29話 マゾン大森林
世界会議で、カルティアは西から、アルステーデは東からマゾン大森林を調査することになった。
今、ソニア率いる白人達はマゾン大森林の西に集まっていた。70人以上の人数で、しかもかなり平均的な強さが高い。その中でレッドスターのソニアが先頭に立ってこれから行うことの最終確認をしている。
ちなみに軍総大将のドルタは、世界会議の取り決めによって首都ブランロードにいることが義務付けられてるので、演説にすらこれない。
一通り説明を終えたので、ソニアはマゾンに入る決意をした。ソニアの助手が、トランシーバーで入る旨を伝える。
ちなみに、リアルタイムで調査結果を報告出来るように、ブランロードにいるドルタ達とトランシーバーで連絡を取り合っている。
ドルタから了解の返事がきたので、ソニア達はマゾンに足を踏み入れた。
長らく誰も立ち入っていない森、流石にソニアにも緊張が走る。だが、それで足を止めることはない。最大限警戒しながらも、どんどん奥へと進んでいく。
しばらく進むと、魔獣が出てきた。だがこんなことはマゾン大森林だけに限ったことではない。ソニアが出る必要もなく、ダブルスターの人がすぐに片付けた。
「どう?」
魔獣の死骸を見て、ソニアが魔獣の専門家に質問する。
「見た感じ普通の魔獣と変わらないですね。このまま進んで良いかと。」
ソニアは頷いてさらに先に進む。
道中、何匹かの魔獣と遭遇しながらも、十分な戦力を誇るソニア隊は全く労せず突破していく。
突入から約30分が経過し、2km程進んだ。
その時ソニアは異変を感じた。異常に多くの魔獣の気配が近寄ってくるのを感じたからだ。
すぐに隊にストップを命じた。
ソニアはその魔獣達への反撃の準備をする。が、魔獣はソニア達へ襲いかかるのではなく、周囲を取り囲んだ。中には大型の熊の魔獣や虎の魔獣なども含まれている。
「おい、これって…?」
「…はい、3ヶ月前の一斉襲撃に非常に似ています。まるで…知能を持っているかのよう…」
「…っ! すぐに本部へ連絡を!! 急げ!!」
ソニアは周囲の魔獣へ攻撃しようとした、だがその直後、攻撃を中止せざるを得ないほどの目を疑う光景を目の当たりにした。
ソニア達を取り囲んでいる魔獣の隙間から、魔獣化した人間、魔人が4人程出てきたのだ。
あらかじめその可能性を示されていたにも関わらず、ソニアは一瞬思考停止した。
「ヒャッハー! やっとこの力を試せる時がきたぜーー!! おっ? あれはソニアじゃねーか!? レッドスターの!? うっひょーーマジで興奮してきたー!!」
突然魔人の一人がテンション高めに叫び出した。他の魔人も同様にテンションは高そうだ。
「奴ら言葉が分かるのか、というか私を認識した? つまり人間だった頃の記憶があるのか?」
高揚している魔人達とは裏腹に、ソニアは冷静に分析を始める。
「ソニアさん…私の記憶違いかもしれませんが…」
「ん、なんだ?」
ソニアの隣にいた兵士が何かに気付いたように言う。
「はい…あの魔人の内の2人、あいつとあいつは、おそらく行方不明になった兵士の内の2人です。」
ソニアは指を指された方を見る。
確かに、どこか面影があるような気がした。
これが事実なら、もしやられたら敵に吸収される恐れがあるということ。ソニア達には一層緊張が走る。
「ソニアさん、総大将からです。」
ドルタから、ソニアに指令が飛んできた。
「もしもしこちらドルタ。その魔人4人を最低1人生捕りにして撤退せよ。」
「撤退ですか? 確かに収穫はありましたが、まだ全然奥に進んでいない。」
「緊急事態だ。紅人側もお前達と同じく魔人を見たと報告があった。また明らかに異様なオーラを放つ魔人が1人いるとの報告もあった。そしてそれ以降連絡が取れなくなった…」
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〜数分前 紅人側〜
紅人側は、レッドスター序列2位のリガー率いる精鋭集団だ。リガー達もソニア達と同じく、魔獣に周囲を囲まれた後に、その隙間から魔人が出てきた。
こっちはすぐに魔人が襲いかかってきた。
リガーは魔人の攻撃を避けると、蹴りを入れ、そのついでに”破壊”の魔術で攻撃する。魔人の体は一瞬にして壊れ、何とか立ちあがろうと必死に再生していた。
誰もが勝てる、そう思った。
だがその時、森の奥の方から異様な気配を感じた。それは魔獣のそれとは似て似つかないものだった。リガーがすぐに魔人に追撃出来なかったのはそのせいだ。
そしてその気配はこちらに近づいてくる。ようやくそれは姿を見せた。
その姿は小柄で、16歳ぐらいの子供に見えた。
「退け。」
その子供の魔人が低い声で言った。リガー達に言ったものだと思ったが、どうやら魔人達に言ったようだった。魔人達が震えている。
「で、ですが…」
「はー、人間は知能はあるが、命令に従わないことがあるのは厄介だな…」
その子供の魔人は心底呆れたような声で吐き捨てた。
「まあ罰は後でいい。」
その子供の魔人はリガー達の方を向く。
そして不気味な雰囲気を出しながら言った。
「さて…」




