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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
103/132

【103】旧型HDの反乱

ウィーーーウィーーーウィーーー!

艦内に警報が鳴り続けている。


ドカドカドカドカ

カンカンカンカン

警備班が艦底部にある格納庫の前に到着した。


「レディー! ゴー!!」

班長がドアの横のボタンを押すと、黄色い非常回転灯が回りだしてドアが開き、班員たちは中へ突入した。


ウィーーーウィーーーウィーーー!

警報は鳴り続けている。


シュィン!シュィン!シュィン!

バンッ!ガンッ!ガンッ!


シュシュシュィン!

シュシュシュシュシュィン!

ドカンッ!ドンッ!ドンッ!

ガガガガガンッ!


班員たちが突入したとたん、レーザーが飛びまくり、体を伏せたり、柱や物陰に身を隠さなければならなかった。


「ピピ、何が起きてるんだ?!」

班長は班員たちに手で指示を出しながら無線で聞いた。


「ピー、奥で何者かが、銃を乱射しています」

シュィン!シュィン!

ガン!ドカンッ!


シュシュシュィン!

カンッ!カンッ!ドガッ!


「ピピ、前進する。援護せよ」

班長が指示した。


ウィーーーウィーーーウィーーー!


班長が班員に、進め、回り込め、と手で指示する。


シュシュシュシュシュィン!

ガン!ガン!ガチャン!ガン!ガン!


「ピー、あいつだ!Qだ!!」

柱の陰に隠れた班員が言った。


「ピピ、あのボロHDか?!」

班長が確認しようとした。


シュィン!シュィン!

ピキンッ!カンッ!

床に転がされたままのQが手の甲のレーザー銃を乱射していた。


「ピピ、制圧しろ。破壊してもかまわん」

班長は命令した。


パシュッ!パシュッ!

ガンッ!ガンッ!

班員の撃ったエネルギー銃弾はQの頭部と両手に当たり、レーザー銃の発射は止まった。


Qはジタバタと手足を動かしているだけになった。


近付いた班員が、近くにあったオノでQの両手を叩き切った。これで完全に銃は使えない。


ウィーーーウィーーーウィーーー!


「誰か、警報を止めろ」

班長が指示した。


「こいつ、勝手に動き出したのか?」

「持って来た時は、完全に壊れてたよな?」

班員たちは、確認し合っていた。


「警備より副長へ」

「副長だ」

班長の呼び掛けにブリッジの副長が応答した。


「格納庫でQがレーザー銃を乱射していましたが、現在、制圧しました」

班長は報告した。


「なに?Qが? 何故だ?」

「分かりません」

副長が疑問を投げたが、警備班長にも分からない。


「維持管理部と工務部で調べた方がいいかと」

とりあえず、班長が提案した。


「そうだな。それまでQの残骸を監視してくれ」

「了解しました」

2名の警備班員がQの残骸の監視に着いて、他の班員は撤収した。


* * *


第20番惑星第4衛星の上空20,000メートルに、[ドク・ツー]の巨体が浮かんでいた。


「極夜になるのは、南北どちらだ?」

船長が航海士に聞いた。


「今後200日以上は、北極側です」

「よし。では北極の起伏の大きい場所を選定せよ」

船長のカナル中将は、[ドク・ツー]を、北極の凹んだ場所に隠したいようだ。


「北極点から140キロの地点に、小山脈の中で船を隠せる場所があります」

航海士が報告した。


「よし、そこに降下だ」

「了解しました」

[ドク・ツー]は北極点に微速前進しつつ、微速降下し始めた。


フォォォーーーーーッ

パシュッ!

パシューーッ!


船底部のスラスターと、前後左右のスラスターを噴射し、巨体のバランスを取りながら降下する。


「目標地点まで距離1,200メートル、高度5,000メートル」

[ドク・ツー]は、前進速度を落とし、降下角度を垂直に近付けた。


バシュッ!!

バシューーッ!!

バシュッバシュッ!


