27話 世界会議(3)
会議室には、中央に大きい円卓があり、その周りを両国の重鎮が囲んでいた。
白人は西側に座り、紅人は東側と綺麗に別れている。
白人側では、中央に国王、その横に貴族長、総務大臣、外務大臣、内務大臣、軍務大臣、財務大臣が座っている。
紅人側も同じように座っていて、進行役が白人紅人1人ずつの計16人と警備の何人かが会議室にいる。
ちなみに今回の議題は軍部大臣と総務大臣が専門分野と判断され、それぞれ2票が与えられている。
「それでは、これより会議を始めます。
今回の議題は、今後の魔獣に対する行動です。
前回の会議では、魔獣の塒であると思われるマゾン大森林の本格的な調査という意見が出ました。
今日の19時までには結論を出したいと思いますのでよろしくお願いします。」
白人の進行役がそう伝える。紅人側は面白くなさそうな顔をしていたが、流石に意義を唱える者はいなかった。
ちなみにマゾン大森林とは、カルティアとアルステーデの両国にまたがって存在している巨大な森だ。ここには紅断壁は作られず、隠れて敵国に侵入することが出来るかもしれないが、そんなことをしようとする者はいない。いたとしてももうこの世にはいない。なぜなら、マゾン大森林には、魔獣が多く生息するからだ。
今までは、カルティアとアルステーデが常時敵対関係にあったので、調査の人員まで削く余裕がなかったのだ。
「まあ、まずはマゾンの調査からだろうな。我々はあまりに敵を知らなさすぎる。今までは知能のないただの化け物と認識していたが、先の村々の一斉襲撃、まるで知能があるようだった。」
「それと行方不明者が増加していることも気になるな。時期が被っている。」
まずは紅人側が意見を出した。
「とりあえず、マゾンの調査は全会一致…ということでよろしいかな? のう、白いの。」
挑発するような問いかけに、白人側は反発しそうになったが、その前にドルタが紅人に答えた。
「我々もマゾンの調査には全員賛成しております。おそらく今からはその調査方法を決めるのでしょう。それについて1つ私から提案があります。その前に、先程バイル内務大臣が仰ったように、魔獣には知能があると考えられます、が何故一斉襲撃なのでしょうか? それぞれ知能を持った魔獣が村々を襲撃しよう、となったのでしょうか? 私はそうは考えません。
私の考えでは、知能を持った魔獣は1個体だけです。そしてその魔獣が他の魔獣に命令できた、と考えます。」
かなり筋の通った意見がドルタから出た。
「それで? 貴様の提案とはなんだ?」
紅人側の総務大臣フーベルトが、両肘をつき、両手の上に顎を乗せて、睨みつけながら問いかける。
「単刀直入に言います。私は両国の協力を提案します。」
これに対して、紅人側だけでなく、白人側からも批判を受ける。
「おいドルタ! なんだその話は!? 聞いてないぞ!」
「紅人と協力とは…白人の誇りを忘れたか?」
「貴様等と協力など出来る筈がない。それとも従属国にでもなるか?」
「あまりに愚かな考えだ。流石白人というところか。」
口々にドルタは批判を受ける。
「ふー…静粛に願います。白人の誇りを忘れたわけではありません。ただ私は国民の平和を望んだだけです。
先程の話に戻ります。他の魔獣に命令が出来る知能を持った魔獣が現れた、仮にこれを魔王とします。
だとすると何故魔王は村々を一斉襲撃したのか。
それはおそらく、人間の領土を狭めるため。
実際先の襲撃で、人類は領土の約半分を失いました。
ただでさえ仲の悪い両国が、狭まっていく領土で起こすことは1つ、戦争です。そうなれば人類は滅ぶことは明白。もしかしたらこのまま魔獣側が何もしなくても滅ぶかもしれない。」
「だからそうならないために休戦したのではないのか!?」
「休戦が絶対に信頼できる訳ではない。その証拠に今会議に両国とも大量の護衛をつけています。
ただもちろん私も、いきなり手を取り合って背中を預けられるとは思いません。先程協力と言いましたが、その1歩手前と言ってもいいかもしれません。
両国ともレッドスターを2名もしくは3名ずつ出します。そうすれば調査団の不在中の紅人もしくは白人の襲撃を警戒する必要がなくなる。一方面だけに集中出来る。さらに魔王なる者がどれだけ強いか分からない。それを踏まえてのレッドスター2人以上です。」
ここで、紅人側の内務大臣バイルが立ち上がった。
「分かったぞ貴様! 我々にレッドスターを出させて、その隙に急襲を仕掛ける気だな!」
すると次々と立ち上がり、口々に口論をした。
ここで進行役が止めに入った。
「静粛に! 静粛に願います!
提案が出た以上、決をとります。ドルタ様の意見に賛成の方は挙手をお願いします。」
結果は18票対4票で反対派の勝ちとなった。
賛成したのは、ドルタと、紅人側の軍務大臣マルクだけだ。ちなみにマルクもドルタと同じく、軍総大将兼軍務大臣だ。
紅人側ではマルクが批判されまくっている。
「王、何故反対なのですか?
国が、人類が滅ぶかもしれないんですよ!?」
一方白人側では、ドルタが国王、カルヴィン=アンドレシアに抗議していた。
「お前の言う魔王は憶測にすぎん。私はあるかもしれない脅威よりも、確実にある脅威に備えたいのぉ。」
そう言って王は、ドルタから目を逸らし、紅人を見た。
さらに議論が進み、最終的には両国がレッドスター序列2位を出し合い、カルティア、アルステーデそれぞれが、西、東の別方向から調査することになった。




