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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
119/132

【119】地上戦闘用、超強力戦車 登場

「あと20分で、20番惑星の夜側に入ります」

[もがみ]のノラン航海長が報告した。

「オッケー、よろしい」

俺は答えた。

「艦長、臨検のため、魚雷艇を準備します」

副長が許可を求めてきた。

「よろしく頼む。人数は?」

俺は副長に聞いた。

「30名体制にします」

「分かった」

副長の案に、俺は同意した。

「Aチームが、敵基地に到着し、調査を開始したようです」

アツシがやったか。

「Cチームは、どうした?」

「敵艦の謎の電波照射を受けたものの、復旧したようです」

通信のタレク少尉が答えた。

「艦長、この衛星の西側へ回って、20番惑星の夜側へ入ります」

航海長が報告した。

「よし。オッケーだ」

俺が承認した。

「[たちばな]が移動しています」

レーダー担当のナラル中尉が言った。

「夜側から出てしまいそうか?」

俺は尋ねた。

「このままの速度で直進すれば、昼側に行ってしまいます」

中尉が答えた。

「ここからの距離は、130,000キロほどか。

戦術長、ミサイルを撃って、こっちに誘えないか?」

俺は、戦術長に意見を求めた。

「[たちばな]の今の行動に目的が無ければ、我々の誘いに乗るかもしれませんね」

戦術長は、答えた。

「やってみる価値はあるか……」

俺は考えた。


「艦長、不明艦に該当するものが見つかりました。6991年に行方不明になった、重巡洋艦[ちくご]です」

[つきかぜ]のブリッジで、スミレがカズに言った。

「重巡[ちくご]か。あの電波発射装置は、オリジナルには無い武器だろう?当然」

カズは、スミレに聞いた。

「もちろん、ありません」

スミレは、データベースを参照して答えた。

「あの電波は、我が艦の全てを止めることができるんだな」

カズは、確認するように言った。

「私が思うに、あれは出力を弱めた警告だったのでしょう。通常であれば、人的被害は免れないはずです」

スミレが言った。

「ふつうの電波は、通信などに利用されるが、機器に影響するくらいは分かるが、人的被害が出る場合もあるのか?」

「艦長、マイクロ・ウェーブという名称くらいはご存知でしょう。超短波というものですが、出力を高めれば、巨大な電子レンジの中にいるような状態になります。電子レンジの中に人間がいれば、どうなるかくらいご想像はつくでしょう」

「な、なるほど」

カズはスミレに、分かりやすく強力に説明してもらった。

しかし、目の前の[ちくご]は、自分を支配者と言った。カズは迷った。我々は支配者に対して、どのような態度を取るべきか。従順か反抗か。

「CIC、攻撃準備」

カズは、CICのナステ少尉に告げた。

ウィーーーン

艦首主砲が[ちくご]に向けられた。

「テイコウハ、ムダデアル」

またメインモニターに文字が表示された。

「ムカつくやつだ」

カズは悪態をついた。

「距離10,000。有効射程に入りました!」

CICが報告した。

「てー!」

カズは命じた。

シュシュシュイィーーーーーンッ!!

シュシュシュイィーーーーーンッ!!

1番砲塔3門、2番砲塔3門からレーザーが発射された。

ビカーーーッ!!

レーザー砲が[ちくご]に命中し、眩い光が周囲に拡がった。

しかし[つきかぜ]の乗組員は、眩し過ぎる光を直視できなかった。

目を覆った手をどかしたり、閉じた目を開いたり、逸らした視線を元に戻したりして前方を見ると、

[ちくご]は、何も無かったように、そこにあった。

「[ちくご]が、レーザー砲を拡散させました」

スミレが言った。

「なんだって?レーザーを拡散させた?」

カズは驚いて言った。

「くそっ!全速後進!」

カズは、後退を命じた。

ゴォォーーーーーッ!

