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アラサー魔法少女ラヴリームーンの引退  作者: 有栖賀馬頭(TL名義は朱里雀)


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13

 月歌は小さなアパートにかろうじでついている小さな浴槽の中、足を縁に掛けてぼーーーーーーっとしていた。


(私、告白された……よね?)


 じわじわと感情に現実が追いついてきて、叫び掛けて、アパートの壁が薄いことを思い出して留まり、体制を崩して浴槽に沈む。


「げほ、ごほっ、鼻にお湯入った」

 痛い。この痛みこそ現実なのか。

 黒瀬はそもそも、まだ2回しか会っていない人である。

 この段階で付き合う、付き合わないを決めるのは早くないか。


(でも、婚活ってそう言うもの?)


 松本に相談しようか、と子供のころ親の車で聞いたCDのフレーズが蘇ってくるが、月歌に相談できる松本はいない。


「ってか、返事してないじゃん!」 

 あの告白の後、月歌は返事もうまく出来ず、ギクシャク、両手両足を同時に出すような形で歩き、駅まで送ってもらって傘を返して貰った、覚えはあるが、何か話した覚えがないのだ。


(返事っていつまで? あの場で返事しなかったからもう無効???)


「え、え、え、え、え!」

 ふったつもりはないけれど、ふったことになっちゃったかも、と月歌は風呂から上がり、素っ裸のままスマホを取りに出た。


(何か言い訳をしないと……)

 廊下に置きっぱなしの鞄の中で鎮座しているスマホを取り出すと、既に黒瀬から連絡が来ていた。


『今日は驚かせてすみませんでした。つい、気がはやってしまい申し訳なく思っています。すぐに返事を決めてくださらなくていいので、ゆっくりと僕のことを知っていただけると嬉しいです』

 と、書かれている。


 月歌はほっと一息ついた後、廊下がびしょびしょになってしまっていることに気づく。


「とりあえず、体を乾かさないと」

 独りごち、月歌は体を拭いたタオルで廊下を拭き、髪に巻いた。

 いいのだ、誰も見ていない。


(黒瀬さんのことを知る……)

 それは同時に、自分のことを知ってもらうことでもある。

 お付き合いは、したい。素敵な人だし、ドキドキするし、格好いい。

 まだ二回しか会っていないが、きっとこれが恋なのだろう。

 それはそれとして、自分のことを知ってもらうと言うことは過去も含めるわけで……。


「やっぱり、言わなきゃ駄目よね」



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