサーといいます」

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