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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
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【10】駆逐艦[しらかぜ]

「と、まあ、2020年以降の歴史や、科学の変遷については、追々ご説明いたします」

サクラは一旦、説明を終わらせた。


「で、オンラインゲームと候補生選出についてですが」

サクラは、話題を変えた。

そう!そう!そこだよ、問題は。


「クロさんは現在、中型駆逐艦の砲雷長ですね」

「そうだよ。艦名は[しらかぜ]だよ」

俺は、ゲームのことを答えた。


「クロさんは今後、駆逐艦を2隻、または軽巡洋艦1隻以上を撃沈するか、重巡洋艦以上に50%以上の損傷を与えることで、[しらかぜ]の副長に昇級しますね」

「あ、そうなんだ」

ゲームの昇級パターンの詳細については分からない。

とにかく、敵の艦船をやっつければ、昇級する。


「ですので、ここから、スタートしていただきます」

サクラが壁に触れると、細長い棒に掛かった服が引き出された。


「こちらの世界にいる間は、こちらのルールに従ってください。まずは、この制服のご着用を」


俺は、服を手に取ってみた。

カーキ色というのかベージュ色というのか、それのシャツとパンツ。それに、茶色のネクタイ。

ネクタイなんかしたことないんだが、サクラが手際よく手伝ってくれて、とりあえず完成した。

左胸には、2センチくらいの四角い記しが2個。青いのと、赤地に銀線が入ったやつ。軍人は、これを増やすのが名誉なんだろう。両腕の横にはたぶん、宇宙軍のマークなんだろう、ワッペンが縫い付けてある。


「これが、宇宙軍のマークかい?」

一応、聞いてみた。


「はい。中央の銀河系をデザインした部分が宇宙軍本隊で、黒地にそれがあることで中央組織であることを示しています。そして、オレンジ色の字でSSFとあるのが、ソーラー・システム・フォースつまり、太陽系方面軍を意味します」


「この下の三角のような矢印のようなのは?」

「階級章です。クロさんは、曹長です」

思った通り、階級章だ。俺は、曹長なのか。

アツシとか、みんなは、なんだったっけかな?


ゲームでは、俺らはみんな違う艦に乗っている。

違う艦で、それぞれの役割を果たして昇級し、敵艦をやっつけて昇級し、いずれは艦長になって、段階的に高性能の艦の艦長の階段を登っていくわけだ。


とりあえず、今はまだ、下っ端だ。

駆逐艦の曹長だからな。

んでも、なんで、こんなんで候補生に選ばれたのか?

俺らには分からない評価基準があるのか。


「帽子と、上着は?」

シャツとパンツとネクタイで、一応、制服軍人に見えるんだけど、どうせならと思って、サクラに聞いた。


「帽子は、このキャップをお使いください。

上着制服は、まだありません。汗をかいてください」

分かりましたよ。どうせ下っ端ですから。

俺は、マークの付いた黒いキャップをかぶった。


「では、シミュレーションに参りましょう」

サクラは、黒くなった壁から出て行った。


基地の中はどうなっているのか分からないから、サクラに付いて行くしかない。壁に地図が貼ってあるわけでもなく、矢印と一緒に食堂の方向が書いてあるわけでもない。サクラなどのアンドロイドは、メモリーに納まっているだろうが、人間は、この基地の見取り図を覚えなければいけないのか?


右折、左折、直進を繰り返した後、サクラは壁に手を伸ばした。

部屋に入ると、というか、入ってみると、1メートル先に、もう一つドアがあった。


ドアを開けると、予想通り、

そこはシミュレーションルームだった。

ゲームの駆逐艦「しらかぜ」のブリッジ。

つまり、艦を制御する艦橋が再現されていた。


「すげー!」

俺は、感激した!


ゲーム機を40型液晶テレビに繋いでプレーしたって、

所詮、平面の画面を見ているだけだ。

それが、立体的に、現実的に、手で触れて操作できる状態で、目の前にある。

感動以外のなんでもない!


「ご覧の通り、ここはブリッジですが、一応、

手順として、隣のCICから始めましょう」


サクラはブリッジの壁にあるスイッチを押して、

防火隔壁ドアを開けた。

ドアの中に入ると、これも間違いなく、

「しらかぜ」のCIC、つまり戦闘指揮所だった。


壁に窓は無く、一方の壁面全体がモニターになっていて、艦の正面方向が映し出されている。で、スイッチで切り替えることによって、艦の全周囲が映し出される仕組みになっているはずだ。

機器類のランプは全て点灯していて、レーダー画面なども稼働しているのが分かる。

俺は、砲雷長として、レーザー砲の射撃に必要な数値が表示されている画面と、ミサイル発射に関するパネルを確認した。

各武装を実際に操作する者の席には、HDがすでに座っていた。


「シミュレーションを開始します。

本艦は現在、タイタンの現位置から4万5千の地点より、方位220へ、速力300で航行中」

まずは、サクラが報告した。


「周囲警戒を厳となせ」

俺は、皆に命令した。

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