39話 協力
ゼルと少年、シーグルが打倒魔人に向けて協力した。
「言っとくがオレは連携は苦手、ましてや白人となど。だからお前がオレの動きに合わせろよ。」
「ああ、それでいい。」
連携が苦手と言ったのはシーグルだ。それに対してゼルは、どうやら連携の自身があるようだ。というのも、ゼルは”破壊”の魔術も使えるので、普通の白人よりは紅人との連携は上手いだろう。
「行くぞ!」
宣言通り、シーグルは魔人へと真っ直ぐに突っ込んでいく。その気迫は凄まじく、魔人も一瞬はシーグルに集中しなければいけないだろう。
シーグルと魔人の”破壊”の魔術がぶつかり合い、反発しあった。若干魔人の方が優れているのか、シーグルは少しダメージを受けたようだ。
とても大きな衝突だったため、2人ともそれを受けて体勢を崩している。そこを突く。
魔人がのけ反っている隙にゼルは魔人に一気に距離をつめ、一心流の構えを見せる。
魔人は咄嗟に両手を顔の前に持ってくる。そして”破壊”の魔術を両手に発動した。
それによりゼルの剣は、魔人の両腕を切り終えたぐらいで壊れてしまい、狙いの頭までは攻撃は届かなかった。
クッ、とゼルは悔しそうな声を漏らす。そのゼルの横をシーグルが勢いよく通り過ぎる。
「いや十分!! 腕さえなければ貴様なんか!!」
このままいけばまた”破壊”の衝突が起こる。そしてゼルは今度こそ魔人の頭を落とすことに成功するだろう。だが…
魔人は足で”破壊”の魔術を発動した。
大地は魔人を中心にして八方向に割れる。その揺れに、シーグルは勢いを失い魔人への追撃が叶わなかった。
「ふー、危ねぇ危ねぇ。
お前、本当にそこの白人と手を組んじまったのか?」
「だからそうだと言っているだろう!
お前に勝ち目はない。」
魔人はなんとかシーグルを裏切らそうとするが、そんなことに気付かないシーグルではなかった。
「はー、俺は紅人として悲しいぜ。」
「黙れ! 今のお前が紅人を名乗るな!
それに俺の理想とする紅人像は、大切なもののために自らをも破壊出来るやつ。
お前なんかの言葉に響くことはないぞ!」
「まあいい、お前らが連携できなければ俺の勝ちだ。」
魔人はそう言うとシーグルではなくゼルの方へ向かってくる。ゼルは盾を創造して魔人を押し返す。盾は崩れ、ゼルの手も多少の傷を負ってしまったが、魔人を退かせることには成功した。その隙にシーグルが攻撃を———することを期待したが、白人の戦いをあまり知らないシーグルにとって、それは叶わなかった。
結局、魔人が体制を取り戻してからシーグルは攻撃した。先程と同じようになり、2人の”破壊”の魔術は反発し、シーグルが少しだけダメージを受ける。そしてその隙にゼルが魔人を一心流で攻撃。しかしそれは魔人にも十分予測可能なことだったので、魔人はすぐに上空へ飛び上がり、ゼルの攻撃を回避した。そしてまた膠着状態となる。
魔人側は傷は全て再生出来るので、体力を考慮に入れないとすると、実質的な損傷はない。それに対してゼルとシーグルは、それぞれ魔人の”破壊”の魔術と相殺する形で、両手に少しずつダメージを受けている。ここまま行けば、やがて手は使い物にならないくらいのダメージとなるだろう。
「シーグル、このまま行けばジリ貧だ。
そこで俺に提案がある。これを。」
ゼルがそう言い創ったのはサングラス。ゼルはそれをシーグルに投げ、自分の分も創った。シーグルはよく分からないまま、受け取るとすぐに装着する。
ゼルはシーグルにサングラスを投げると同時に閃光弾を創った。
ゼルの狙いが分かった魔人は焦った表情で、すぐに止めにかかるが、すでにそれは遅かった。ゼルは閃光弾を投げ、周囲を光で包む。魔人は視界を奪われたが、ゼルとシーグルはサングラスにより問題無しだ。
こうなると魔人は防御に徹するしかなくなり、”破壊”の魔術を使いながらうずくまる。だが、それで防御しきれる程、2人の攻撃は甘くなかった。シーグルが脳を、ゼルがコアを狙う。脳の方は、頭を抱えて守っていたこともあって、魔人の”破壊”の魔術を突破することは出来なかったが、一方コアの方は背中がむき出しになっていたので、狙いやすく、ゼルの刃が通った。
コアは壊れ、魔人の体は崩れた。
ゼルとシーグルの勝利だ。
「やったな! シーグル!」
ゼルは手を差し出す。
シーグルはその手をすぐには取らず、頭をかく。
そして少し苦い顔をした。
「…いいよ! 認める!
じゃないと自分が馬鹿みたいだ。」
シーグルとゼルは熱い握手を交わした。




