【109】第4衛星、第2次空戦
キュゥィィイイイーーーーーン!
キィィィイイイーーーーーーーン!
ゴォォォオオオーーーーーーーッ!
[ウルフ]のAエリアがまた騒がしくなった。
ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!
イエローの回転警告灯が回りだした。
「Aエリア各格納庫、解放」
Aエリア全室を、ワンフロアとして扱うということだ。
「回せーー!」
パイロットたちが、愛機に乗り込んでいく。
キュゥィィイイイーーーーーン!
シュォォォオオオーーーーーン!
ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!
「警告!排気まであと10分。装備未着用者は退避せよ」
キィィィーーーーーーーーーン!
シュィィーーーーーーーーーン!
「ミサイルは積んだか?」
「オッケーです!」
ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!
「警告!排気まであと5分。装備未着用者は退避せよ」
ゴォォォーーーーーーーーーッ!
「フォックス・リーダーより、通信テスト」
「こちら[ウルフ]、感度良好」
ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!
「警告!排気まであと2分。風防、乗降口、密閉」
キャノピーが閉じ、ロックが確認されると、パイロットがグッドサインを出す。
ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!
「警告!排気開始。警告!排気開始」
イエローの回転警告灯がレッドに変わった。
プシューーーーーーーーーーッ
キュィィィーーーーー………
キィィィーーーー………
ゴォォォーー………
…………
Aエリアの外壁が解放され、無音になった。
「フォックス・リーダーより、全機発艦せよ」
「パンサー・リーダーより、全機発艦せよ」
[ウルフ]のAエリアから、数十機が発進して行った。
* * *
舟艇は[もがみ]の艦底部の発着口から艦内に着艦した。
「発着口、閉鎖。エア注入、気圧調整開始」
フシューーーーーッ
発着所に空気が満たされていく。
キィィィーーーーーーーーーン!
舟艇のエンジン音が聞こえるようになった。
「発着所、気圧調整完了、隔壁オープン」
発着所と格納庫の間の隔壁が開き、舟艇が格納庫の方へ引き込まれた。
シュウウゥゥーーーーンッ
舟艇のエンジンが停止し、ドアが開き、乗員が降りてきた。
「中にHDが1体分積んであるから、降ろしてくれ」
大尉が格納庫作業員に指示した。
舟艇の貨物置場から作業員がHDを降ろすと、作業台には先にQが載っていた。
その横に新しいHDを載せてやると、かなり美品であることが一目で分かる。
カシャッ、カシャッ、カシャッ、
1本の足は、まだ折れたり伸びたりしている。
「よし、まずは透過撮影から」
技師は台ごと機器検査室へ移動した。
バラバラになったHDは、各パーツを人間の形のように置かれ、電子走査室に入れられた。
スキャンされた映像を見ながら、またもや技師は驚いた。
「各パーツに小型リチウムパックが付いている」
「なんだって?」
技師の驚きの声に、管理部のトルヤ大尉が反応した。
「HDは、腹部に超小型原子炉を搭載しています。そしてバックアップ用に高性能小型バッテリーも搭載しています。しかしこのHDには、電気の配線は共用していますが、関節などで分解されてもパーツが稼働するように、配線途中に小型リチウムパック、つまりバッテリーが組み込まれています。これは、オリジナルのHDには無いシステムです」
技師は説明した。
「だから、バラバラにしても、手や足だけが勝手に動いたりするのか」
「見慣れない部品もあるので、それらを詳しく調べないと分かりませんが、もっと驚くべき秘密が隠されているかもしれませんよ」
「ずいぶん、嬉しそうだな」
大尉は、技師をたしなめた。
「いや、技術者として、感心していただけです」
技師は、弁解した。
* * *
「こちらAチーム[はまかぜ]、現在第19番惑星まで1億5,000万キロ地点。第20番惑星の最端25番衛星軌道を通過中。ただ、25番衛星にも、光点や電波の送受信の痕跡を検知しています」
「こちら[もがみ]、20番惑星の衛星でも敵基地を発見した。25番衛星を調査できるか?」
[もがみ]のヒラセ副長が聞いた。
「時間的ロスを認めていただけるなら、可能ですが」
「では[さわかぜ]と共に、25番衛星の調査を命じる」
「[はまかぜ]、了解」
ヒラセ副長は、Aチームに25番衛星の調査を命じた。
しかし副長は感じていた。
これでは、行き当たりばったりな感が否めない。
全ての惑星、衛星が調査できるわけでもなく、とにかく効率が悪い。
これは、検討の余地が多分にある。と思った。
* * *
「こちらフォックス・リーダー、全機、円周上を東へ索敵飛行せよ。また、パンサーチームの援護も怠らないように」
今回[ウルフ]飛行部隊は、索敵と迎撃にフォックス・チーム30機の戦闘機、敵地攻撃にパンサー・チーム15機の攻撃機で編成した。
この衛星の自転時間は約20時間で、前回の敵地制圧から5時間が経過した今、あの敵地入口の洞穴は夜の面のほぼ中央に来ていた。
そして、今回の[ウルフ]飛行隊のスクランブルのきっかけとなったのが、夜の面の東端で敵機の飛行を確認したからである。
つまり、前回の攻撃で、敵地中央の塔のような物を破壊したところ、敵機がポロポロと墜落した状況から、基地と個別の敵機に何らかの通信関係が成り立っているという結論を得た。
しかし、それでもなお飛行中の敵機を確認したということは、他にも通信可能な基地が存在すると仮定できる。
これらの状況から、再度、敵地捜索及び制圧を目指すべきとして、[ウルフ]飛行隊の編成となったのである。
「こちらフォックス・リーダー、平均高度300メートル以下を維持。極地では上空でパルサーに曝される危険があるので、100メートル以上は禁止する」
「オール・フォックス、了解」
「オール・パンサー、了解」
「アッアー、フォックス2-1より、距離2,000に敵機」
「ラジャ、ラジャ、やりますかー」
「フォックス、1アンド2は展開せよ」
フォックス1と2編隊10機は東へ向けて扇形に展開した。
パパパパパッ
キュゥィィーーン
フォックスの先頭が敵機の攻撃をかわす。
パシュ、パシュ!
展開した2番機が斜め前方から攻撃する。
ピカッ!!
「フォックス2-2、1機撃墜!」
「一番乗り、おめでとう」
「オッオー、前方2,000、団体さんご到着!」
パパパパパッ
キュゥィィーーン
パシュ、パシュ!
キィィーーーーン!
ピカッ!!
「フォックス3-4、1機撃墜!」
パシュ、パシュ!
ピカッ!!
パパパパパッ
シュィーーン!
パパパパパッ
「イーーーヤッホー!」
パシュ!パシュッ!!
ビカーッ!!
「フォックス5-2、1機撃墜」
[ウルフ]のレーダー上でも、数十の光点が入り乱れて交錯している。
「右へ回ったぞ!」
「後ろのやつは任せろ」
パイロットたちの士気の高い交信が聞こえてくる。
「こちらフォックス・リーダー、現在1機やられた」
「救難隊は、墜落地点へ急行せよ」
司令部から救難隊へも指示が出る。
「わんさと出て来るな。どこかに出入口があるはずだ」
敵機が徐々に増えてくる。
パパパパパッ
キュィーーーン!
ガガガンッ!
「くっそー、やられた! 3-5、離脱します」
パシュ!パシュ!パシュ!
ピカッ!!
「フォックス3-5、仇は討ったぜ!」




