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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
20/132

【20】4人でスタートラインに

「現在本艦は、高度2,500メートル、上下角15度、時速6,800キロで航行中」

航海長のハロヤ軍曹が報告した。


ブリッジの左側の窓の外には、少し遅れて同型の駆逐艦[はまかぜ]が800メートルほどの距離を取って並走している。


「航海長、出航は合格かな?」

「お見事でした」

俺は、艦の出航状況について、ハロヤ航海長に聞いた。


「サクラは、どう思った?」

「私も、同感です」

サクラに褒められた。嬉しいもんだ。


左手首の腕時計がバイブレーション振動している。

ふと見ると、「LEVEL-UP-25」と表示されていた。


「サクラ、レベル25って?」

俺は、サクラに尋ねた。


「艦長職務の初級クラスに合格です。出航準備と発進操艦のスキルアップが高得点だったのでしょう。

また、間もなく中尉への昇級となるでしょう。駆逐艦といえど、艦長の階級が少尉では低すぎますので」

サクラは、説明した。


「自分が少尉で航海長に任命されたのも、本艦独自の特例だと思われます」

ハロヤ航海長も、今の[しらかぜ]での階級編成に違和感を感じているようだ。


「順調にスキルアップして、艦長としてならば、少なくとも佐官クラスへ昇級してください」

サクラは進言した。


「はい、はい、了解」

俺は、サクラに敬礼してみせた。


* * *


バスの座席のようなシートで、

シンヤは目を覚ました。


「どこだ?ここは」

シンヤはキョロキョロと辺りを見回した。

シートだけが並んだ、窓の無いバスのような室内。


「火星基地です」

後ろの方に座っていたシンヤ付きのHDが言った。


「か、火星?」

「はい」

「おい!カズ!起きろ!」

シンヤは、隣のカズを揺り起こした。


「ふがっ?、どーした?」

カズは寝ぼけているようだ。


「火星だってよ!」

「なに言ってんだ?」

すぐには、飲み込めないだろう。


「とりあえず、ここから出てください」

2体のHDに続いて、シンヤとカズは、廊下に出た。

広々としてにぎやかな、火星基地である。


「それ、なんだ?」

シンヤが、自分付きのHDの左胸を見て言った。


「ユリの花のシールです」

「なんだ?そりゃ」

「クロダ少尉のサクラから連絡があり、少尉の部屋にあるシール帳からユリの花のシールをはがして、私の胸の部分に貼っておくようにと」

HDは、説明した。


「クロダ少尉のサクラ?」

「少尉付きのHDは、サクラという名前です」

「なんで、サクラなんだよ」

シンヤは笑った。


「桜の花のシールが貼ってあるからです」

「あ!なるほど!」

カズが手を打った。


「じゃ、これはなんだ?」

カズは、自分付きのHDの胸を指して聞いた。


「スミレ。というようです」

「スミレちゃんか!」

カズは、手を叩いて笑った。


「総合します。

クロダ少尉のHDは、サクラ。

イシダ少尉のHDは、ウメ。

カドマツ曹長のHDは、ユリ。

私、ドバシ曹長のHDは、スミレです」

スミレは、説明した。


「なるほど、あいつ、うまいこと考えたな」

シンヤは感心したようだ。


「ちなみにこの後、先に行われた太陽系方面軍司令官の録画ブリーフィングをご覧いただき、お2人とも少尉昇級の任命を受けていただきます」

ユリが説明した。


「メチャクチャ撃たれちまったのに?」

シンヤは意外に思って言った。


「大丈夫です。今後のスキルアップを頑張れば」

「はい、はい」

「そして、その後、艦を任されます」

「ん?」

シンヤはユリに聞いた?


「艦を任される?」

「カドマツ、ドバシ、両少尉は、

それぞれ駆逐艦の艦長に任命される予定です」


「か、か、艦長?」

ユリの説明に、シンヤは驚いた。


「おい!カズ!俺ら、艦長だってよ!」

シンヤはカズに言った。


「内定段階ですので、大声で言わないでください」

スミレが怒って言った。


「あ、はい、すんません」

シンヤは小さくなった。


「でも、そんな簡単に艦長になれるもんか?」

シンヤは、率直にユリに聞いた。


「現在の宇宙軍には、初級練習用駆逐艦が余っているのです」

ユリは、率直に答えた。


「現在募集中の候補生には、それでスキルを積んでいただき、その後、現在建造中の高等及び大型艦艇へ移籍していただき、銀河系防衛の中核及び上層部へと昇格していただくのが、宇宙軍中枢部の計画です」


「壮大な計画だな」

カズは、腕を組んで感心した。


ユリとスミレに連れられて、

シンヤとカズは、ブリーフィングルームに入った。

部屋には他に十数名の候補生らしき人がいた。


モニターに司令官が映り、訓示をたれた。

話が終わり、起立して敬礼すると、

ブリーフィングルームのガラス張りの天井の上を、

2艦の駆逐艦が編隊航行していくのが見えた。


「クロダ中尉の[しらかぜ]と

イシダ少尉の[はまかぜ]です」

ユリが、天井を見上げて言った。


「今後、お2人も、あそこへ編入していただきます」

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