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ワールドヘイト  作者: 三ki
第1部
37/65

37話 ニールVSノア

ノアは右腕を伸ばしてニールを攻撃する。

ノアの腕は先が鋭利に変形し、まともに喰らうとただでは済まなそうだ。そしてそれが、10本に分裂してニールを襲う。

ニールは大きく右へ飛びそれを躱す。

そして、ノアの腕が全てニールの横を通過したのを確認すると、ノアの伸びた腕に触れる。腕ごとノアの脳まで破壊しようとの算段だ。

だが、それは逆効果だった。

ニールが掴んだ箇所から、さらにまた一本腕が生えて、ニールの右手を貫く。そしてそれがニールの腹まで貫こうという時に、ギリギリで”破壊”の魔術を発動でき、なんとか致命傷を避けれた。

ノアの長く伸びた腕は全て破壊できたが、肝心の肩より先を破壊することは出来なかった。

ニールはその時、自分の四肢以外の部位は特別に硬く創っているのだと直感する。言われてみれば確かに、弱点が脳なら、その周りを硬く創らないはずがなかった。


ノアは破壊された腕を瞬時に再生する。

それは時間にして、再生を始めてから僅か0.1秒ほど。その再生した腕の精巧さも相まって、まるで最初から損傷など全くしていなかったようだ。

戦闘開始からまだ10秒も経っていない。

しかしノアは無傷、それに対してニールの右手はもう使い物にならない。


「…ッッ お前が…魔王ノアなのか?」


「勝てないと踏んで時間稼ぎか、なるほど優秀だな。

だがそれだけだ。」


ノアはまた右腕を伸ばして攻撃してくる。今度は分裂せずに一本だけだ。だがその分スピードが早くなっている。ニールはなんとかそれを躱すと、近くにあった崩れた家屋の板を手に取り、それをノアの腕に当てて”破壊”の魔術を使った。

今度はニールが傷を負うことなく、ノアの腕を破壊することに成功する。しかし当然、ノアは無傷のように再生する。

ノアは次に、2本の腕を同時に高速で伸ばしてくる。2本ということで避けにくくなったノアの攻撃は、ニールの肩をかすった。

しかし、かすった時に瞬時に”破壊”の魔術を発動したので、なんとか追撃は免れた。だが安心はできない。すぐに再生したノアの両腕は、また高速で伸びて襲ってくる。

2回目ということもあって、今度は完全に避けることに成功するニール。すると、ノアの腕はニールが破壊するまでもなく崩れた。どうやら、持続力を犠牲にして、生成速度に力を入れて創っていたようだ。

さらにまた今度も同じように攻撃してきた。だが、僅かにではあるが、腕のスピードが落ちているようにニールは感じた。そして、そのことから腕は分裂するのだろうと直感する。

すると、予想通りに腕は3本に分かれ、ニールを襲う。しかし予想出来ていたので、ニールは難なく躱す。

ノアの腕は、またすぐに崩れた。

ノアは少し舌打ちしたかに思うと、急に距離を詰めてきた。ニールは逆にチャンスと思った。今までは離れたところからの”破壊”の伝播でしかノアを攻撃できなかったが、直接ノアの体に触れれば脳を破壊できると思ったのだ。

ニールは負傷覚悟でノアに触れようとする。


しかしその時、ノアの体は爆散した。

したと思ったら、四方八方にある爆散した破片が急に鋭くなりニールに向かって伸びてくる。ニールはあまりに急なことに対応しきれず、その攻撃をまともに喰らってしまう。ニールの腕が、足が、腹がノアによって複数箇所貫かれる。

そして気付けば、ノアはニールの後ろに立って、傷で屈んでいるニールを見下ろしていた。


傷で動けないニール。だがまだ息はある。いや、ノアによって生かされていたのかもしれない。それはニールを魔人化させるために。

ノアはゆっくりとニールに手を近づける。そして、ノアがニールに触れると、ニールは”破壊”の魔術を発動した。ノアの腕が崩れる。そしてすぐ再生した。

まるで破壊したはずの腕が、破壊などされなかったかのように。ノアは再生した手でニールの頭を掴み地面に叩きつける。


「抵抗するな。」


頭を叩きつけられたにもかかわらず、ニールはまだ意識を保っていた。そしてなんとか”破壊”の魔術を発動する。コアを付加しようとしていたノアの腕がまた壊れ、すぐ再生する。


「無駄なことだ。」


さっきと同じ工程をするが、ニールは意識を保つ。

ノアの腕はまた壊れ、すぐ再生する。

人体にコアを付加することはとても難しいことなので、約5秒間触れていなければならない。だが、ニールの”破壊”の魔術が邪魔をしてそれができないでいる。

段々イライラしてきたノア。今まで以上に強く叩きつけようとする。

その時、ノアは背後から悪寒を感じる。ノアは直感だけで腕を後ろに回し大きく膨張させて、盾のように変化させる。すると何者かがノアの盾に蹴りを入れた。ノアは後方へ吹き飛び、どうやら”破壊”の魔術を使われていたようで、ノアの腕はもちろん崩れ、頑丈なはず肩にヒビが入っていた。ここでノアは初めて焦りの表情を見せる。


その者は、ノアが何者だと聞く必要もないほど有名な男だった。そもそも”破壊”の伝播でノアの肩にヒビを入れられる人物などこの世で1人しかいない。

紅人の国アルステーデのレッドスター第一席、軍総大将マルクである。

マルクはノアを一度鋭い目で見ると、すぐに重症のニールに駆け寄る。


「ニール、1人でよくやった。大丈夫か?

今すぐ治療を…」


ニールはマルクの手を払いのける。

少し驚くマルク。


「私は…もう助かりません。それよりも…魔王について…話したいことが沢山あります…」


ノアの方は、今度は数秒かけて肩のヒビを修復した。肩の再生は、やはり腕よりも時間がかかるようだ。


「紅人にはレッドスターが3人…

森でのやつと、ここで2人…どうやら全員出揃ったようだな。1人ずつ殺されにご苦労なことだ。」


「レッドスターならまだいるぞ!」


そう声を発した者のは、マルクとニールの後ろから来た。その者とは、白人の国カルティアのレッドスター第一席、軍総大将ドルタである。


「ドルタ…何しにきた…? 

と言いたいところだが、こいつは本物の化け物だ。

2人で協力といこうか。」


ドルタとマルクは、長年戦ってきた間柄だ。お互いの実力は誰よりも把握している。昨日の敵は今日の友ということだろうか。


ニールはその2人を見て、白人嫌いの私情を捨てて、2人に情報を話す。

そして、肩のヒビを修復し、さらに四肢も頑丈に創ったであろう強化されたノアがゆっくりと3人に近づいていく。


「盛り上がってるところ悪いが…

マルクにドルタか…貴様等がいなければ魔人を増やす必要もない。容赦なく殺すぞ?」



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