1番可愛いと言われる3歳児になった。つまり人生のピーク?
引越しって荷解きの方が大変だったとか、ログインできなくなったとか、間違えてブラウザバッグして何度か書きかけの文章消えたとか、色々ありましたが……。
やっとお届け再開できました!遅くなりましたが、見捨てず読んでやってくれると嬉しいです!
時は流れ、俺は3歳になっていた。
早いものである。2歳のあの混沌とした日々は今も続いている、と言うか悪化の一途を辿っている。
3歳にもなるとできることが格段に増える。歩行は安定し、走れるようにもなり、言葉もかなり喋れるようになった。会話についても理路整然と、と言うわけにはいかないが、普通に成立する。
俺の場合は前世の記憶があるから当然といえば当然だが、雀も負けず劣らずよく喋る。というか、雀の方がよっぽどおしゃべりである。俺の場合は喋りすぎるとばれそうだというのもある。50歳児であることが。
俺が50歳児バレを警戒するようになった要因の一つに、雀が「なぜなぜ期」に突入したことである。何かにつけて「あれなーに?」「なんで?」と聞いてくる知的好奇心の目覚め。成長っ……!圧倒的成長っ……!
それのどこに50歳児バレの要素を含むのか?なんとなく察していただけるかと思うが……頼ってくる雀は可愛いのである。
答えになっていないって?可愛いからついつい答えちゃうんだよ言わせんな恥ずかしい。
好奇心に輝いてるおめめ。その視線に含まれる信頼感。こんなの裏切れるわけがない。
だからついつい早口で知識を披露してしまう。
「かえちゃんはなんでも知ってるね!」
そんな尊敬の眼差しについニマニマしてしまう。普段雀は俺の事を、何故か庇護対象だと思っているような節がある。実態は逆なんだけどね?……逆だよね?確かにフィジカル面では勝てないけど。
とりあえずは立場を取り戻すチャンスなのである。
あと、なんでもは知らない。知っていることだけな?
だがしかしそうやって答えてしまったことが天使陣営にバレると、50歳バレの危険性が増してしまう。まさにチャンスはピンチ!あれ?逆じゃね?
「なんでお空は色が変わるの?」と聞いてきたことがある。いい質問ですねぇ!
「昼間は青い光がそこら中で派手に散らばっているから空が青く見え、夕方は青い光が途中で力尽きて消え、散らばりにくい赤い光だけが、長い距離をすり抜けて私たちの目にまっすぐ届くから赤く見える、ということなんですねぇ!」
「ふーん」
あれ?なんかどうでもいい感じ?それともわかりにくかったのかな?
尊敬っ……!圧倒的尊敬っ……!って感じの視線は?
「楓、よく知ってるねぇ」
後ろを振り向くと天使がいた。俺は冷や汗をかいた。普通の3歳児がそんなこと知っているはずがないのだ。大慌てになりながらも「ママが教えてくれたの!」と言い訳をするが……完全にやってしまった。聞いてきたお前がママなんだよぉ!
バカじゃないの俺?嘘つくの下手すぎて、俺という人間の善良性が垣間見えるいいエピソードですね!自画自賛乙!
天使は「そうだったかしら?」と首をかしげていたが、それ以上考えるのをやめたらしい。
天使じゃなくて究極生命体だった?というかいつの間に背後に来てたの!?究極生命体なら不思議ではないか!
「おやつの時間だから一旦帰るわよ」
そう言って俺を抱っこする天使。俺の歩行速度だと時間がかかるので、移動は基本抱っこである。
雀は大人の足についていける子なので徒歩です。お前恥ずかしくないのかって?慣れましたてへっ⭐︎
そんな感じで何度か天使陣営に聞かれてしまったことがあるのだが、その都度機転を利かせてきた。
「蟻はなんで行列を作るのか」の時は「絵本で見た」とごまかし、「なんで水は燃えないの」の時は「楓は物知りなの」と誤魔化し、「なんで楓ちゃんは可愛いの」の時は「えー、雀の方が可愛いー」とごまかした。最後のは別に親バレしてなかったわ。ただの惚気でしたすめん。
というかそんな絵本はうちにないし、説明になってねえし、周知の事実だし。結論何も誤魔化せてねぇ。一言でまとめるとなんもねぇ。最後の言い訳「夢の世界で」を発動する日も近そう。これは転生バレフラグだったわ絶対発動してはいけない。
バレたらバレたで、その時考えよう……なんて楽観的になれるわけもなく。天使に侮蔑の目で見られるのだけは耐えられない。それがご褒美界隈とは、一生仲良くなれないだろう。
しかし、人間と言うのは、愚かな生き物で、喉元過ぎれば熱さを忘れる。雀が聞いてくるたびに反射で答えてしまう。雀が悪いんだよ……?
というわけで、なぜなぜ期は俺にとっては地獄の時期である。誰がなんと言おうと、異論は認めない!怖いですねぇ!恐ろしいですねぇ!
