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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
112/132

【112】フォックス、パンサーを救出せよ

「[ドク・ワン]から許可が出るまで、この下で待機するしかないな」


フォックス・リーダーは、ある程度の平地を見つけて、一旦着陸待機することとした。


無闇に飛び続けても燃料を消費するだけだし、今の駆逐艦攻撃に対する敵の迎撃を受けて、多大な損害も出してしまった。

とりあえず待機し、[ドク・ワン]からの指示を待って、起死回生の一手を考えた方がいいかもしれない。


シュゥゥーーーーーン

着陸したフォックス・チームは、8機だけだった。


* * *


「こちらAチーム[はまかぜ]。現在25番衛星まで20,000の距離。多発する敵迎撃機による攻撃に対応するため、艦による直接調査をおこなう」

「こちら[もがみ]、了解」


「航海長、第25番衛星に降下せよ」

アツシは、航海長のハイニ少尉に命じた。


「衛星に降下、アイ」

少尉が復唱した。


「こちら[さわかぜ]、続きます」

ペア艦[さわかぜ]のタグチ艦長からも連絡が入った。


駆逐艦2艦が、第25番衛星への着陸軌道に入ると、早速、敵迎撃機の歓迎を受けた。


「敵機、接近。距離10,000。地表方向から上がって来ます」

レーダー担当のタラン少尉が報告。


「戦術長、迎撃せよ」

「CIC了解」

艦長の命令に、戦術長のノリチ少尉がCICで対応した。


「クラスターミサイル、発射準備。対空速射砲、発射準備」

「敵機、距離8,000」

「クラスターミサイル、発射!」


シュバーーーン!

シュバーーーン!

シュバ、シュバーーーン!

シュバ、シュバーーーン!


[はまかぜ]のミサイル発射管から6発のクラスターミサイルが発射された。

ミサイルは目標を認識し、初期水平飛行から艦の真下の地表に向けて進行方向を変えた。


「全員、耐衝撃防御!」

アツシは、全艦に通達した。


バッ!

ミサイルは高度15,000で、子ミサイルを放出した。

1発のミサイルが20発の子ミサイルに別れ、計120発が敵機に向かう。


ピカッ!

ピカッ!!ピカッ!!

ピカ、ピカ、ピカ、ピカッ!

ピカッ!!ピカッ!!

ピカ、ピカ、ピカ、ピカッ!


多数の爆光を確認したが、何機かミサイルをすり抜けた敵機が上がって来た。


ダララララララララッ!

ダララララララララッ!

対空速射レーザー砲が光を放った。


ピカ、ピカ、ピカ、ピカッ!

ピカ、ピカ、ピカ、ピカッ!

