28話 魔獣について
〜〜〜カルティア軍本部会議室〜〜〜
「———という訳だ。こちらからはソニアを出さなければならない。他にもトリプル4人、ダブル10人、シングル以下50人以上、あとは魔獣の専門家を数人連れていく。」
会議室で、ドルタが前に立って軍幹部達に今回の世界会議で決まったことを話している。ちなみにソニアはレッドスターの序列第2位のレッドスター唯一の女性だ。
「非常に危険な任務だ。この程度の戦力で向かわせてしまうことになってすまない。」
「私は大丈夫ですよ。簡単にやられはしないし、ドルタさんが最善を尽くしてくれたのは知ってますから。」
ドルタの謝罪をソニアが受け入れた。
「そうだな。今は嘆くよりも、先のことについて考えよう。
では念のため、魔獣の特性についておさらいをしておく。では、ここからはモンスに任せる。」
するとモンスは立ち上がって、皆に軽く挨拶をしたのち、前に出て説明をはじめた。
ちなみにモンスは、魔獣研究の最先端を担う博士であり、また頭も非常にきれ、よく軍のブレーンとしても活躍している。
先の世界会議のことで、魔王の存在やその対抗策をドルタに助言したのもこのモンスだ。
「では、まずは基本的なことから。
魔獣はどれだけ傷つけても再生します。だが中心部にあるコアというものを壊せばその魔獣は死にます。
また、魔獣は普通の動物が突然変異したものだと考えられてます。これは他に魔獣の元となる物がない点と魔獣が現れてから動物の個体数が減少していることからほぼ正しいと言えるでしょう。
さて、ここまでは周知の事実ですが、ここからはまだ公にはしていないことを話します。
とは言ってもこれはあくまで私の憶測によるところが大きいので、頭の片隅に置いてもらうぐらいにして下さい。
私の調査によりますと、魔獣がコアを壊されて体が崩壊を始める様と、”創造”の魔術によって創られた創造物が崩壊を始める様が酷似していました。
これはつまり、白人の誰かが魔獣を創っているということです。正確には、付加をして普通の動物を魔獣にしている。」
皆に動揺が走った。魔獣が創造物だと考えたことも無かったからだ。あらかじめモンスから聞かされていた者もいたが、やはり改めて聞くと動揺せずにはいられない。
「そんなバカな! 我ら白人にそんなことをする者がいるとは思えない! それに第一生物を創るなど到底人間の成せる技とは思えない!」
聞いていた内の1人が立ち上がり異議を唱える。それに対してモンスは冷静に対処する。
「これはあくまで仮説です。私自身もこれについては半信半疑なので、信じていただかなくても結構です。
とりあえず続けます。
私はその白人が魔王だと考えます。魔獣化して魔人となっているのかどうかは分かりませんが…」
「その魔王が魔獣全体に命令が出来ると? しかし一体どうやって?」
「申し訳ありません、そこはまだ研究中で分かりません。あくまで私の予想ではありますが、その魔王は動物にコアを付加出来る。そしてそのコアが自動的に細胞を魔獣細胞へと変化させ、また自動再構築機能があると考えます。これが魔獣が傷ついても再生を続ける理由です。そして魔王はそのコアに命令伝達機能を付け加えれた、と私は考えています。」
「だが何故今になって? その魔王が魔獣共に命令出来るならもっと前からでもよかったのではないか?」
「考えられる理由としましては、最近身につけた能力だからか、人類を蹂躙する戦力が揃うのを待っていたか…というところでしょうか。」
全体に緊張が走る。この仮説が正しければ、人類が滅ぶかもしれないからだ。
「とにかく、これはただの仮説です。ですがこれが正しければ、マゾン大森林の奥地には、大量の大型肉食魔獣が潜んでいる。
そして最近の行方不明者の増加…おそらくは人間が魔獣化した魔人も潜んでいると思われます。」
会議ということで、ただでさえ重たい空気がさらに重たくなる。だがそこで、ドルタが立ち上がり両手で机を叩いて注目を集めた。
「そう滅入るな、これは想像の話。そのために調査をするのだ。
ソニア、聞いてもらった通り危険な任務だが、やってくれるか?」
「ふぅー、どうせやるしかないんでしょ?
なら私は、全力を尽くすだけですよ。」
「そう言ってもらえて助かる。
だが無理だと判断したならすぐに撤退するんだぞ。」
ソニアは頷く。それにドルタも頷き返した。
これにて会議は終了だ。
いよいよ明日、魔獣の生態に迫りにいく。




