表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
120/132

【120】25番衛星に、戦車工場を発見

「2番衛星軌道から、20番惑星の陰へ移行しました」

[もがみ]のノラン航海長が報告した。

「よし、惑星までの距離は、13万キロだ。[たちばな]臨検のための魚雷艇は準備できたか?」

俺は、副長に聞いた。

「準備オッケーです」

「よし、[もがみ]を惑星まで100,000の距離へ持って行く。そこから魚雷艇で発進せよ」

俺は、副長に命じた。

「護衛艦を操縦できる者を連れて行けよ」

俺は言った。

「はい。可能な限り、お土産に持ってきます」

副長は答えた。

[もがみ]の格納庫で、20名の人間の隊員と10体のHDが警備要員として準備していた。

「間もなく惑星から10万キロの地点になる。そこから我々は発進する。現在惑星にある[たちばな]を臨検し、可能であれば、奪還するのが任務である。場合によっては激しい戦闘も予想されるので、各員十分な準備をしておくように」

副長は、全員に告げた。

「[たちばな]は、航行しているのですか?」

隊員から質問が出た。

「レーダーによると、航行していると思われる」

副長が答える。

「あれだけ昼の面で曝されていたとなると、ほぼ人間は死んでいますよね?」

「その可能性が高いだろう」

「じゃー、HDが相手ですか」

「そうなるだろう。

質問はそのくらいにして、どんな状況でも対応できるよう、準備を進めろ」

「アイアイ・サー」

格納庫で、魚雷艇の出撃準備が始まった。

「戦術長、どうする?挑発してみるか?」

俺はサバラ戦術長に聞いた。

「五分五分ですね。挑発に乗って夜の方へ来てくれれば、我々は無駄な待ち時間を省くことができます」

「よし、2、3発やってみよう」

「了解しました」

俺と戦術長の意見は一致した。

「目標、距離105,000。誘導ミサイル発射準備」

サバラ戦術長は、CICから報告した。

「目標、第20番惑星の昼夜境界にあり。

4、3、2、1、発射!」

シュバーーーンッ!!

シュバーーーンッ!!

2発のミサイルが、閃光と煙を曳いて、惑星へ向かった。

「目標まで、50,000」

戦術長が報告する。

「目標、昼の面へ入る直前に転針します」

「どうした?」

俺はレーダー担当に聞いた。

「挑発が成功したのかもしれません。夜の面に戻って来るようです」

「よし!魚雷艇、発進だ!」

俺は、副長に連絡した。

「こちらヒラセ、了解!」

「[たちばな]の進路は?」

俺は改めてレーダー担当に聞いた。

「真っ直ぐ、本艦に向かって来ます」

「よし、ミサイルを自爆させろ」

戦術長がCICから自爆ボタンを押した。

ウィーーーッ!ウィーーーッ!ウィーーーッ!

格納庫では、警報が鳴り始めた。

「魚雷艇、発着場へ移動」

「魚雷艇、移動完了」

「格納庫隔壁、閉鎖」

ズズズーーッ

格納庫と発着場が隔てられた。

イエローの回転警告灯が回りだす。

「警告!排気まであと5分。装備未着用者は退避せよ」

キュイイィィーーーーーン!

魚雷艇のエンジンが始動した。

「警告!排気まであと2分。風防、乗降口閉鎖」

キイイイイイーーーーーン!!

