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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
122/132

【122】戦艦[ジョージア]の反乱

「こちら臨検隊ヒラセ。[たちばな]に到着。現在、艦底発着口に接近中。開口要請を試みます」

ヒラセ副長からの連絡だ。

「こちら[もがみ]臨時検査隊である。艦底発着口を開くよう、要請する」

ヒラセ副長は、[たちばな]に要求した。

第20番惑星と[もがみ]との中間地点の宇宙空間で、特務護衛艦[たちばな]の艦底発着口がゆっくりと開いた。

「行け」

ヒラセ副長は、パイロットHDに言った。

臨検隊を乗せた魚雷艇は、ゆっくりと発着口に進入して行った。

ガコッ

魚雷艇が発着場に着艦すると、開口部がゆっくり閉じ始めた。

………………シュゥゥウウーー!

………………キィィイイーーン!

発着口が閉じると艦内の圧力に調整され、何らかの気体で満たされたため、魚雷艇のエンジン音が激しく反響した。

発着場と格納庫の間の隔壁が開き、[たちばな]所属の艦載機が並んでいるのが見えるようになった。

キュイイィィーーーン………………

魚雷艇はエンジンを停止し、環境調査担当HDが外の気体の成分を調べると、人間に適した状態であることが判明した。

「よし、行くぞ」

ヒラセ副長は、魚雷艇のドアを開けた。

プシュー

隊員たちは銃を構えながら機敏に艇を降り、物陰に身を隠しながら格納庫の外へのドアに向かった。

「敵の姿は無いか?」

「クリアです」

副長と隊員たちは連絡を取りながら、周辺調査しつつ進んだ。

「通路へのドアを開ける。念のためフェイス・シールドを下ろせ」

違う区画に行く度に注意しなければ、ドアを開けたら空気が無かった、という状況も考えられる。

シュイー

副長は、ドアを開けた。

「呼吸可能です」

環境調査担当HDが報告する。

これで初めてシールドを上げて呼吸することができる。

格納庫には誰もいなかったし、通路にも誰もいない。

副長は、隊員たちを3班に分け、ブリッジに一班、CICに一班、機関室に一班を捜索に向かわせた。


カサナ中尉率いる第25番衛星の突撃部隊は、[はまかぜ]のスラスターの風圧を背中に受けながら、そして物陰に隠れながら前進した。

ヒュオオオーーー!

ピュイーン!

ピュイーン!

パシュパシュー!

パシュー!

ヒュオオオーーー!

嵐の中の銃撃戦である。

「ピッ 中尉、あそこにドアが」

「ピピ よし、突撃だ」

大きな両開きドアの両側に隊員たちが身を潜め、ドアの正面にHDが立ち、小銃をキャノン・モードにして発射した。

バション!

ドガーン!!

ドアの中央に、大きな穴が開いた。

両側にひそんでいた隊員たちが中になだれ込んだ。

ピュイーン!

パシュパシュー!

ピュピュイーン!

パシュー!

ドガン!

パシュー!

ピュイーン!

ドーン!!

今までにない激しい銃撃戦になった。

シャキッ、ピッ、ピッ、

ビュン

隊員が手榴弾を投げた。

ドドドオオーーン!!

ピュイーン!

ドガーン!!

爆煙やら浮遊物やらで、全く視界が利かないが、敵からの攻撃が減ったのは確かだ。

シャキッ、ピッ、ピッ、

ヒュン

手榴弾をもう一発。

ドドドオオーーン!!

オオーン、オーン、オン…………

爆発音の反響が収まると、室内は静かになった。

ガラガラガラ……

シュー……

バチッ、バチバチッ!

