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ワールドヘイト  作者: 三ki
第1部
20/65

20話 訓練

数時間かけてゼルは首都ブランロードに着いた。

都心部に入った時から感じていたことだが、街の通路が舗装されていたり、しっかりと石などで出来た家が立っていたりと、村とは全然違う。

もう暗くなっていたので、ハイルーツ校の近くの宿に泊まることにした。近くにゼルの寮があるのだが、寮は2人の相部屋で、まだ自己紹介も済んでいないのに、誰かと一緒に寝ることになるので、それはやめようということになった。

そして、皆が学校にいる朝に自己紹介をすることになっている。

ちなみに、5m級の熊の魔獣を倒した少年がハイルーツ校に編入するというのは、かなり広まっているようで、街や宿でよく声をかけられた。褒められるのは、ゼルのことを認めてくれているような気がして、嬉しかった。


すぐに翌日となり、ハイルーツ校へと向かった。

まずは荷物を寮の部屋に預けに行く。今はもう全生徒は学校にいるはずなので大丈夫だ。

相部屋には、ベットが左右の壁際に1つずつあり、まさに寝るためだけにあるような感じの部屋だった。

そして、クローゼに連れられて、ゼルはハイルーツ校に入った。

大きい廊下の真ん中で、クローゼの左斜め後ろを歩く。

どうやら今は、全員教室にいるらしいので、そこへ向かっている。

そして目的の教室につくと、クローゼが扉をノックして開けた。


「アルバーニ教官、編入生を連れてきました。」


クローゼがそういうと、アルバーニ教官という人が手で迎え入れてくれたので、それに従って中に入る。そして教壇の中央に立ち、生徒の方を向いた。


「編入生のゼル=スヴェート君だ。」


アルバーニ教官が生徒に向かってゼルを紹介する。その後に、ゼルはよろしくお願いします、と言って深々と頭を下げた。

全員が真剣な顔でゼルを見る。

ゼルは村などとは異質の空気を感じとった。


「よし、それじゃあ早速だけど、訓練に行こうか。」


アルバーニ教官はゼルを含めたみんなに言うと、グラウンドへ移動した。

グラウンドはトラック1kmくらいはありそうな広いグラウンドだ。まずはウォーミングアップということで、このトラックを2時間以内に25周する。


スタートの合図がされると、みんな一斉に走り出した。少しすると、ゼルの横に1人の少年が並んだ。


「俺アドラ、よろしくゼル。」


「うん、よろしく。」


アドラは前を見つつも、少しゼルの方を向いてから挨拶する。ゼルもそれに応えた。


「ちなみに俺ら同部屋だからな。仲良くしような。」


「そうなんだ。」


「まあなんか分からないことがあったら聞いてくれ。」


「んーと、じゃあこれが終わったら何するの?」


「日によるけど、多分今日は無限石じゃないかな。」


「何それ?」


「石を魔術で創って、それを砕く。これを限界まで繰り返すんだ。ちなみに砕くのは素手でも、自分で創ったものなら道具でもオーケー。

それで少し休憩してから、多分模擬戦かな。その後は軍の仕事。」


「なるほどね。」


「そういえばさ、お前、5m級の熊の魔獣倒したって本当なのか? まあ、本当だからここにいて、ダブルスターが与えられてるんだろうけど…」


「うん、本当だよ。まあ運も結構あったけどね。

そういえば、俺以外にダブルスターが1人とトリプルスターがいるって聞いたんだけど、誰?」


「ん? お前知らねーのか、結構有名人だぞ。まあいい、順に紹介していこう。

まずお前と同じダブルスターは、今先頭を走ってるアイツだ。名前はラキ=スペルベン。軍の三戦士第三席、”剣神”の異名を持つレッドスター、ザキ=スペルベンの次男だ。

次に俺達の少し前にいるアイツがトリプルスターだ。名前はメルタ=ブラウン。軍の三戦士第一席、”混沌”の異名を持つレッドスター、ドルタ=ブラウンの1人息子だ。」


「なるほど。」


軍の三戦士については、辺境の村にいたゼルでも流石に知ってるほど有名だ。その内の2人の息子が同じ学年にいるとはなんとも偶然だ。


2人は同じペースで走り続けて、約1時間半で走りきった。すでに10人くらいは終わっていて、あとの6人はまだ走っている。ちなみに、終わった者から無限石を始めないといけないので、ゼルとアドラもすぐに始めた。

ゼルは、砕く作業の”破壊”の魔術バージョンを毎日やっているので、特に戸惑うことなく進めていく。

1個、2個…とどんどん石を創っては砕いていく。

横のアドラは1時間10分の2000個でギブアップした。その時ゼルは2500個を超えていて、少しだけ息が荒くなってきた程度だ。


「ハァ…ハァ…流石は…ハァ…ダブルスターだな…」


横でアドラがグラウンドに寝転びながら、息を絶え絶えにして悔しそうに言う。開始の時間もあるだろうが、現時点で残っているのは、ゼル、ラキ、メルタのダブル・トリプルスター以外では2人しかいないので、アドラは優秀な方と言うべきだろう。

それから15分が過ぎると、ゼル、ラキ、メルタのみになった。それからさらに40分経って、ようやくラキがギブアップする。またさらに10分後ゼルがギブアップ。残るはメルタのみとなった。


「ようやく終わりかお前も、2時間15分で約5000個って…ヤベェな。」


グラウンドにぶっ倒れているゼルを上から見下ろすアドラ。


「ハァ…ハァ…ここまで疲れたのは久々だ…」


結局、メルタは30分後にギブアップした。

記録は2時間50分で約8000個。ゼルは、”創造”の魔術だけなら、間違いなく自分より上だと確信した。

メルタが終わってから30分の休憩がある。

その休憩の終わり間際に、すでに体力が回復したゼルは、アドラと仲良く話していると、同じく体力が回復メルタが近づいてきた。


「ん、どうしたメルタ? 何か要か?」


アドラがメルタに聞く。


「ああ、ゼル…と言ったな。頼みがあるんだが、次の模擬戦、俺としないか?」


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