【22】[はまかぜ] 戦闘訓練
ピュィーーーン!
捕捉警報が鳴った。
「レーダー感あり。1番は方位065。上下マイナス32度。速力200。地表から発射された地対空ミサイル」
測距士官のタラン軍曹が報告した。
「艦長よりCICへ。
下部速射レーザー砲対応、照準合わせ」
「CIC、了解。」
「レーダー感あり。2番は方位327。上下プラス2.5度。距離5,800。速力300。水平航行ミサイル。接近中」
「艦長よりCICへ。2番に対応せよ」
「CIC、艦首集束レーザーで対応します」
「レーダー感あり、3番4番。数2。方位280。上下プラス15度。距離6,000。速力500。水平航行ミサイル。クラスターミサイルの可能性90%。急速接近中」
測距士官のタラン軍曹が立て続けに報告する。
シュン!シュン!シュン!
艦首下部速射レーザー砲が発射された。
ピカッ
艦首右下方向で、爆発を確認した。
「1番、命中!破壊しました」
タラン軍曹が報告する。
「よろしい」
「艦長よりCICへ。3番4番に対応せよ」
「CIC、了解」
シュイーーーン!
艦首1番砲搭1門からレーザー砲が発射された。
その間に2番砲搭が左舷へ転向した。艦尾3番砲搭も左舷を向いたようだ。
ピカッ
ほぼ前方で爆発を確認した。
「2番、命中。
続けて感あり。5番は、方位010。上下マイナス5度。距離8,000。速力200。測距電波検知。敵高速魚雷艇の可能性85%」
シュイーーーン!
シュイーーーン!
艦首2番砲搭3門と艦尾3番砲搭3門、
合わせて6発のレーザー砲が発射された。
不集束レーザーで、遠くへ行くにつれて少し拡がる。
子ミサイルをばらまくクラスターミサイルに対応したものだ。
「艦長よりCICへ。5番に対応せよ」
「CIC、了解。空対空ミサイルで対応します」
ウィーンという軽い機械音がして、左右両舷側にミサイル発射管がせり出した。
パシューン
パシューン
1発ずつ両舷側からミサイルが前方へ発射された。
ピカッ!
パッ、パッ、パッ。
ピカッ!
パッ、パッ、パッ、パッ。
左舷で多数の爆発を確認した。
「3番4番、命中。本体消滅、クラスター消滅」
「ベリーウェル」
「レーダー感あり。6番7番。方位010。距離7,000。速力500。敵高速魚雷艇が発射した迎撃魚雷です」
「ちくしょー、ダミーのくせに。
艦長よりCICへ。6番7番に対応せよ」
「CIC、了解。艦首不集束レーザーで対応します」
「レーダー感あり。8番9番。方位同じく」
シュイーーーン!
艦首砲搭からレーザー砲が発射された。
「8番9番、方向転換!」
タラン軍曹が叫んだ。
「なんだと?」
ピカッ!
ピカッ!
前方で爆発を確認した。
「6番7番、命中」
「艦長よりCICへ。
8番9番へ舷側速射砲で手動射撃。
相手はモニター誘導ミサイルと思われる」
ブリッジのモニターに、
両舷から接近してくるミサイルが映った。
排煙の様子から、直線ではなく、不規則飛行しているのが分かる。
パパパパパッ
パパパパパッ
ミサイルに狙いを定めた速射砲が発射された。
ピカッ
ピカッ
両舷で爆発を確認した。
「8番9番、命中。破壊しました」
ふうーっ
アツシは深い息をついた。
「タラン軍曹、空域探査。他に異常がないか調べろ」
「了解。コンピュータ・レーダー、連動探査。
ただ今の戦闘で発生した破片以外、危惧すべき物体は無いようです」
タラン軍曹は、報告した。
「艦長より全艦へ。これをもって戦闘訓練を終了する。異常を発見した場合は報告の上、適宜対処せよ」
「タラン軍曹、お疲れさん」
「お疲れ様でした。艦長」
タラン軍曹は、アツシに敬礼した。
* * *
「終わったみたいだな」
俺は、サクラに言った。
俺は、[はまかぜ]の戦闘訓練の様子を、ワイドレンジレーダーで見ていたってわけだ。
「あれなら、中尉になるかな?」
俺はサクラに言った。
「見事な対応でした。昇級は間違いないでしょう」
「面白くなりそうだな」
「そう言えば、シンヤとカズはどうなってる?」
「カドマツ少尉の[いそかぜ]、ドバシ少尉の[つきかぜ]ともに、出航準備中で、予定時刻は明後日の0800時です」
「所属は、俺らと同じかい?」
「はい。おおいぬ座方面軍第3駆逐艦隊です。
[いそかぜ]は3番艦、[つきかぜ]は4番艦です。
また、本第3駆逐艦隊は10艦編成となりますので、さらに6艦が加わります」
「すげー大艦隊じゃん。そんなになるなんて、聞いてなかったよ」
「軍上層部は、新戦略へ転換したようです。機動力のある駆逐艦を増強して、セーフティネットの目を細かくするような感じなのではないでしょうか」
サクラは、推測して言った。
「なるほど。大型艦艇で広範囲をカバーするより、小回りの効く駆逐艦で、確実な戦果を挙げるわけか」