恐ろしいといえば、雀の運動能力である。
3歳になっても成長スピードは加速の一途で、留まるところを知らない。多分雀の辞書にはブレーキという文字は載っていないのだろう。
先程も触れたが、雀は大人と同じスピードで歩ける。どこかの白い人型兵器のごとく化け物である。
さらに階段を降りる時も、片方ずつ交互に出してスムーズに降りていく。俺はといえば、1段ずつ両足を揃えて降りる。いやほぼ抱っこされてしまうけど、自力で降りる時はそうしている。
いや怖いんだよマジで!3歳児の身体で階段降りるの。
だって1段が膝下くらいまであるんだよ?って言うと大したことないように感じるのがもどかしいな?
膝下の津波が大したことないとか侮ってたら死ぬからな?気を付けなはれや!
話がそれた。再度言うが、雀は大人と同じように交互に足を出して、跳ねるように降りていく。しかもかなりのスピードで。まるで小さな忍者である。ドーモ、ニンジャサン。
さらに、落ちているのでは?と錯覚するほどに、どんどん加速するのだ。見ている方てしては、ヒヤヒヤハラハラだし、思わず目を逸らしてしまいたくなるほど危なっかしい。
しかし転んだことはないし、最後は体操選手のように両足で着地しポーズを決めている。解せぬ。
きっと前世は猫だな。そうに違いない。違くてもそう決めたので、これからは雀の前世は猫ということでひとつよろしくお願いします。
フィジカルモンスターエピソードはそんなもんじゃない。三輪車に乗れるようになった次の日には、補助輪を外していた。
……ちなみに俺はこの身体で上手くバランスが取れないので、補助輪付で乗っている。笑うんじゃありません。3歳で補助輪外して乗れてたものだけが笑って良いです。やっぱダメ。人に優しくなろうぜ?
というかさ。「もういらない!」と言い出す雀も大概だけど、それならと心配せず外してしまう飛鳥さんもアレだよね。多分脳筋……ではなくフィジカル家系なんだろうなぁ。
外した直後から、まるで最初から乗れていたかのようにスイスイと漕ぎ出す。当たり前のようにスピードも出すし、庭を回るだけではすぐ飽きて畑のあぜ道を爆走していた。ちなみにトラクターを追い越していたので、スピード違反で捕まる日も近いと思われる。
……んなわけないね?捕まるのは暴走族としてだね?
さらに驚くべきは雀のよじ登り能力である。
椅子からダイニングテーブルへ。ダイニングテーブルからキッチンのカウンター台へ。そのまま戸棚に手を伸ばして飛びつき、片手でぶら下がりながらもう片方の手でおやつを強奪する。その一連の動作が、あまりにもスムーズで無駄がない。まるで猿である。
きっと前世は猿だな。そうに違いない。違くてもそう決めたので、これからは雀の前世は猿ということでひとつよろしくお願いします。
え?猫?なんの事?
「こら、雀!勝手に取らないの!」
飛鳥さんが大泥棒雀に気が付いて叱る頃には、大抵の場合おやつは雀の口の中に入っていて取り返すことは叶わない。たまに俺に分前を渡して来るが、断固受け取り拒否している。
子ども用のオヤツにあまり興味をそそられないし、オヤツは天使乳派なので。
飛鳥さんや天使の怒りを買ってまで得るほどの価値はないのだ。ないのだよ雀君?大人になりなさい。
「すー、じょうずでしょ?」
上手でしょじゃないが?ないのだよ雀君?大人になりなさい(2回目)。
「危ないからやめな?食いしん坊すーちゃん」
どこぞのラノベ主人公のように、ヤレヤレ感をだしながら窘める。
が、雀は「ふん!」と鼻を鳴らすだけで「止められるものなら止めてみな」と言わんばかりに堂々と去っていく。強者の風格が出てますな。雀△。
とはいうか、3歳児が鼻を鳴らすな。本当に誰に似たんだか。飛鳥さんは「私じゃないわよ」と言いそうな顔をしているが、確実にあなたです。外見も中身もあなたにクリソツです。
飛鳥さんはいかにも体育会系女子って感じで、かっこいい系の女性だ。細身だが筋肉質で、ショートヘアが良く似合う。シックスパックの見えるヘソだしスタイルがデフォで、いつも日焼け気味の肌。
顔立ちが整っている……わけではないが、醜いわけでもない。
そんな飛鳥さんに雀は似ている。誰も疑うことのないそっくり親子である。
今まで散々雀を可愛い可愛い言ってきたが、実は外見的にはボーイッシュで男の子寄りのカッコイイ系である。
まぁ3歳児だから、ボーイッシュな顔立ちでも可愛いで間違いない。可愛いは正義。勝者が正義。つまり可愛いは勝者なのだ。雀、いず、うぃん!雀しか勝たん!
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