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ワールドヘイト  作者: 三ki
第1部
43/64

43話 再びアルニ村へ

ゼルはドルタに許可をもらうや否や、すぐに新アルニ村へと出発した。今ゼルがいるのは首都ブランロード。民衆は、アルステーデとの共通の避難地であるリッキー平野か、首都のブランロードへと避難するため、ゼルとは逆方向に移動する。ゼルは民衆との衝突を避けるため、建物の上を移動した。


その頃、今まさに魔獣の被害を受けているサクスシティはすでに壊滅。隣接するノナシティにまで被害が及んでいる。そしてそのノナシティの近くには新アルニ村がある。しかし、ゼルが着くまでまだ4時間はかかる。また、その付近にはレッドスターがいない。トリプルスターはいるにはいるが、同じくトリプルスターの魔人に勝てるかどうかは甚だ疑問であるし、もし勝てたとしても、その人はアルニ村ではなく、より発展したノナシティなどを守るだろう。

アルニ村の運命はいかに。




〜約4時間後〜

ゼルがブランロードを出発してから4時間と少しが経過した。この時ゼルは、ノナシティにさらに隣接するオームシティにいた。そこで、初めて魔獣を目にする。それはつまり、ノナシティはすでに壊滅したということだろうか。つまりアルニ村も…

とにかく考えていても分からないので、魔獣がいることもお構いなしにゼルは進む。

ゼルに気付いた魔獣は、当然ゼルを襲うために向かってくる。ゼルはそれを一瞥だけする。魔獣はゼルから見て右側にいたので、右手に銃を創造する。そして、高速で動きながら銃を放つと、弾は綺麗に魔獣のコアの中心を貫いた。

ゼルは一切の静止も減速もすることなく魔獣を倒した。

他にも魔獣はそこらにいるが、ゼルは自分に興味を示さない魔獣は無視することにした。とにかくゼルは一刻も早くアルニ村へ行きたかった。

そんな時、ゼルの前に1人の魔人が立ち塞がった。


「よぉ! そんなに急いでどこへ行くんだ?」


ゼルはすぐに一心流の構えを見せる。そこそこの敵を瞬殺するのには、一心流が丁度良い。

だが、どうやら敵はそこそこの敵ではなかったようだ。ゼルの一心流になんとか反応し、両手を犠牲にしてゼルの太刀を受けた。そして”破壊”の魔術でゼルの剣が自分の体に到達する前に破壊する。

ゼルは自分が創った剣の硬度と、魔人が破壊するに至った時間を合わせて考える。そして、おそらくダブルスターの紅人の魔人だと判断した。このまま戦っていれば、勝てはするだろうが、かなりの時間をかけてしまうだろう。それはゼルにとって絶対に避けたいことだ。

(周りに兵士が何人かいるが…仕方ない…)

そう思うと、ゼルは拳を強く作ると魔人へと向かっていく。

それを見て魔人は高らかに笑う。


「はっはっは! お前、紅人との戦い方を知らねぇのか!? 無駄に怪我するだけだぜ!!」


そう言うと、魔人はゼルの拳に応えて自分も拳を作ると、ゼルのパンチに自分のパンチを合わせた。そして、”破壊”の魔術を発動する。すると魔人の警告通り、ゼルの拳は怪我を負う…はずだった。2人の拳は反発し合った。それは、”破壊”の魔術が衝突し合った時のそれだった。それは魔人の経験則から断言出来る。しかも、魔人の拳が少し崩れているのが何よりの証拠だ。つまり、”破壊”の魔術が使えないはずの目の前の白人の子供が、紅人のダブルスターだった魔人の”破壊”の魔術の練度を上回る練度で、”破壊”の魔術を使ったと言うこと。


「…は? おま、何者———」


魔人は当然混乱した。”破壊”の反発で体勢を崩しただけでなく、思考までも奪われる。その隙をゼルが見逃すわけもなく、剣を創ると魔人のコアへ突き刺した。魔人はすぐに生き絶えた。

幸いにも、ゼルの周りにいた兵士達は誰一人ゼルの”破壊”の魔術に気付かなかったようだ。まあ、全員ゼルと10m以上離れた位置にいるから当然と言えば当然なのかもしれないが。

ゼルはすぐに出発する。


そしてゼルはとうとうアルニ村へと着いた。4時間以上全力で動き続けていたゼルは、息を絶え絶えにしてアルニ村を見渡す。

すると、家屋は全て崩れており、人の気配は全くしなかった。


「ハァハァ ライカーーー!!

ファルーーー!!  ハァハァ マーフィーーー!! ルミ姉ーーー!!!

ハァハァ みんないないのかー!?」


ゼルは息切れしながらも、必死に叫ぶ。しかし、全く返事がない。

ゼルの目からは、すでに涙が溢れようとしていた。

ゼルはまた同じことを叫ぶ。しかしまた返事がない。そしてもう一度同じことを叫ぼうとした。

するとその時…


「ゼル…!?」


ゼルの後ろからライカの声がした。

すぐに振り返ると、そこには髪が少し伸びたライカが立っていた。

ゼルは、溢れた涙をそのままにしながら、ライカに飛びついた。

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