レーザーの弾幕が、残存敵機を一掃した。


「敵機、完全排除」

ノリチ戦術長が報告した。


「よろしい。よくやった」

アツシは答えた。


* * *


「暗号なのか、パターンなのか」

[もがみ]のHD維持管理部の技師が言った。


「そうだな。制御方法が分かればな」

維持管理部のトルヤ大尉が言った。


「あと、どこが本拠なのか。この支配力は、この星系全体に及んでいる可能性もありますからね」

技師は言った。


「そんなに広い範囲に影響するのか?」

大尉は聞いた。


「ご指摘いただいたような、HDによる機械化軍団なら、制御方法が確立されていれば、人間のように自然環境に左右される制限が減りますからね」

技師は答えた。


「なるほど。人類よりも広い範囲に及ぶか」

大尉は、感慨深げに言った。


「水の中も、制覇しているかもしれません」

「水の中?」

「また偵察隊長のトクセ大尉が、有力な情報をもたらしてくれました」

「それが、水の中だと言うのか?」

「第2番衛星の、海の中です」

「海中に何があるって言うんだ?」

「おそらく、海底基地でしょう」

技術が答えた。


「どうやって制御するんだ?」

大尉が聞いた。


「人為的な超長波電波を検知しました」

「水中で阻害されない電波か!」

「そうです。

通常なら、使う必要の無い領域の電波です。それをわざわざ使うということは、目的がある証拠です」

「そうだったのか」

大尉は、納得した。


* * *


「これが、巨大なアンテナです」

戦術長のサバラ大尉が、画像を指して言った。


「前回撮られた立方体で構成された部分は、管理棟とも呼べるものかもしれません」


「で、このアンテナで超長波通信をおこなっていると」

俺が、聞いた。超長波通信なんて、知らないからだ。


「通常使われる電波は波長が短く、物や空気や水の表面で反射します。それに対し波長の長い電波は反射せずに直進性が高くなります。太古の地球での戦争で、海中で活動できる潜水艦が開発されましたが、初期のころはアンテナ・ブイを海面まで上げて通信をおこなっていたのですが、この超長波電波が潜水艦との通信に有効ということで、開発が進みました。しかし、いかんせん巨大なアンテナ設備が必要で、高額な建設費がかかるため、当時の軍部も、積極的には推進しませんでした」


「じゃー、ここでは、大昔の技術を使っているのか」

大尉は、驚いた。


「技術は常に進歩していますが、使う目的と、常に合致しているとは限りません。今お話しした技術は、昔から人類によって開発されていましたが、昔に必要だったものは昔に使われ、昔の技術でも、今必要であれば、今、使われているということです。

だだ、昔人類が開発したにもかかわらず必要としなかった技術を、今になってHDが必要とすることに、非常な矛盾というか、不可解な感じを持ちます」

技師は、説明した。


「もしHDの反乱みたいのだったら、その理由は何なんだ?」

俺は、試しに聞いてみた。


「それは、まだ分かりませんね。機械的な故障のようなものがきっかけなのか、何者かの悪意によるものなのか。しかし、一つ言えるのは、HDの自主的な反乱ではないだろう、ということです」

技師には、理由は不明だが、HDが故意に起こしたことではない自信があった。


「どうして、そんなことが言えるんだ?」

大尉が言った。


「人類に反乱を起こしても、HDにはメリットが無いからですよ」

技師は、言った。


「人類を滅ぼしでもしたら、HDの天下じゃないか!」

大尉は、主張した。


「人類が滅んでも、HDに何ら得する事はありません」

技師も、なかなか引かない。


「俺なら、宇宙を統一して、トップになりたいぞ!」

大尉は、自分の野望を語った。


「じゃ、大尉が反逆者の親玉なんじゃないですか?」

技師は言った。


「なんだと?!」

大尉はコンソールを叩いて、立ち上がった。


「まあ、まあ、落ち着いて」

とりあえず、俺がなだめた。


* * *


「こちら、[ウルフ]所属、

フォックス戦闘機部隊、及びパンサー攻撃機部隊より、

第1遊撃機動艦隊、旗艦[もがみ]、応答願います。」

「こちら[もがみ]、フォックス、どうぞ」


「本隊は、母艦である[ウルフ]が壊滅したため、現在第4衛星上に着陸待機中。

しかし、不明駆逐艦との交戦により損害多数。よって、救援を求めるものなり」


「こちら[もがみ]、現在、第20番惑星の全衛星調査へ出ている艦を差し向ける。もうしばらく、お待ちいただくように」

「こちら、フォックス・チーム。ご手配に感謝します」


[もがみ]でこの救援要請を受けた通信担当のタレク中尉は、俺に対応を報告し、Cチームの[つきかぜ]へ第4衛星に急行するよう、連絡した。


「こちら[つきかぜ]、[あきかぜ]と共に、急行します」

[つきかぜ]のカズが答えた。


ドバシ艦長は、そのまま航海長のビルザ少尉に、第4衛星へ向かうよう、命令した。


「フォックス及び、パンサー・チームは、不明駆逐艦の反撃を受ける可能性があります。

急いでください」


スミレが、カズとビルザ航海長に言った。

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