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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
17/132

【17】貴官を、駆逐艦の艦長に任命する

「太陽系方面軍司令、エスナ中将だ」

ブリーフィングルームの出口で、

俺とアツシは、これまた貫禄のある制服軍人に呼び止められた。


「クロダです」

「イシダです」

俺らは挨拶した。


「上官殿には、敬礼が必要です」

サクラが、俺らに忠告した。


俺たちは、改めて、エスナ中将に敬礼した。

中将、すなわち司令が答礼して手を下ろすと、

俺らも、手を下ろした。


「ブリーフィングは、ご苦労だった。本来であれば、

この後、任官式を行うのだが、緊急時であるため、割愛する。

今後、クロダ君は少尉となり、駆逐艦[しらかぜ]の艦長を命ずる。

また、イシダ君は少尉となり、駆逐艦[はまかぜ]の艦長を命ずる。

2名とも、銀河系全体の期待に応えるべく、任務にあたってもらいたい。以上」

司令はそう言うと、俺たちに敬礼し、

返礼を確認する間もなく去ってしまった。


「俺、艦長だって」

アツシが言った。


「[はまかぜ]ブッ壊したのにな」

俺は、言ってやった。


「実艦で訓練を積んで、スキルアップしてください」

サクラは言った。そして続けて、


「命令を受信しました。

クロダ艦長は、27番ハンガーの駆逐艦[しらかぜ]に乗艦すること。

配属は、おおいぬ座方面軍第3駆逐艦隊、旗艦とする。

イシダ艦長は、31番ハンガーの駆逐艦[はまかぜ]に乗艦すること。

配属は、おおいぬ座方面軍第3駆逐艦隊、2番艦とする。

両名とも乗艦後ただちに出航準備を開始し、2日後の0800時までに完了し、報告すること。

命令は、以上です」

と、俺たちに伝えると、敬礼した。


「少尉殿。命令を受諾しましたら、私に向けて了解の言葉とともに答礼してください。私はそれを、発令者に報告いたしますので」


「クロダ少尉、了解しました」

「イシダ少尉、了解しました」

俺らは、それぞれ、指示どおりにした。

まだ、軍隊ごっこをしている夢を見ているようだ。


「シンヤとカズは、どうしたかな?」

ハンガーに向かいながら、俺は、アツシに聞いた。


「シンヤとカズは、どうした?」

アツシは、ウメに聞いた。


「お2人とも、現在シミュレーション中です」

「おー!そうなのか!

あははは、艦を消滅させなきゃいいけどな」

俺は、笑ってしまった。


「でもさ、お前の相手は、単なる偵察衛星で、

俺の相手はクラスターミサイルを撃ってくる巡洋艦なんて、すげー不公平じゃねーか?」

アツシは、不平たらたらだ。


「あれは、どんな目標でも、どんだけ適した対応ができるか見たんだろ」

俺は、自慢気に言った。


「なにを、偉そうに」

アツシはとっとと前へ歩いて行ってしまった。


* * *


ウィーーーン!

ウィーーーン!

被害警報が鳴り響き、赤色警報灯が点滅している。


「はい、そこまでで」

シンヤに向かって、HDは言った。


「艦首に小型ミサイルが命中。前部にレーザー砲が2発、艦橋基部、上方ミサイル発射管、艦後部にそれぞれレーザー砲が1発ずつ。全て艦の右舷側です。

敵に対しては、側面は見せない方がいいですね」


シンヤは、ガックリした。

「ま、どーせ、遊びじゃん」


* * *


ビーーーッ!

ビーーーッ!

警報が鳴り響いて、エンジン音と振動が止まった。


「はい、そこまでで」

カズに向かって、HDは言った。


「大型のデブリを左舷エンジンノズルに吸い込んだようです。

周囲の小惑星の運動予測と、デブリなどの障害物を避けるための的確なスラスター噴射など、操艦自体はお見事でしたが、前方の避けられない小惑星は事前にレーザー破壊すべきであって、艦をバックさせるのは、やめた方がよかったですね」

HDは、そう論評した。


「そうだよな。トラックじゃねーんだし」

カズは、ため息をついた。


シンヤとカズは、同じタイミングで廊下に出た。


全面、真っ白な狭い廊下。

2体のHDがついてくる。


「クロとアツシは、どうしたかな?」

シンヤは、カズとHDを交互に見ながら言った。


「クロダ少尉とイシダ少尉は、火星基地にいらっしゃいます」

シンヤ付きのHDが答えた。


「少尉?あいつらが?」

「はい」

「シミュレーションで高得点だったのか?」

カズが聞いた。


「クロダ少尉は敵の偵察衛星を破壊し、

イシダ少尉は、敵のミサイル巡洋艦の攻撃を受け、大破しました」

HDは、説明した。


「それで、少尉になれるのか?」

シンヤが不服そうに言った。


「被害を受けましたが、やむを得ない対応だと評価されました」


「ふーん」

HDの評価を聞くと、カズは腕を組んでうなった。


「で、それから?」

シンヤが聞いた。


「クロダ少尉は[しらかぜ]艦長、イシダ少尉は[はまかぜ]艦長に任命され、現在出航準備中です」

HDの説明を聞くと、


「シミュレーションで大破しても、艦長になれるのか」

カズがボヤいた。


「上層部の判断です」

HDがなだめた。

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