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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
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【11】戦闘シミュレーション

「太陽系方面軍守備範囲内に異常なし」

「方位、速力、維持中。艦動力、異常なし」

「武装管制システム、異常なし」

HDが、それぞれ報告してくる。


ピー

警報が鳴った。


「ソナー、感あり!方位315、距離5万」

レーダー担当のHDが報告した。


「スピードは?」

「ほぼ停止中で、本艦が接近中です」

俺の問いに、レーダーを見ているHDが答える。


「距離4万5千。なお接近中」

敵なのか?


「艦首第1砲塔、レーザー発射準備」

念のため、準備命令した。


「砲雷長、照準にブレがあります」

レーザー砲担当の報告だ。


「ブリッジ、こちらCIC。艦体勢安定制御を要請する」

俺は、ブリッジに目標への正確な操艦を要請した。


「距離4万」

艦は、目標に接近していく。

上下左右にわずかずつスラスター噴射がおこなわれ、

目標に向けての艦の体勢が安定した。


ピュィーン!

警報だ。


「目標始動。距離3万5千。急速接近中」

緊急事態なのに、HDは淡々と報告する。


「目標、不規則運動。敵味方識別信号なし」

「敵、索敵衛星の可能性85%」

CICは、がぜん騒がしくなった。


「目標、本艦を捕捉」

「敵、索敵衛星の可能性100%」

「第1砲塔、発射準備は?」

俺は、射撃担当に聞いた。


「レーザー発射準備完了。目標追尾中」

「よろしい」

あ、なんかカッコよかったかな?


「距離2万。不規則進行で接近中」

「有効射程距離1万で、予測追尾射撃開始する。

各砲身照準に0.01度の誤差を取れ」

HDの報告に対し、俺は、照準命令を下した。

もう少し、引き付けてからだけど。


「目標、急速接近中。距離1万」

「てーっ!」

前方モニターに、艦首第1砲塔3門から発射されたレーザーが映し出され、音響と振動がCIC内に響いた。


「砲、命中。目標、消滅しました」

レーダーを見ていたHDが報告した。


ふーっ

俺は、ため息をついた。

なんの説明も受けていないのに、

無我夢中で遊んでしまった。


「んー」

ずーっと横にいたサクラがうなった。

「いいですね」


防火隔壁ドアからブリッジへ行くサクラの後ろで、

俺は振り向いてCICにいるHDたちに言った。


「みんな、ご苦労」

するとHDたちは立ち上がって、俺に敬礼した。


ブリッジの艦長席には、大佐が座っていた。

「なかなか、見事な対応だった」

大佐は言った。


「ありがとうございます」

一応、こう言うべきだろう。


「どうかな?」

大佐は、サクラを見て言った。


「問題は無いと思われます」

サクラは大佐に答えた。


「では、[しらかぜ]を任せよう」

大佐は、今度は俺に言った。


「任せる?」

大佐に聞いた。あ、ため口は、まずいか?


「駆逐艦[しらかぜ]の艦長だよ」

大佐は言った。


「え、次は、副長になるんじゃないんですか?」

「順番ではそうなんだが、余裕が無くてね」

「飛び級ってことですか?」

「あははは、まー、そういうことだ」

「そんないい加減なのでいいんですか?」

「システムは高度化してるし、君のような判断力があれば、物理的なエラーは、ほぼ起こりえない」

そういうものか。


「では、また、しばらく楽にしていてくれ」

大佐は、ブリッジから出て行った。


「サクラは、何か言うことは無いの?」

「このシミュレーションに関しては、特にありませんが、アツシさんがここに来たがっています」

サクラに、アツシから電話が来たのか?


「いつ、来るの?」

「クロさんの都合でもいいと思いますが」

「じゃ、今、呼ぼうか」

「では、クロさんのお部屋へ行きましょう」

サクラは、廊下を歩きだした。


「アツシにも、シミュレーションをやるの?」

「はい」

「あいつは今、何に乗ってるんだっけ?」

「駆逐艦[はまかぜ]です」

[はまかぜ]か。


「つーかさ、[しらかぜ]とか[はまかぜ]とかさ、

本当にある船なの?」

俺は、サクラに聞いた。


「もちろん、現実に存在します」

「今、どこにあるのさ?」

「[しらかぜ]は、地球から、いて座の方向へ約2万光年の地点をパトロール中です」

マジか。


「で、俺は、どうやって[しらかぜ]に行くの?」

「[しらかぜ]がワープ航法で帰還します」

あ、そうか。

ワープとか、ブラックホールとかあるんだっけ。


「こちらがクロさんのお部屋です」

サクラが、壁の黒い出入口を指した。


「ありがとう」

サクラにお礼を言って、中に入った。


喉が渇いたな。

俺は、壁を触ってみた。

プラスチックか何かの樹脂製か?

真っ白でスベスベしているだけだ。

あちこち触ってみたけど、どこも同じだ。

それでも、あちこち触ってみた。

要するに、サクラが壁から水を出したように、

俺が触っても飲み物が出ることを期待したが、

そうはならなかった。


「うわあああーーー!」

その代わり、俺は、死ぬほど驚いた。

部屋の中央のシートに、

アツシが寝ていたからだ。

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