15話 こんな世界
2人は少し落ち着くと、元の位置に座った。
ライカは少し目を逸らしてゼルに質問した。
「……で、返事はどうなの?」
「えっ、何の?」
「なっ、やっぱり気付いてなかったの?」
ライカは少し顔を赤らめて言う。
それに対し、ゼルはきょとんとした顔を見せる。
「………私がさっき、好きだよとか、ずっと一緒にいてよとか言ったでしょ。 その…だから……分かるでしょ?」
ゼルは、数秒ポカンとしてから、急に顔が赤くなった。
「…あ、あれってそう言う意味だったの!?
てっきり友達としての、みたいな意味かと…」
「まあそう言う意味もあるけど、ずっと一緒にいてよ、は友達の範囲を超えてるでしょ。
てか何回も言わせないでよ、恥ずかしいから。」
ライカは少し声が上がり気味に言う。
そして数秒沈黙が訪れる。
「…で、返事は?」
「………ごめん、無理…です。」
「…そう、何でか聞いてもいい?」
ライカは少し息を吹いてから質問する。
「俺もライカのこと好き…かもしれないんだけど、俺は誰とも結婚とかそういうのするつもりないんだ。」
「なんで?」
「俺の子供はどういう風に生まれるのかな、とか考えちゃってさ。また白と紅の混血とかだったら…俺と同じように辛い人生が待ってるんだろうな、とか思って。
あ、一応言っとくけど、俺は今の生活は間違いなく幸せだよ。ただ、やっぱり隠し続けるのは辛いものがあるからさ…」
「…なるほどね。」
「ライカが俺のことを想ってくれて本当にすごく嬉しいよ。
でもやっぱり、そういうわけでokは出来ないかな…」
ライカはゼルの隣に移動して座る。
2人とも少し顔を赤らめて目を逸らす。
「じゃあ質問変える。ゼルはさ、私のこと好き?」
「う、うん…まだはっきり分かんないけど…多分…」
「じゃあさ、私じゃなくてこの世界が悪いってことだよね?」
「うん、そうだね。」
「じゃあさ、壊そうよこんな世界。そして新しい世界を創ろうよ。私とゼルが結婚しても、誰も文句を言わない、そんな世界を。」
ライカは夜空を見上げながら、そう言う。
ゼルははっとした顔でライカを見る。
ゼルは今まで、混血であることで虐げられるのは仕方のないことだと思っていた。混血であることを認めさせようとか、考えたこともなかった。
「…簡単じゃないな、それは。」
そう言いつつ、ゼルは少し嬉しそうだった。
「そうだね、どうやったらいいのかとか全く思いつかない…
でも、私はそう易々とゼルを諦めきれないよ。」
「そうだな…どうすればいいのか全く検討もつかない。
まっネガティブな話はもう止めにして、もう寝ようか。
明日も大変だろうし。」
「そうだね、おやすみ。」
こうして2人は眠りについた。
世界に自分の存在を認めさせる、それはゼルにとって初めての生きる上での目的だった。それによってゼルは生きる意味を見出すことができた。
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朝、ゼルはライカより早くに目が覚めた。
そして空を見上げて、昨日のことを思い出すと、大きく息を吹いた。そして下を向いて頭を抱えた。
(はぁ〜〜マジで恥ずかしい…
昨日はテンション上がってて、なんかすごいこと言ってた気がする〜〜)
ゼルがそんなことを思っていると、今度はライカが目を覚ました。
「おはようライカ」
「ん、あ〜ゼルおはよう。」
ライカは両手を上に伸ばしながら言う。
すると、昨日のことが思い出せれてきた。
ライカは急に顔が赤くなり、ゼルとは反対方向に勢いよく振り向いた。
(あぁ〜昨日テンション上がりすぎてて、なんか好きとか言っちゃった〜、ヤバッ恥ずかし過ぎる〜前見れない!!)
2人とも、後から冷静になってものすごい羞恥感を覚えたようだった。
「ちょっとしたら出発しようか。」
「う、うん。そうだね。」
2人揃って立ち上がると、出発した。
しばらくして山を下りたところに、トキハ村という所があった。そこの村長に事情を話すと、すぐに軍に連絡してくれた。そして軍の人が駆けつけてくれると、2人をアルニ村まで送ってくれた。
アルニ村では、みんなが心配したと言って、泣いて出迎えてくれた。そして、サラさんはお腹ぺこぺこのゼルとライカにとびきり豪華な食事を用意してくれた。
軍の人によると、誘拐グループの姿は無くなっていたらしいが、ひとまずこの件は一件落着した。




