44話 再会
ゼルはライカに飛びついた。そしてライカもゼルを強く抱き返す。それによってゼルの不安定だった心は安定してきた。
「ライカ!! 良かった無事で!!
みんなは!? どうやって無事だったの!?」
「みんな無事だよ。
どうやってかは後で説明するね。というより、みんなのところへ行けば分かるかな。」
ライカはゼルをみんなのところへ案内してくれる。
すると、少ししたところでライカは立ち止まってしゃがんだ。ゼルが目を凝らすと、そこは地下への扉となっていた。
ライカが扉を開ける。
「もう絶対に魔獣に誰も殺されないようにって、みんなで地下を作ってたんだ。そしたら村を警備してくれてた兵士さん達も協力してくれて、結構早くに出来たの。みんなはここにいるよ。」
地下への階段を降りていくと、そこには広い空間があった。そしてそこにいた人達は、ゼルがよく知る人達ばかりだった。ファルにマーフィにルミネータ、そしてサラさんや一緒に農作業をした人達など。
「ゼルッ!!」
ファルが一番に気付いて、ゼルの元へ駆け寄ってくる。その後に他のみんなも気付いて、駆け寄って来てくれる。
心配の声や、激励の声など様々な嬉しいことを言われた。ゼルはずっとここにいたいように感じたが、残念ながらそう言うわけには行かなかった。
「悪いけどもう行かなくちゃいけない。こうしている今も多くの人が死に、多くの人が戦っているはずだから。」
ファルとマーフィはまだここに残ってよ的な発言をするが、他の人達は激励の言葉をくれて、快く送り出してくれた。
ゼルは今降りてきた階段を登りだす。
「じゃあ、私は見送りに行ってくるね。」
ライカはそう言ってゼルの後を追いかけた。
ライカは、誰も付いてきていないことを確認して、ゼルに話しかける。
「ゼル、学校での調子はどうなの?
その…混血の件とか?」
「……今のところまだ進展はない…な。
結局俺は、怖くて一歩も踏み出せないでいる…」
ゼルは階段を登る足を止めてしまう。
そして2人の間に少しの沈黙が出来る。
「ゼル…また本当の姿のゼルを見せてよ。」
「え? まあ…いいけど。」
本当のゼルは、右目が紅色、左目が白色のオッドアイで、髪色も紅と白が混ざった感じだ。
それを”創造”の魔術で、紅を白に染め白人だとカモフラージュしている。
ゼルは”破壊”の魔術を使って髪の染料と目のカラーコンタクトを破壊する。
するとライカは、手をゼルの後ろに回してキスをした。
「ごめんね、我が儘言って。
でも私はやっぱり、本当のゼルを愛したいからさ。
ねえゼル、これだけは忘れないで。
あなたがどんな姿になろうが、私はいついかなる時も、絶対にあなたの味方だから。」
「…うん。」
ゼルは少し涙ぐみながら答えた。
そして今度はゼルの方からライカにキスをした。
その時間はゼルにとって、長いようでとても短い時間だった。
「じゃあ、今度こそ本当に行ってくるよ。
戦ってくる、白人として。」
ゼルは”創造”の魔術で目と髪を白に染める。
そして決意を固めた表情をした。
「うん、行ってらっしゃい。」
ライカの顔は笑顔だった。
ゼルに見てほしい顔は笑顔だから、最後に送る顔は笑顔でいようと思ったのだ。
「ああそれと、俺からも1つ言っておく。」
「ん?」
「俺は絶対にこの世界を創り変えて、お前と結婚するぞ。」
「…うん!」
泣き出しそうになりながらも、なんとかライカは笑顔を保ったまま返事をした。
ゼルは地下から出ていく。
そして今まさに出ようというところで、ライカに向かって軽く手を上げた。
「じゃあ、また!」
「うん! またね!」




