【27】[いそかぜ] 戦闘訓練航行
[しらかぜ]は、海王星軌道ポイント195宙域目前で完全停止した。
ピィー!フィー!号笛が鳴る。
「艦長より達する。周辺宙域警戒を厳となせ。
索敵、測距、観測、警備の各部署は協調して当該宙域での事象の究明にあたること。
また、艦外に関る作業については、事前に有害線量等の計測をおこなうこと。異常を発見した場合は、即時、専任曹長まで報告すること。以上」
フィー!ピィー!
「艦長、ドローンで、小破片を回収しましょう」
サクラが提案した。
「よし。接触時に有害線量等を計測し、問題がなければ一時減圧室に入れて、物理的調査をしよう」
「同意します」
俺の提案に、サクラは同意してくれた。
「空間活動技術班は、右舷ドローンヤードへ集合せよ」
サクラは、ドローンを操作する技術班に集合をかけた。
「技術班に、ドローンで破片回収してもらいます」
「おっけー」
「ラフな承認ですね」
「2人だけの時は、いいだろ?」
「私は、構いませんが、部下のいる前では、ちょっと」
「わかってるよー」
今の俺は、ピシッとしている。
シャツもパンツもネクタイも、色は変わらないが、
糊が効いて折り目もキッチリ付いている。
そして、オリーブ・グリーンの上着と制帽。
制帽に付いてる金属製のエンブレムマークは、
すげーカッコイイ。
昔観た戦争映画のアメリカ軍将校の帽子に付いていたマークに憧れたけど、あれにも劣らない。
軍服はあんまり進化し過ぎないでよかったと思う。
* * *
[いそかぜ]と[はまかぜ]は並んで航行していた。
高度4,000メートル、時速1,000キロ。
「レーダー、感あり。方位028、上下プラス2.3、速力300」
「CICより艦長へ。捕捉しました」
「てーっ!」
[はまかぜ]の艦首1番砲搭1門から、レーザーが発射され、目標に命中した。
「うわー!さすがですね!探知から命中まで20秒!」
[いそかぜ]のシンヤが感動して言ってきた。
「実力!実力!
他にいくつか仕掛けてあるから、練習しとくれ」
「[いそかぜ]了解」
[いそかぜ]のレーダーに目標が写りはじめた。
まずは左舷の速射砲が細かなレーザーを連射した。
左舷上方でいくつかの爆発が確認できた。
シュパーーーン!
2艦の間を、左上から来たミサイルが通過した。
「おい!撃ち漏らすなよ!」
アツシがシンヤに怒って言った。
「申し訳ない」
[いそかぜ]の2番砲搭がレーザーを発射した。
不集束レーザーだ。
前方が数秒間、花火大会のように輝き、細かくなったクラスターミサイルが消滅した。
「いいね」
アツシがつぶやいた。
[いそかぜ]の舷側からミサイル発射管が出てきて、前方へ1発、発射された。
アツシはストップウォッチを見た。
7、8、9、10、11
ピカーーーッ
前方で大きな爆発を確認した。
「こちら[いそかぜ]。敵魚雷艇、撃沈しました」
パチパチパチパチ
ピィーーーーー!
[はまかぜ]のブリッジで拍手や口笛が鳴った。
「お見事。お祝いが聞こえるか?」
「こちら[いそかぜ]、ありがとうございます」
「これからも訓練を重ねて、お互い、強くなろう」
「了解。よろしくお願いいたします」
「そんな堅苦しい。俺たち、同期だぜ!」
* * *
[つきかぜ]のドバシ艦長は、泣きそうだった。
「ここが怪しそうですね」
ミスロ機関長が、電子テスターを当てながら言った。
「電気系だと思うんですがねー」
「マニュアルはあるのかい?」
俺は、ミスロ機関長に聞いた。
「ここに」
機関長は、自分の頭を叩いた。
「ジェネレーターからのこの線を、短絡させましょう」
「それって、ショートっていうんじゃない?」
「別名、そういいますね」
「おい!コネクタはできたか?」
機関長は、作業をしていたHDに叫んだ。
「これでよろしいでしょうか?」
HDは、作ったコネクタを機関長に見せた。
「まー、いいだろう」
機関長は、コードの束が繋がったコネクタと、HDが作ったコネクタを接続させた。
バンッ!
一瞬、火花が飛んだ。
キューーーン
キューーン
キューンキューン、
キュンキュン、
キュキュキュキュ
なんか機械が動き出した。
「はぁー、これでオッケーでしょう」
ミスロ機関長は額の汗をぬぐって言った。
「こんな簡単な処置でいいのかい?」
カズは心配になって聞いた。
「またダメになったら、原因はここだって、すぐ分かるでしょ」
ミスロ機関長は、笑って言った。
「とは言え、代替品は発注しておきますので、心配ないですよ」
機関長はカズの肩を叩いて、機関室を出て行った。
「復旧したようですね」
ブリッジに戻ると、スミレが言った。
「ああ。また、なるかもだけどな。
悪いけど、ちょっと寝てきていいかな?」
カズが言うと、
「どうぞ」
スミレが答えた。
カズがブリッジから出て行って、
20分くらいで戻ってきた。
「一晩寝てきちゃったよ」




