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アラサー魔法少女ラヴリームーンの引退  作者: 有栖賀馬頭(TL名義は朱里雀)


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 それから、魔法少女ラブリーズは、復讐を誓ったブラックスカルやマッドサイエンティストのイエロージョーカー、紅一点ハニービー、筋肉馬鹿のデーモンマッスル。そして魔王という個性的な敵、そして王子様ポジションの新たなる仲間クールプリンスを加え、いつしか世界に広く周知される存在となった。


「ラヴリーサン、好きだぁ!」

「クールプリンス、こっち向いてーーー!!」

「シルキーも可愛い!!!」

「ハニービー、頑張れ! 勝って俺等を下僕にしてくれぇ」

「魔王、わが社を破壊してくれ! もう働きたくないんだ!」


 戦うたび、敵にも味方にも声援は増えていく。

 警察はろくに規制線を張っていない。

 見物している人たちは自分に火の粉が飛んでくるとはまるで思っていない。

 ただただ敵が入れ替わり現れ、面白メカを披露し、最初はラヴリーズがやられるが、最終的に勝つ姿を興奮しながら応援している。


 それだけの日々。


 まるでプロレスだ。

 男性にはラヴリーサンとセクシーなハニービーの人気はすさまじく、女性にはクールプリンスは勿論、無駄に顔が良い魔王軍も人気があった。

 特にネット界隈では仮面をつけているくせに顔面がCGとまで称された魔王の人気はすさまじく、国民はみなこの茶番劇ともいえる戦いを楽しんでいた。


 勿論、一番人気がなかったのがラヴリームーンだ。

 それでも、あの頃は、しょっちゅう記者に追い回されていた。



 世界の人気者、皆のヒーロー。

 毎日が充実していた。

 使命感もあった。


 だが、あの日。

 いつものように戦っていたあの日。


 再び、空に異界ゲートが現れた。

 それも、以前見たものよりずっと大きな。

 そこからぬっ、とこれまた大きな手が出てきた。

 ここ最近さっぱりと感じていなかった刺すような威圧感。

 まるで初めて魔王に会ったときのよう、いや、それ以上だった。


「まずい」

 肩に乗ったシルキーがボソリと呟いた。

『∅∵∌∨√%∂≧∀∶⊂∇√∑∏∫∞⊄⊄⊃∪∪∵∧∌∂¡¡¡¡¡¡¡』

 異界ゲートからなにか聞こえてくる。


 いつの間にか魔王軍が集結していて、その手に向け、魔王以外が平伏している。

 ハニービーに至ってはよっぽど恐ろしいのか震えている。そして肩に乗ったシルキーも。


「シルキー、あれは何?」

「シャイターン族、真の王だ。魔王は地球を征服するために送り込まれた言わば先兵。シャイターン本界では魔王は幹部の一人でしかなく、王の地位は何人かいる。その全員を束ねているのが真魔王。真魔王はいつまでも魔王が地球を征服しないから忍耐切れしたんだろう。奴は魔王とは比べものにならないほど強い」

 

 そのとき、大きな手が人差し指で魔王を示した。

 まるで不要になったオマケの食玩をゴミ箱に指で弾いて捨てるくらいの気軽さで、強烈な光線が放たれた。

 


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