[つきかぜ]は、艦首スラスターを全噴射し、後退し始めた。体が前方に引っ張られる。

「距離、9,800!」

ビルザ航海長が言った。

「10,000以上、離れろ」

カズは命じた。

少し遅れて、[あきかぜ]も後退を始めた。

「[ちくご]が転針します」

ホロテ少尉が報告した。

「距離、10,000」

航海長が報告。

「両舷停止」

「両舷停止、アイ」

パシューッ

[つきかぜ]は、後退を止めた。

「[ちくご]、方位271へ。高度1,000、速力200」

少尉が告げた。

「くそーーっ!横っ腹見せて、堂々と逃げる気か」

カズは苛立った。

「ん?モニター拡大」

スミレが[ちくご]の様子が写っているモニターを拡大させた。

「どうした?」

カズが聞いた。

「これです」

スミレは、[ちくご]の艦首にある奇妙な物を指した。

「傘の骨みたいだな」

カズが言ったその奇妙な物は、艦に水平に取り付けられた数本の棒状の物で構成され、金属光沢を放つ正に傘の骨組みのように見えた。

「HDの頭のアンテナの、艦艇版かもしれません」

スミレが言った。

「あれで、艦全体を電磁波から守るのか」

「この棒状の物の端部を延長すると、艦全体をカバーすることができます」

「こいつで、レーザーも防げるのか?!」

「レーザー砲も、電磁波を利用した兵器ですから」

カズとのやり取りで、スミレは答えた。

そうこうしているうちに、[ちくご]は反転し速度を上げ、どんどん距離を開いて行く。

「このままだと、昼の面に出ます」

ホロテ少尉が言った。

「待て、様子を見よう」

「距離、51,000」

[ちくご]は、速力を増して遠ざかって行く。

「昼の面に出ました」

少尉が言った。

[ちくご]に変化は無い。

「敵は、この電波のコントロール方法を確立しているな」

カズは言った。


[はまかぜ]のカサナ中尉は、30名の隊員たちを3班に分け、点在する建物を調べ始めた。

ピシュッ!

ピシュッ!

キュウィーン

ビーンッ!

ビーンッ!

ドカッ!

建物や、数えきれない破壊された機体の陰に、HDが潜んでいて、攻撃を仕掛けてくる。一応、防衛隊のような組織が編成されているようだ。

ビーンッ!

ビーンッ!

ガシュッ!

ガラガラッ

「ピッ 敵は右手の方から出てくるようだ」

「ピピ そっちに部隊の本拠があるのか」

中尉以下の突撃部隊は、物陰に潜むHDを破壊しながら、敵の本拠に迫って行った。

ゴーーーーー

ゴゴゴゴゴッ

突然、地響きと共に、重低音が巻き起こった。

「ピッ なんだ?」

「ピピ 分かりません」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ドドドドドドドドドドッ

「ピピ 中尉!あれを!」

ドガガガーッ

ガシャガシャン

破壊された機体などを押し除けながら、何かが迫って来た。

「ピピ 中尉!戦車です!」

キュラキュラキュラキュラ

残骸のホコリの中から、回転砲塔に2門の砲身を備え、キャタピラで進む戦車が、姿を現した。

バウーーーンッ!

バウーーーンッ!

ドガガーーーーンッ!!

戦車の砲撃は凄まじかった。

一発で建物が吹き飛んだ。

「ピッ まずい!身を隠せ!」

バウーーーンッ!

ドゴゴーーンッ!!

キュラキュラキュラキュラ

「ピピ 本格的な軍隊だな」

キュラキュラ……

ウィー

バウーーーンッ!

フィーーーー

ドッガーンッ!

レーザー戦車砲が、[はまかぜ]の艦体に命中した。キュラキュラキュラキュラ

ドドドドドドドドドドッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

キュラキュラキュラキュラ

残骸やホコリの中から何台もの戦車が姿を現し、あっという間に[はまかぜ]を包囲した。

戦車の陰には、歩兵のHDも身を潜めている。

20世紀頃の地球での戦争のようだ。










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