【06】 古岡がすべてを改ざん
昼休み、近くのレストラン。 戸部、早苗、丹沢の3人が集まっていた。
早苗「美浦市の人口が急に増えたわね」
丹沢「うん、4千人水増しされている」
早苗「誰がなんのために、やっているの?」
戸部「直接数字を変えたのは、古岡さんで間違いないだろうな」
早苗「人口の担当だし、今日も、電話であせっていたものね」
丹沢「うん、それに大きなマンションなんて建ってないですよ」
戸部「県庁から、いきなり『人口が増えている』と言われ、とっさに思いつきで言ったんだろう」
早苗「ファイリングされている人口ファイルの中身も改ざんされていたわ。過去の数字が変わっていた」
丹沢「そこまで、調べたんだ」
早苗「まぁね」
丹沢「この改ざんされていることって、言うべきですか?」
戸部「誰に?」
丹沢「課長に?」
戸部「いや、かえって丹沢さんが命取りになるかも?」
丹沢「えっ? それってどういうこと?」
戸部「課長もグルだと思うよ」
丹沢「えっ!」
戸部「グルどころか、課長の指示かもしれないな?」
早苗「あり得そうね。古岡さんが自分だけで、そんな危ない橋を渡らないでしょう?」
戸部「あぁ、その通り。あの人は『休まず、遅れず、働かず』ではなくて『休んで、遅れて、働かず』。そして『無気力、無関心、無責任』の三無主義を地で行っている典型的な職員だからね。そんな人が、何か事を起こすわけがない。」
早苗「それだから、ずうっと平職員なのよ。ひと昔前のタイプね」
丹沢「数字を改ざんしたのは、絶対にあの日ですね」
戸部「うん、だろうな」
早苗「えっ、わかるの? 改ざんした日?」
丹沢「ひとりで居残りした日ですよ。タイミングもピッタリだし、あの人が訳もなく居残りしたのは、あの日だけですからね」
早苗「よく見てるのね」
戸部「とにかく、何かあるな。しかも黒幕は課長か、それとももっと上か?」
丹沢「『もっと上』って、部長?」
早苗「その上よ」
戸部「うん」