「警告! 排気開始! 警告! 排気開始!」

イエローの回転警告灯がレッドになった。

シューーーーッ

エアが抜かれると同時に発着口が開き始めた。

ウィーーーッ!ウィー…………

キイイイイイーー…………

発着場は、無音になった。

発着口が全開になると、魚雷艇は、[もがみ]の艦底からゆっくり発進した。


[はまかぜ]は数十台もの強力な戦車に包囲されてしまった。

カサナ中尉ら30名も建物の陰に潜んで、とりあえずは相手の出方を見るしかないようだった。

戦車の間には歩兵のHDもいるので、戦車の死角を利用して[はまかぜ]に戻る方法も無理だからである。

カサナ中尉は、周囲を見回した。

巨大なドーム状の空間で、壁から天井まで完全に人工的な建造物だ。

ホコリや煙が落ち着くと、この空間の細部が見えてきた。

今回、戦車を初めて確認したが、これまでの状況を考えると、この戦車を人間が操縦しているとは考えにくい。これまで重要な場面であっても敵の人間を確認していないのに、戦車兵が初めて遭遇した敵の人間だった、というのは非常に違和感を覚えるからだ。

なので、この戦車はHDが操縦しているか、遠隔操作されているかだろう。

敵の戦闘機は、HDが操縦しているものもあれば、無人のものもあった。だから、戦車も同様だろう。

ふと、カサナ中尉の視界の上の方で、キラリと光ったような気がした。

中尉は、高い天井を見上げ、目の視力を上げて光った何かを探した。

静音ドローンだ。

何台かのカメラを搭載している。そのレンズが光を反射したのだ。おそらく、あれでモニターして戦車をコントロールしているのだろう。と、中尉は思った。

ドローンは、1機ではなかった。3、4機は飛んでいる。

そして1機を目で追っていた時に見つけたのが、壁にある横長のスリットだった。地上からの高さ30メートルはあるだろう。おそらく窓だ。あの向こう側がコントロールルームなのではないか。

中尉の推測が、どんどん固まってきた。

では、あそこに行くにはどうすべきか。

当然、戦車やHDが出てきた所から行くべきだろう。

そこは、[はまかぜ]が破壊した敵の艦艇の陰にあった。

中尉は、手をくるくる回し、進むべき方角を指差した。

それを確認した隊員たちは、物陰に身を潜めながら、

敵の艦艇の残骸の方へ向かった。

[はまかぜ]を包囲した戦車団をさらに遠巻きにするように、残骸などの物陰から物陰へ、音をたてず、ホコリを上げず、隊員たちは破壊された敵の艦艇の裏側へ回り込んだ。

壁には大きなガレージのような、車両の出入口があった。地面はコンクリートでできているが、キャタピラで何度も擦られたようで、そこだけだいぶ傷んでいた。戦闘とコンクリートの細粉には、HDの足跡も数多く残っていた。間違いなく、戦車とHDはここから出てきたのだ。

中尉は、全員に急いで静かに中に入るよう指示した。

[はまかぜ]と戦車団が睨み合っている空間にいても、ロクなことにはならないだろう。ならば、戦車の格納庫なり、HDの本拠にでも行った方が、何らかの戦果をあげれど、駆逐艦と戦車との激戦に巻き込まれ、命を落とす危険はかなり軽減されるだろう。

中尉が想像するに、今、睨み合いで均衡が保たれているのは、交戦によってドームが崩れ、双方とも全滅する可能性があるからなのだろう。

中尉は、奥へ進むよう、手で合図した。

タッタッタッタッ

コッコッコッコッ

カシャカシャカシャカシャ

30人もいれば、靴音や装備の音が出る。成分の詳細は不明だが、ここには大気がある。大気が無ければ、音でバレることは無いのだろうが。

50メートルほどだろうか、所々に照明が点いている通路を進むと、右側に大きな空間が接している場所に出た。通路もその空間も天井の高さは同じで、地下鉄の車両基地のようだ。ただ、そこに地下鉄は無く、あるのは数多くの戦車だった。

しかし、その戦車たちは砲塔が付いていなかったり、キャタピラが巻かれていなかったり、製造されているのか改造されているのか分からないが、戦場には赴けない戦車たちだった。

ただ中尉が疑問に思った点がただ1つ。

戦車に付いていたり、地面に置いてある砲塔の側面に、目立たないように宇宙軍のマークが描かれていたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