愛を求めた少女
……遅くなってしまい申し訳ありません。
あたしは他の男の子と同様にエリックもあたしの崇拝者の一員にしようとした。藍色の目があたしに征服されるところがたまらなく見たかった。
けれども、エリックは何度話しかけても冷たい態度しか示さなかった。
「エリック。あなたはとってもかっこいいわね」
「そう、ありがとう」
そう言ってエリックは、本を読み続けた。
何よ!せっかく、このあたしが褒めてあげているのにあなたはどうしてそんな態度しかとらないのよ。調子に乗っているんじゃないわよ、このカス。
最初の頃は、エリックを褒めていた。
けれども、エリックがあまりにも冷たい態度をとるのに今まで培われたプライドが傷つけられた。あたしは、エリックを褒めることをやめた。
ある日、エリックが他の女の子に優しくした瞬間は、嫉妬のあまり我を忘れそうだった。
何であんなブスに優しくするわけ?あたしの方がかわいいじゃない。
あたしを見なさいよ。
……どうしてあたしはエリックに対してこんな感情を抱いているんだろう?
まさか……これが恋なのだろうか?
ふんっ、ばかばかしい。
このあたしがあんなジャガイモごときに恋するわけない。
そうよ、何かの間違いだわ。
あたしは、心を支配する側なの。決して、支配される側に行ったりしないわ。
エリックなんて別に全然気にしてなんかいない。
だけど、目を合わせないように必死に努力をしていた。
自分が意識していることを相手に知られることが怖かったからかもしれない。
他の子ともっと楽しそうにしゃべっていたら嫉妬してくれるかもしれない。
自分の自慢話をさりげなくしたらエリックがあたしをすごいと思ってくれるかもしれない。
けれども、エリックは少しもあたしに興味を示さなかった。
こうなったら、無理やりでもあなたを手に入れてやる。
あたしはお父様、ジェイコブ・アンショーに頼んで、あたしとエリックを婚約させてもらえるようにお願いした。
お父様はかわいい娘の言うことを聞いてお金のやり取りをしてくれた。
一か月後、あたしはエリックと婚約することになった。これでエリックはあたしのものだ。
だけど、エリックは、少しも変わらず冷たいままだった。まあ、婚約者としての最低限度の気遣いはするようになったけれども。
何で……。何であなたはあたしを愛してくれないの?あなたもあたしを思って苦しみなさいよ、バカ。
日が沈みかけた教室。泣いているエリックを強く抱きしめている少女を見てしまった。
思わずその場面から逃げ出したが、
彼女は、黒目、黒髪の地味な少女だった。あたしが高嶺の花だとすれば、あんなのただの雑草よ。協会の娘であり、貧しく、いつも地味な服ばかり着ていた。
どうしてエリックは、あんな子と抱き合っているの?あなたは、あたしの婚約者でしょうが!
その時、あたしは自分が泣いていることに気が付いた。
この痛みは……きっと恋だ。
ああ、そうか。あたしは、エリックに惚れているのだ。
高いプライドが邪魔して今になるまで気が付かなかったのだ。
恋を自覚したあたしは、まず泥棒猫を排除することから始めった。
「昨日、エリックと何を話していたの?」
「そ、それは……言うことができません」
何それ?あたしには言うことができないような内容なの?
それをエリックはあなたに話したの?
「この泥棒猫、消えて」
あたしは、セイラの頬を殴った。
「何をしている?」
聞きなれた声が辺りに響いた。
私の体が恐怖で震えだした。
エリックに嫌われてしまうことが怖かった。
エリックは、腫れた頬をしたセイラを見つめていた。
「行こう」
エリックは、セイラの手を引いて行ってしまった。
エリックは、前よりもあたしに冷たくするようになった。
そしてセイラとばかり仲良くするようになった。
母親ビビアンの藍色の瞳と、エリックの瞳が重なっていくようになる。
母親の言葉がエリックの言葉として脳内で蘇る。
「あんたなんて大嫌いよ」
あたしは、幼い頃よく抱いていた黒色の感情を思い出していった。
あたしなんて生まれなければよかった。
もう死にたい。
愛されないあたしには何の価値もない。
愛されない人生に何の意義も見いだせない。
こうして闇色の感情にとりつかれたあたしは自殺した。
ありがとうございます。
愛って小説において永遠のテーマである気がします。




