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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
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【16】未来は、ディストピア

「大破したって?」

俺は、アツシに言った。


「うるせーよ」

アツシは、イラついている。


「もう一度やらせてくれれば、撃沈してやるのに」

アツシは、そうとう悔やんでいるようだ。


「またチャンスはあるだろ」

俺は、慰めのつもりで言った。


「ウチへ帰らないでいいかな?」

アツシは、またホームシックか?


「俺らがウチからこっちへ来てる間とか、

こっちからウチへ行ってる間とか、

時間を繋げちゃって、

俺らがいない時間てのが無いようにできるみたいだから、心配はいらねーんじゃないか?」

俺は、分かる範囲で説明した。


「クロさん、少しお休みになられたらいかがですか?」

サクラが俺を心配してるのか。


「では、アツシさんは、お隣へ」

ウメに連れられて、アツシは隣の部屋へ行った。


「じゃー、少し寝るかな」

俺は、部屋に残って、サクラに言った。


「どのくらいお休みになりますか?」

「そうだなー。3時間くらいかな?」

「かしこまりました」

サクラは言った。


「おはようございます」

サクラは言った。


「は?」

「3時間お休みになられたので、起こしました」

サクラは言った。


「全然、寝てねーし」

「いえ、お休みになられましたよ」

腕時計を見ると、確かに時間が進んでいる。


「時間を切って、繋げたのか?」

「はははは」

サクラは笑った。


「おい、時間を返せ!」


隣の部屋でも同様にアツシは起こされていた。

「もっと寝かせてくれよー」

「3時間程度の仮眠が、一番良いらしいですよ」

ウメは、アツシに言った。


「3時間も寝てねーだろ」

「いいえ、寝ました」

「はい、はい、分かりましたー」

結局は、ウメには抵抗できない。


「この後、1700時から、ブリーフィングがあります」

「作戦会議かい?」

「はい」

「そーゆーの、苦手なんだよなー」

「一応、アツシさんは、軍の組織の一員ですから」


これは、俺にもサクラから伝えられた。


「ブリーフィングか。

そー言えば、この火星基地の司令官は?」


「イタフ提督です」

サクラは答えた。


「イタフ提督ねー。

つーかさ、この世界の人たちは、変な名前が多いね?

みんな、どういう意味なの?」

俺は、サクラに疑問をぶつけた。


「身分、階級、職業、出自、様々な立場を総合されて選定された名前を持っています」


「え?」

俺は、驚いた。


「じゃー、名前で、身分とか階級とかが分かると?」

「はい」

「じゃー、名前だけで、差別されるんじゃないか?」

「特段の差別意識は発生しません。そのような危惧がある場合は、様々な方法により不利益を被らないような調整がおこなわれます」

サクラは答えた。

サクラのようなアンドロイドには、

差別は無いのだろう。


人類にはバージョンによる格差があり、

スキルアップによってポジションが上下し、

内臓チップによって、個人が管理される。

この時代、この空間の世界は、

完全な管理社会。


完全なディストピアなんだ。


ブリーフィングルームは、大学の教室みたいだ。

奥に大きなスクリーンの前に演壇があり、そこに勲章をたくさん着けた威厳のある制服軍人が上がると、室内の全員が立ち上がった。


演壇に上がったのが、イタフ提督なんだろう。

提督が椅子に座り、制帽を演台に置くと、

室内の全員が着席した。


俺は、こーゆー雰囲気が大嫌いだ。

大勢の前で間違いを指摘され、

吊し上げ状態になるのが、極端に嫌いだ。

まー、そーゆーのが好きな人は、いないだろうが。


「クジラ座方面軍からの報告によると、銀河系相対角42度方向から、クジラ座ミラに向けて、未確認飛行物体が高速で接近中であることが確認された。更なる詳細については目下分析中であるが、部分的に人為的な軌道が記録されている。よって、この物体を注視しつつ、当該星系の監視体制を10%増強する。ついては、全軍において組織編成、増強について対応するように」

話し終えて、提督が立ち上がった。


「起立!」

提督の話が終わり、起立の号令が掛かると、

全員が立ち上がった。


「敬礼!」

全員が敬礼すると、提督は答礼し、降壇した。


「なおれ!」

この、軍隊調、ヤダ、ヤダ。


「なんかさー、こんなのヤダねー」

アツシが隣で、小声で言った。


「一応、軍隊なんだからさ、カッコつけようぜ」

俺には、そのくらいしか言いようがなかった。


「つーかさ、その物体って、大変なのか?」

俺は、サクラに聞いた。


「我々は、銀河系全域を掌握していますが、これまで、人類および人類が知りえる以外の生命体の存在を確認していません。

しかし、7200年代に銀河系外からの干渉があり、宇宙軍の艦艇が破壊され、そこに人類の知りえない生物由来の痕跡があったのです」

サクラは、詳しく説明した。


「エイリアンがいるのか?」

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