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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
105/132

【105】第4番衛星での空中戦

「師団長より全員に達する。偵察部隊により、この衛星に敵の存在を確認した。よって、ただ今より本船は臨戦態勢を取り司令部を『ウルフ』として作戦行動を開始する。各員、即時戦闘可能となるよう態勢準備を実施せよ」


[ドク・ツー]は海兵隊師団司令部[ウルフ]として機能を始めた。

索敵、攻撃、防衛の態勢を整え、第4衛星を制圧し、20番惑星の秘密を明らかにするためである。


「偵察部隊、第1から第5まで全て索敵行動準備」


キュィィィーーーーーンッ!

キュィィィーーーーーンッ!

キイィーーーーーーーンッ!


[ウルフ]の格納庫では、全偵察機が発進準備を開始し、戦闘機、攻撃機それぞれ3機を1チームにした即戦部隊3チームが発進許可を待っていた。


「格納庫Aエリアを全て開放する。10分後に排気を開始するので、装備未着用者は直ちに退避すること」

3層に改造された格納庫の最上階のAエリアを全開放することになった。


ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!


Aエリアではイエローの回転警告灯が作動し、船内とAエリアを繋ぐドアは5分後にロックされる。


宇宙空間に対応できる装備を着用していない者は、Aエリアにはいられなくなる。今、急いで退出するか、すぐに装備を着用しなければならない。


ウィーーッ!ウィーーッ!ウィーーッ!

「警告!ドアロックまで、あと3分」

警報が鳴り続ける。


キュィィィーーーーーンッ!

キイィーーーーーーーンッ!

ドアァーーーーーーーーッ!


格納庫の機体のエンジン音も大きくなっていく。


「警告!ドアロックまで、あと30秒」


キイィーーーーーーーンッ!

キュィィィーーーーーンッ!


