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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
15/132

【15】駆逐艦[はまかぜ] 大破

「頭が良くなって、よかったじゃん」

俺は、アツシをからかった。


「頭が良くなったところで、シミュレーションに移りましょう」

「え?」

ウメが言うと、アツシはまた不安顔になった。

アツシは、ウメに連れられて出て行った。

まるで、囚人のようだ。


「そうだ、サクラ。

シンヤとカズは、どうしてる?」

「お2人とも、月面基地で手続きをしています」

サクラは答えた。


「2人とも順調なのかな?」

「特段の問題は報告されていませんが、クロさんほどではないかもしれませんね」

「と、言うと?」

「多くの人を見てきましたが、クロさんの順応性及び適応力は、かなり高いと思われます」

おー、悪い気はしないな。


ウメに連れられて、アツシは部屋に入った。

駆逐艦[はまかぜ]のブリッジと同じに作られた、シミュレーター室だ。


とは言うものの、[しらかぜ]と[はまかぜ]は同型艦なので、さっき[しらかぜ]で使ったシミュレーターの流用だろう。


「すんげーな」

初めて入ったアツシも感激しているようだ。


「では、シミュレーションを始めます」

ウメが言った。


「おい、おい、ちょっと待った」

アツシが手を広げて制止した。


「どーすりゃいいのか、なんも聞いてないし」

アツシの焦りの言葉を聞きながら、


「これから起こる事態に対応すればいいだけです」

ウメは、淡々と答えた。


「現状報告。本艦は、海王星軌道118.6度地点を、速力800にて航行中」

航海長の席にいるHDが報告した。


キュィーン!キュィーン!

突然、警報が鳴った。


「なんだ?どうした?」

アツシは、慌てだした。


「レーダーに感あり。

方位320。上下角プラス27.5。距離5万。速力250で本艦へ接近中。敵ミサイル巡洋艦の可能性65%」

レーダー担当HDが報告した。


「敵か?」

アツシは、つぶやいた。


「艦長、どうしますか?」

アツシは、艦長席のHDに尋ねた。


「最適な対応をせよ」

艦長HDは答えた。


「最適な対応ったって」

アツシは、またつぶやいた。

ウメは、隣で黙って立ったままだ。


「目標、方位・速力変わらず、距離4万5千」

レーダー員の報告。


「目標からの測距電波及び各種通信電波の発信を探知。

敵ミサイル巡洋艦の可能性90%」

通信担当HDの報告。


「まー、シミュレーションだし」

アツシは、またもやつぶやいた。


「CICへ。こちら副長。現在捕捉中の目標に対し、攻撃準備を開始せよ」

アツシは、気持ちを切り替えたようだ。


「こちらCIC。了解」

CICのHDからの返答を受けた。


ピュィーン!

警報だ。


「目標が小飛翔体を発射。

数2。方位320。上下角0。速力2000。距離4万から急速接近中。高速ミサイルです」

レーダー員の報告は、事務的だ。


「副長へ、こちらCIC。迎撃レーザー、発射準備完了」

CICからアツシへ報告が入った。


「ベリーグッド」

アツシは、カッコつけて承認した。


「目標、方位・速力変わらず、距離3万」

レーダー員から報告。


「副長からCICへ。1番2番砲搭、計6門か?」

「はい。1番3門で左舷の1本、2番3門で右舷のを狙います」

アツシは、CICの戦術を確認した。


「ベリーグッド」

アツシは、ゾクゾクしてきた。

アドレナリンが分泌されているのだろう。


ピュィーン!

警報が鳴った。


「目標、数量増加。数20。

方位320。速力3000。距離2万。急速接近中」


「なんだと?!」

アツシの腋の下に汗が流れるのが分かる。


「目標、さらに数量増加。数200。

クラスターミサイルです」

人間なら焦るところ、HDは機械的だ。


「副長よりCICへ。クラスターミサイルに対応せよ」

アツシは、戦闘指揮所に命令した。


「CICより。対応策装填、間に合いません」

「チキショー!」

アツシはディスプレイパネルを叩いた。


「目標、距離1万。有効射程距離に入りました」

レーダー員が報告した。


「入ったら撃てよ!」

アツシは怒鳴った。


「CICより副長へ。発射許可を」

「撃てよ!」

ブリッジの窓に映る艦首砲搭2基6門から、レーザー砲が発射された。ブリッジ内に音響と振動が響く。


前方でいくつかの明るい光が点滅する。

レーザー砲が、いくつかの小さいクラスター弾に命中しているのだ。


それと引き替えに、いくつかの小さな白い点がこちらへ向かって来た。


ドーン!

ドーン!

ドカーン!

ズドーン!


大音響と振動が、ブリッジに響いた。

艦首に、砲搭に、右舷に、

敵の小型クラスターミサイルが命中した。


ウィーーーン!

ウィーーーン!

被害警報が鳴り響き、赤色警報灯が点滅している。


「はい。そこまでで」

ウメは、アツシに言った。


「撃沈は免れたようですが、修理にはだいぶ時間がかかりそうですね」

ウメの見立てである。


「クラスター弾による攻撃も、想定しませんとね」

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