銃撃戦と手榴弾の爆発で照明が破壊され、室内は真っ暗だった。

隊員たちはヘルメットと小銃のライトを点け、周囲の観察を始めた。

「ピピ 隊内の被害はあるか?」

中尉は隊員の状況を確認した。

「ピッ 大丈夫そうです」

ガラガラン

ガシャン

足元にも空間にも、色々な物が散乱し浮遊しているので、物に当たらずに進むのが難しいが、ドアから風が流れ込んできているので、煙や浮遊物が徐々に奥へと流されていく。

床にはHDの残骸が転がっている。

中には、ショートしてスパークを発しているものもある。

「ピピ コントロール・ルームの雰囲気だな」

「ピッ そのようです」

「こちら突撃隊カサナ、敵コントロール・ルームとおぼしき部屋を制圧。そちらに変化は?」

カサナ中尉は、[はまかぜ]に連絡した。

「中尉、ご苦労。こちらの敵の動きは止まった。と言っても、戦車やHDをスラスターで吹き飛ばして、隅の方へ山積みにしてしまったが」

よし、制圧の第一段階は終った。

「ピピ [はまかぜ]に戻るぞ」

中尉は言った。

何人かの隊員とHDが、コントロールパネルから記憶媒体を外したり、HDの頭からメモリを取り出したりして、中尉とともに[はまかぜ]のある空間に戻ってきた。

[はまかぜ]の周囲200メートルほどは、ホコリ一つ無いほど真っさらな状態になり、大挙して来ていた戦車やHDは、全て広大な空間の壁際に押しやられていた。


「司令、[ジョージア]が始動しました」

[もがみ]のレーダー担当ナラル中尉が報告した。

「[ジョージア]が? ケサン少将から何か言ってきたか?」

俺は、通信担当のタレク少尉に聞いた。

「いえ、事前には何も」

「少将に、一応伺ってみてくれ」

「分かりました」

俺は少尉に、[ジョージア]と連絡をとるよう言った。

「こちら[もがみ]。[ジョージア]ケサン少将、応答願います」

「………………」

ジョージアからの応答は無い。

「[ジョージア]エンジン点火。本艦から離れます。距離42,000」

ナラル中尉が言った。

「20番惑星から離れるのか」

俺には、ケサン少将の意図が分からなかった。

「[ジョージア]加速します」

中尉が報告した。

「どこに向かっているんだ?」

「進行方向には、[ドク・ワン]がいます」

「修理でもするのか?」

俺とナラル中尉でやり取りしていると、

シュシュシュィーーーンッ!!

シュシュシュィーーーンッ!!

「[ジョージア]が主砲を発射しました!」

中尉が大声を出した。

「レーザーを発射?」

ビカー!!

ビカ!!ビカーー!!

ビカ!!ビカーー!!

シュシュシュィーーーンッ!!

シュシュシュィーーーンッ!!

「レーザー、[ドク・ワン]に命中! [ジョージア]立て続けに発射します!」

ビカ!!ビカーー!!

ビカ!!ビカーー!!

シュシュシュィーーーンッ!!

ビカ!!ビカーー!!

シュシュシュィーーーンッ!!

「メーデー!メーデー!こちら[ドク・ワン]、

現在、攻撃を受けている!メーデー!メーデー!」

シュシュシュィーーーンッ!!

[ジョージア]は撃ち続ける。

「ケサン少将!何をやってるのですか?!」

タレク少尉は、[ジョージア]に呼び掛けた。

シュシュシュィーーーンッ!!

[ジョージア]は撃ち続ける。

「ケサン少将!止めてください!」

「………………」

[ジョージア]からの応答は無い。

シュシュシュィーーーンッ!!

「メーデー!メーデー!こちら[ドク・ワン]」

ピカーーーーーッ!!

[ドク・ワン]は大爆発を起こした。

「………………」

「………………」

[もがみ]のブリッジも、[ドク・ワン]からの緊急通信も沈黙した。

「[ジョージア]との距離は?」

俺はナラル中尉に聞いた。

「げ、現在、75,000。急速離脱中です」

ケサン少将の意図が分からなければ、攻撃するわけにもいかない。

「距離123,000の位置で痕跡確認。[ドク・ワン]は完全に破壊されました」

理由は分からないが、[ジョージア]によって[ドク・ワン]は撃沈されてしまった。






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