「警告!ドアロックしました。排気まであと5分」

船内に警告が流れる。

装備着用が不完全でも、あと5分は生きていられる。


「偵察部隊フォックス・リーダー発進準備完了」

「戦攻部隊パンサー・リーダー発進準備完了」

「[ウルフ]了解。グッドラック」

[ウルフ]が発進許可した。


「警告!排気まであと2分。Aエリア全機密閉」


ウィーン

グィーン

シューッ


Aエリアの全機体が、キャノピーを閉じた。

パイロットがロックを確認し、グッドサインを出す。


「警告!排気開始。警告!排気開始」

回転警告灯が、イエローからレッドに変わった。


シューーーーーッ

格納庫から空気が排出される。


キイィーーーーーーン…………

キュィィィーーー…………

ドォォーーー…………


壁面ドアがスライドして開き始め、

格納庫Aエリアは、無音になった。


通常照明は消灯し、赤い回転警告灯と機体の標識灯、

それにエンジンノズルからの青白い光であふれた。


[ウルフ]のAエリアの両舷が開け放たれ、数十の機体が音も無く発進して行った。


* * *


「艦長、2番衛星軌道まで、あと10,000キロです。そして、2番衛星そのものが35,000キロまで接近しています」

[もがみ]のノラン航海長が報告した。


「グッドタイミングすぎるな」

俺は、思わず言ってしまった。


「このまま速度を落として、衛星が来たところで裏側へ回り込もう」

俺は、そう提案した。


「それは、ベストアイデアですね」

航海長も賛成した。


「両舷減速、速力2,000」

「両舷減速、アイ」

機関長の指示に、機関室が答えた。


[もがみ]は減速し、ちょうど2番衛星が軌道を進んで来るのを待つことにした。


「艦長、やはり電波が発信されてます」

通信担当のタレク少尉が言った。


「パルサーの反射波じゃないのか?」

俺は、疑問を言った。


「いえ、意図的な電波だと思います」

少尉は自信を持って答えた。


「分かった。調査の準備をしよう。

戦術長、偵察部隊の準備を」

「了解。CICで準備します」

俺は、戦術長に偵察の準備を命じた。


「艦長、航空隊長のトクセ大尉です」

しばらくすると、戦術長は航空隊長を連れて来た。


「大尉、あの衛星の偵察をしてもらいたい」

俺は、隊長に偵察を頼んだ。


大尉はブリッジの窓から、近付いてくる第2番衛星を眺めて、

「分かりましたか。すぐに出ます」

と言って、ブリッジを出て行った。


そしてその10分後には、第2番衛星に向かう戦闘機が2機、ブリッジの窓から見えた。


* * *


「こちらフォックス・リーダー。夜の面を円周状に偵察飛行中。現在のところ、異状なし」

「こちら[ウルフ]、了解」

偵察部隊からの報告だ。


「現在、撃墜した敵機の残骸確認及び回収のため、輸送機を墜落現場に向かわせているので、誤認に注意されたし」

「フォックス・リーダー、了解」


第1偵察部隊が低空飛行していると、まだ煙が上がっている撃墜した敵機の所に、輸送機が着陸しようとしているのが見えた。


撃墜された我が第5偵察部隊3号機の乗員2名は、先ほど救難機に救助され、負傷したものの命に別状は無かった。


「パンサー2-1より、距離2,000に敵機探知」

戦攻部隊が敵機を見つけた。


「フォックス4より、応援に向かう」

「パンサー2-1より、敵数5、距離800!」


パパパパッ!

パパパパパッ!


パンサー2編隊の前方でレーザー機銃が光った。

「展開!迎撃!」


戦闘機3機、攻撃機3機のパンサー2編隊は敵のレーザー機銃をかわし、上空へ展開した。


パシュッ!パシュッ!パシュッ!

パパパパシュ!!


目標が上空へ展開したところへ、低空飛行のまま直進した敵機を、応援にきたフォックス4編隊の5機が迎撃した。


ピカッ!!ピカッ!!

ピカッ!!

「こちらフォックス4-1、チームで3機撃墜した」


パパパシュ!

パパパシュ!

ピカッ!

ピカッ!

上空で宙返り状態で戦闘域に戻ったパンサーが、残りの敵機2機を撃墜した。


「こちらパンサー2-1、残りの2機を撃墜」

「サンキュー、パンサー」

「ありがとう、フォックス」

やり取りは、全機に聞こえている。


「握手はお客さんが帰ってからやってくれ」

「こちらフォックス5-1、お客さん5名様確認」

フォックス5編隊が展開し、敵に狙いを定めた。


「フォックス4へ、ヘルプが欲しいなら言ってくれ」

「あー、敵が100機くらいになったらな」


パシュ!パシュ!

パパパパパシュ!


ピカッ!!

ピカッピカッ!!

ピカッ!


「こちらフォックス4、チームで4機やった」

「こちらパンサー3、スペアは、こっちで」


ピカッ!!

フォックス4が逃した1機を、パンサー3が仕留めた。


「サンキュー、パンサー」

「スペアは、高得点だ」


* * *


撃墜した敵機を回収した輸送機が[ウルフ]に戻った。と言っても、上甲板に残骸を全て降ろして、そこで調べることにしたのだが。


「500年前の宇宙軍の戦闘機です」

調査官が、立ち会いの工務部長に言った。


「単座の防空用戦闘機で、操縦していたのは300年前のHDです」

「このボロHDが操縦していたのか」

「そうです」


「で?このHDが自分の意思でやったわけじゃなかろう?」

「おそらく、命令系統が存在するのでしょう」

調査官が答えた。


「その司令部は、この星にあるのか?」

情報部担当の大尉が割り込んできた。


宇宙空間で作業している時の通信は、だいたい誰にでも聞かれてしまう危険がある。


「この型のHDは、すでに専用ネットワークが確立された後の物ですから、この星以外から制御することも可能ですが、この電磁波の嵐の中で命令を実行させるには、この星だけで管理する方が効果的かもしれません」

調査官は答えた。

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