41話 マルク&ドルタvsノア(2)
「マルク、魔王はどうやらお前の”破壊”を警戒しているように見える。だから魔王への攻撃はお前に任せる。俺はその補助だ。」
「ん? それはいいが一体どうやって?」
「それは、とてもシンプルで強力な方法さ。」
ドルタはサングラスを創り、それをマルクへと渡す。そして閃光弾を創ってマルクに見せる。マルクはそれを見てすぐに察したようだ。
そうこれはゼルがシーグルと協力した時に編み出した方法である。2人とも自分よりも強大な敵と出会い、初めての紅人との協力で、新たな戦法を同様に生み出した。
マルクはサングラスをつけ、ドルタに頷くとノアへと向かって行った。ドルタはノアに向かって閃光弾を投げる。ノアの周りでは光が眩く輝き、ノアの眼を奪う。一方、マルクはドルタが創ったサングラスで問題なくノアを捉えられている。
ドルタの閃光弾を見て、ノアもすぐに察したようだ。鳥の魔獣を呼び寄せ上空への避難を測る。だが、鳥の魔獣程度ならば、すぐに処理できる。
ドルタはライフルを創るとすぐに放ち、鳥の魔獣のコアを貫いた。
いよいよ逃げ場がなくなったノア。ノアは周囲に魔獣細胞の壁を創る。マルクがノアを攻撃するためには、この壁を破壊しなければならない。それを感知して、マルクの攻撃に備えようと思ったのだ。
だが、それはドルタによって防がれる。
「伏せろ!」ドルタはそう叫ぶと丁度壁が剥がれるぐらいの爆弾が、マルクの上空を通過した。
ドルタは流石に経験値が高く、実際に戦ってみた緊急で生成される魔獣細胞の柔らかさと自身の創造能力、マルクとの位置関係を考慮して、最適とも言える爆弾を最適な位置に投げつけた。
ノアの壁は剥がれ、マルクはノアと対面する。頭部はノアが腕でガードしていたので、マルクはより脳に近い肩に右腕で触れた。ノアは反射的に肩から魔獣細胞を創造してマルクの右腕を攻撃する。魔獣細胞は右腕からノアの体内に入り、マルクの右腕を切断する。しかし、マルクは”破壊”の魔術を発動できた。
体内に侵入した魔獣細胞は破壊され、頑丈だったノアの肩や首は完全に崩れた。そしてノアの顔は崩れないまでも、大きな亀裂が何本も入っている。すぐにでも壊れそうだ。
首が崩れたことで、ノアは頭部だけになった。そして瞬時に体が再生する。しかしそれは応急処置で創った柔らかい体だ。この状態でマルクを攻撃するわけにはいかない。カウンターの”破壊”の魔術を喰らうと、ノアの頭部が破壊されかねないからだ。
マルクはすぐに左腕で追撃を加えようとする。しかしノアは後方に飛び、それを回避する。そして丁度鳥の魔獣に着地する。
ドルタはライフルを創りノアに発砲するが、距離もあったせいか軽く避けられる。
「マルクにドルタ、お前達を認めよう。噂通りの実力の持ち主だ。今は引く。目的は達したからな。
じゃあな、また会うことになるだろう。」
ノアはそう言うと、鳥の魔獣に乗って飛び去っていった。マルクは「クソッ!」っと声を発し、地面に叩きつけた。ドルタも数秒立ち尽くしてノアが去っていった方を見続ける。
しかしすぐに気持ちを切り替え、今すべきことを考える。そして包帯を創り、マルクに渡した。
「悔しいが後にしよう。お前はまずは治療だ。後のことは俺がやる。
魔王の言いぶり的には、魔獣や魔人も引くのだろうが、残党がいるかもしれない。俺はそれを狩りに行く。」
「………ああ。ありがとう。」
ドルタの予想通り、ノアが引いたタイミングで魔獣や魔人は撤退していた。しかし、魔人は自我が強いため、数人残っていたので、手の空いたドルタによって、その者達は全員始末された。
この魔王によるアルステーデ侵攻によって、レヴォシティ、ハラシティ、ザンバシティ、コルポシティ、ペングシティ、シラシティ、フォートシティ、マオダリシティは全壊。それらに隣接する都市も壊滅的な被害を受けた。これによってアルステーデは半分以上の領土を魔王に奪われた。被害者は、紅人の兵士と民間人、白人の兵士を合わせて30万人以上にも及ぶ。さらに元トリプルスターの魔人もいたので、トリプルスターの兵士からも多数の死者が出た。そしてさらに、レッドスター第3席ニールも、必死の治療虚しく息を引き取った。
間違いなく言えることは、この侵攻によって、紅人は…いや人類は…壊滅的な被害を受けた。