船底部スラスターが強噴射になった。

巨体の降下速度を落とすには、かなりのエネルギーが必要だ。


「距離300メートル、高度2,000メートル」

航海士が、微調整しながら船をコントロールする。


「着陸する平面は大丈夫か?」

船長は、船が収まる着陸地点か心配している。


「舗装とまではいきませんが、過去の溶岩流跡でしょうか、かなり平面になっています」

航海士は、地表を拡大表示して見せた。


「おお、これはラッキーだな」

船長も安心したようだ。


「降下地点到着、高度400メートル」


ゴオオオーーーーーーーーッ!!


「伸縮安定台座、開出」

船の底面に、キャタピラーやゴムタイヤが付いた安定用台座がいくつも突出した。


ゴォォォーーーーーッ!

パシューーーーンッ!


ゴォォーーーッ!

パシューッ!


ゴォーー

パシュッ

パシュ…


シュゥゥゥーン……


「エンジン停止。[ドク・ツー]、目標地点に着陸完了」

航海士が報告した。


「よろしい。ご苦労」

カナル中将は答えた。


こうして海兵隊専用船となった[ドク・ツー]は、第20番惑星第4衛星のほぼ北極点近くの山脈の中に、拠点として着陸を完了した。


* * *


「艦長、[ドク・ツー]が第4衛星に着陸したようです」

ヒラセ副長が報告した。


「了解。あ、第4衛星の調査は、海兵隊が自分たちでやるんだろうな?」

俺は、ちょっとした疑問を呈した。


「あ、確認した方がいいですかね?」

副長も心配になったのか。


「面倒だけど、頼むよ」

俺は、お願いしてしまった。


「第2番衛星軌道まで、150,000キロ」

ノラン航海長が報告した。


「結構、良いタイミングで第2番衛星に行けそうです」

サクラが報告する。


「軌道到達直前に、2番衛星そのものが接近してきます。そこで20番惑星の陰から2番衛星の陰に移動できるでしょう」

「パルサーに曝される時間が、かなり短くて済むな」

「はい。そういうことです」

なんて良いタイミングなんだ。


「そうだ、サクラ、一緒に格納庫へ行こう」

俺は、サクラとブリッジを出た。


シュイーー

コツッ、コツッ、

カシャ、カシャ、

サクラと2人で歩くと、こういう音がする。


HDにドロボウはできないだろう。


エレベーターで最下階まで降りて艦尾方向へ歩くと、鉄が焼けるような匂いがして、空気が白っぽくなってきた。


「この匂いと煙は?」

俺は、サクラに聞いた。


「Qがレーザー銃を乱射し、格納庫内のあちこちに当たって破損したためのものでしょう」

サクラは話しながら歩いた。


カシャ、カシャ、

コツッ、コツッ、


格納庫の入口ドアの上にある表示はグリーンだった。

グリーンは、開扉可能ということである。


レッドやイエローだったら、格納庫に空気が無い可能性がある。そういう事故を防ぐため、艦内のほとんどの隔壁ドアなどには、開閉可否の表示灯が付いている。


ま、グリーン以外の時は、ロックされて開けること自体できないのだが。


シュイーー

俺が開閉ボタンを押すと、エレベーターのように左右にドアが開いた。


格納庫の中は、焼けた鉄の匂いがさらに強くなり、白い煙もまだ残っていた。


入って3メートルほど行った所に2名の警備班員が立っていて、俺らを見ると銃を下げて、敬礼した。


俺は、警備班員に答礼し下を見ると、ほとんど黒く焦げた艶消しシルバーの体のHDが転がっていた。頭部や胸なども破壊され、両腕が体から離れて遠い所に置かれていた。


「このQが、レーザー銃を乱射したのか?」

俺は、警備班員に聞いた。


「はい。

私たちが到着した時、この場所で、ほぼこの転がった状態で、手の甲のレーザー銃を撃ちまくっていましたので、制圧し、両腕を切り離しました」

警備班員は、そう答えた。

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